安全性の問題だけではない 機能性表示食品制度にある根本的な欠陥 #専門家のまとめ
小林製薬から販売されていた紅麹原料を使用したサプリメントによる健康被害が生じたことで、機能性表示食品の安全性について議論されています。安全性はもちろん大切ですが、そもそもの機能性についても、根拠とされる論文の質が低い事が指摘されています。
ココがポイント
▼機能性表示食品制度は国の審査なく、販売する業者が根拠論文を示すことで健康効果を謳い販売することができる制度です。
・機能性表示(消費者庁)
▼機能性表示食品の摂取が原因と見られる初の重大事故事例で業者による自主回収が続けられています。
・紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ(小林製薬)
▼現在検討されている安全性の確保についても事後の速やかな対応であり、消費者の安全が十分に担保されていない。
・このままでは「サプリによる死亡事故」は防げない…機能性表示食品の「悪質な売り文句」を国が黙認する根深い事情 (プレジデントオンライン)
▼健康効果の根拠として示された論文を調査したところ、結果と結論が一致していない論文がいくつもあった。
・機能性食品の臨床試験を元にした広告への問題提起(京都大学)
エキスパートの補足・見解
健康のために摂取した食品で健康を害してしまうのでは本末転倒であり、安全性の確保は必要不可欠ではあります。
安全確保はもちろん重要ではありますが、問題の本質は、国の審査はなく、企業が自らの責任で科学的根拠を示すことで、健康効果を謳うことができる、という制度自体の欠陥にあると思います。
実際に販売され、広告で健康効果を謳っている商品でも、示された論文の質が低いケースや、結果と結論の不一致など、健康効果自体の存在が不確かなケースがいくつもあることがわかっています。
本当に消費者のための制度になるよう、根本から見直す必要があると筆者は考えております。