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メーガン妃、ハリウッドのキャリアが窮地に。人種差別スキャンダル再浮上でエージェントの努力も台無し

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
今年春、メーガン妃はハリウッドの大手エージェントと契約を結んだ(写真:ロイター/アフロ)

 今年4月、メーガン妃は、ハリウッドの大手タレントエージェンシー、ウィリアム・モリス・エンデヴァー(WME)と契約を結んだ。

 この会社のCEOは、アメリカのテレビドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」でジェレミー・ピヴェンが演じたエージェント、アリ・ゴールドのモデルにもなったアリ・エマニュエル。業界の超大物であるエマニュエル自身も担当チームに加わり、映画やテレビの製作、ブランドとのパートナーシップなどのお手伝いをしていくとのことだった。

 この契約を結ぶまでに、メーガン妃とハリー王子の好感度は、アメリカでもかなり落ちていた。2021年3月、オプラ・ウィンフリーによる独占テレビインタビューでイギリス王室の人種差別などについて語った時には大きな同情が寄せられたのだが、時間が経つ中で、彼女の発言の矛盾や嘘が指摘されるように。そのうちアメリカ人も、ハリー王子の家族であるイギリス王室をネタにして金を稼ぐ夫妻に、飽き飽きするようになってきたのである。

 それを認識しているWMEは、王室バッシングはもう忘れて、新たな形でメーガン妃というブランドを築いていく方針を立てた。具体的なプロジェクトは何も発表されないままとはいえ、この8ヶ月、彼らはそのために全力を注いできたと思われる。

 だが、そんなところへ決定的な打撃が起きてしまった。メーガン妃の息子の肌の色をめぐる王室の人種差別コメントが、再び脚光を浴びることになったのだ。WMEは、せっかくそこから距離を置いてフレッシュなスタートを切らせようとがんばってきたのに、あっさりと振り出しに戻ってしまったのである。イギリスの「Express」は、WMEはこの展開に大憤慨し、パニックしていると報じている。それも当然だろう。

問題を起こしたのは「メーガン妃の非公式なスポークスパーソン」

 事実、今回の出来事は、文字通り過去に逆行するものだ。

 2021年のウィンフリーとのインタビューで、メーガン妃は、長男アーチー君が生まれる前、王室内の人物が「生まれてくる子の肌の色はどんなだろう」とコメントしたと、それが人種差別的発言であると示唆しつつ述べた。その人物が誰なのかには言及しなかったが、先週発売されたオミッド・スコビーというジャーナリストが書いた王室に関する本「Endgame」のオランダ語版に、ふたりの人物の名前が書かれていたのである。そのふたりは、チャールズ王とキャサリン妃。英語版に、その記載はない。

 もちろん、この名前を世間に向けて明かしたのは、メーガン妃ではない。しかし、女優だったメーガン妃が「SUITS/スーツ」の撮影でトロントにいた頃からの知り合いで、2020年には夫妻についての本「Finding Freedom」を出版したスコビーを、「メーガン妃の非公式なスポークスパーソン」と呼ぶ人は多い。スコビー本人は、メーガン妃やハリー王子の友達ではないと主張するものの、この新たな本のためにメーガン妃に近しい人たちに話を聞いたことは認めている。そもそも、これらふたりの名前は、メーガン妃がチャールズ国王に宛てて送った手紙の中に書かれていたものだという。人種差別的発言をしたと責められている側であるチャールズ国王が、わざわざそれを外にリークするとは考えられない。では、スコビーはどこからその手紙を入手したのか。

 スコビーは当初、原稿にこれらの人物の名前を書いたことは一度もなく、翻訳ミスだと主張したが、翻訳者サスキア・ピーターズは、「翻訳者として、私は、目の前にあるものを翻訳します。これらの人々の名前は、原稿にはっきりとありました。私は何も足していません」と反論している。

沈黙を続ければ夫妻の会社はあっという間に終わる

 このニュースが出て数日経つが、メーガン妃とハリー王子は今も沈黙を守っている。そんな間にも、キャリアへのダメージが深まっていくばかりだ。メーガン妃がリークしたという確証はないものの、つながりが疑われているのは事実。しかも今回は個人攻撃だから、これまでよりさらにタチが悪い。

 先月、「Variety」主催のイベント「Power of Women」に出席したメーガン妃は、レッドカーペットで「私たちにはとてもエキサイティングなプロジェクトがたくさんあるの。発表できる日が来るのが待ちきれない。自分たちが作るものに、私は大きな誇りを感じている。夫も情熱を持っているわ」と語り、ハリウッドで活躍する意欲を見せていた。彼女の発言が真実であったとしても、またもや王室を貶めることに関与した疑いが持たれれば、それらのプロジェクトにお金を出そうとしていた人たちは、おかまいなく出してくれるのか。また、メーガン妃とハリー王子は、今年、380万ドルを払って恋愛小説の映画化権を買ってもいる。たとえこれが動き出したとしても、出てくれるスターを探すのはますます難しくなるのではないか。

 ある業界関係者は、「Express」に対し、「夫妻はただちにスコビーと距離を置くべき。そして、彼の本に書かれていることは真実ではない、あるいは脈絡を無視したものだと批判するべき」と述べる。「それをしないならば、彼と一緒になって批判されても仕方がない。そうなれば、エージェンシーがメーガンのためにがんばって話し合ってきた企画は潰れ、(夫妻のプロダクションカンパニー)アーチウェルもあっという間に終わりになるでしょう」とも、その関係者は続ける。

「あっという間」は、本当にあっという間に来てしまったりするものだ。彼らは果たしてその行動を起こすのか。ハリウッドでの未来は、そこにかかっている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「週刊SPA!」「Movie ぴあ」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイ、ニューズウィーク日本版などのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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