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明日開幕のZOZOチャンピオンシップ、2019年2位の松山英樹は「もうひとつ上の順位」になれるのか?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日本で開催される唯一の米ツアー大会、ZOZOチャンピオンシップが2年ぶりに日本へ戻り、今週、アコーディア習志野CCで開催される。

 初開催だった2019年大会は、13年ぶりに日本でプレーすることになったタイガー・ウッズを一目見ようと、大勢のギャラリーが詰め寄せた。

 その期待に応え、ウッズは見事に勝利を挙げ、故サム・スニードに並ぶ通算82勝目を達成した。

 本来なら、2020年大会ではウッズがディフェンディング・チャンピオンとして再び日本でプレーするはずだったが、コロナ禍ゆえに米カリフォルニア州での開催となった。

 そして大会は2年ぶりに日本へ戻ってきたが、今年2月に交通事故を起こし、右足に重傷を負ったウッズは、いまなおリハビリ中でゴルフクラブを振ることは叶わない。

 そんな中、日本はもちろんのこと、世界が熱い視線を注いでいるのは、やっぱり日本のエース、松山英樹だ。

 2019年大会でウッズに迫り、3打差で2位に甘んじた松山は、今年はマスターズ覇者として習志野の土を踏んでいる。

 今年4月にマスターズを制し、日本人男子としては初、アジア人男子としても初めてグリーンジャケットを羽織った松山は、その後はあまり成績が振るわず、東京五輪を目前に控えた7月にはコロナ陽性になり、隔離生活を余儀なくされた。

 その影響が色濃く出ていた東京五輪では、自身にとって思い出深い霞ヶ関カンツリー倶楽部での開催だったにも関わらず、実力発揮にはいたらず、メダル獲得はならなかった。

 それでも、直後の世界選手権シリーズ、フェデックス・セント・ジュード招待では、サドンデス・プレーオフで惜敗したものの、2位タイとなり、早々に復調の兆しを見せた。

 シーズンエンドのプレーオフシリーズにも出場し、トップ30人だけしか出場できない最終戦のツアー選手権には歴代2位のロングラン記録となる8年連続出場を果たした。

 マスターズ優勝以降、派手な勝利こそないものの、安定して世界のトッププレーヤーであり続けていることは、松山の強さ、底力の証だ。

【夢ではなく現実】

 米ツアーは9月から、すでに新シーズンが始まっている。開幕戦で6位タイに食い込み、シーズンのグッドスタートを切った松山は、10月のシュライナーズ・チルドレンズ・オープン、ザ・CJカップ、そして今週のZOZOチャンピオンシップに3連戦で挑むと決めたときから、「勝ちたい」と勝利への強い意欲を示していた。とりわけZOZOチャンピオンシップでは「順位をもう一つ上げることが目標」と言い切っていた。

 しかし、シュライナーズ・チルドレンズ・オープンでは、好発進したにも関わらず、ショットが不調で67位タイ。先週のザ・CJカップでも、好発進しながら、今度はパットが不調で59位タイに終わった。

「(ZOZOチャンピオンシップで)いいプレーをしたいけど、全然期待できない。飛行機移動と時差で覚醒したらいいな、、、、」と夢のようなことを口にしていた。

 しかし、米ツアーが用意したチャーター機で19日の午前3時ごろに日本に到着した松山は、早朝からさっそく習志野へやってきて、練習開始。疲れていても眠くても、訪れた土地の時間帯に合わせて行動し、夜になるまで寝るのを我慢することは、時差ボケ防止のための最善策。やっぱり松山は、夢物語ではなく現実の中で最善の努力を積みながら、勝利を目指して調整や練習に励んでいる。

 19日は小雨が降る寒さの中、目澤秀憲コーチとともにスイングチェック、コースチェックに余念がなかった。

 開幕前日の今日20日は、パットやショットの練習後、かつて米ツアーでともに戦った今田竜二、東北福祉大学ゴルフ部の後輩である金谷拓実、そして日本ツアーにデビューしたばかりの話題の19歳ルーキー、久常涼とともに練習ラウンドを笑顔で行なった。

 今日行なわれた会見では「体調はちょっと時差ボケがあるぐらいですけど、ゴルフの調子はかなり悪い状態。マスターズ優勝時が10としたら、今は1もない」と明かしたが、もちろん前向きに挑もうとしている。

「ティショットをフェアウエイに置かない2セカンドショット以降が難しくなる。フェアウエイとグリーンを捉えるのが大事。ベストなプレーをすることが一番大事。いいプレーができれば、優勝のチャンスもあると思う」

 決して諦めない松山のマスターズ制覇に次ぐ今年の2勝目、米ツアー通算7勝目、習志野で「順位をもう一つ上げる」姿を、最終日に是非とも見たいと願うばかりだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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