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パソコン、従来型携帯、スマートフォンの世代別利用実態を再確認してみる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多様な場面で見かけるようになったスマホ。その利用状況は!?

インターネットの窓口、情報の集約端末として今や日常生活には欠かせない存在となったパソコンや携帯電話(ここでは従来型携帯電話とスマートフォンの双方を意味する)。その利用実情について、2014年9月に詳細版のデータが発表された情報通信政策研究所の「平成25年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から、世代別の動向を確認する。どこまでスマートフォンは浸透しているのだろうか。

次に示すのは主要情報端末別の世代別行為者率。この「行為者率」とは該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)において、連続して10分以上使用した人の割合を示している。例えば20代のスマートフォン(スマホ)は80.5%とあるので、20代のうち8割は平日に1度以上スマートフォンを操作したことになる。なお今件ではプライベートに限らず、学業や就業時に利用した場合も該当する。

↑ 世代別行為者率(2013年、平日)
↑ 世代別行為者率(2013年、平日)

全体においてはもちろん、世代別では40代まで、パソコンよりもスマートフォンの行為者率の方が高い。平日分の調査のため、就業者の就業上でのパソコン利用が含まれているはずなのだが、それが加算されてもなお、50代に入ってようやくパソコンの方が行為者率が高くなる実態は、スマートフォンの浸透が大いに進んでいることの裏付けといえる。

10代ではパソコン行為者率は22.3%、スマートフォンは57.6%。学業上の利用可能性(自宅での宿題の調べものなど)があるとはいえ、2倍以上の差が開いている。また従来型携帯電話の行為者率が低く、スマートフォンが高い状況は、中堅層までを中心に従来型からスマートフォンへのシフトが進んでいることを裏付けている。同時に50代以降のシニア層では「これまで使っていた従来型携帯電を継続利用している」「スマートフォンは多機能に過ぎるので従来型で十分」などの理由からか、若年層よりも従来型携帯電話の行為者率が高い。実に3割前後の利用状況は同世代の人数を考慮すると、決して無視できない値ではある。

続いて行為者平均時間。これは該当世代全体では無く、行為者における平均的な利用時間。行為者の人数が少なくても、使っていない人との間で平均化されて短くなることは無い。あくまでも行為者の行為実態。

↑ 行為者平均時間(2013年、平日、分、日あたり)
↑ 行為者平均時間(2013年、平日、分、日あたり)

パソコンの利用時間が長いのは就業時に仕事用として使うから。仕事の機会がほとんど無い10代ではパソコンの利用時間は短く、1時間半足らず。一方でスマートフォンは2時間以上使っている。

意外に思えるのはタブレット型端末の利用時間。行為者率そのものは少数だが、行為時間はどの世代でも1時間強で大きな違いは無く、10代はパソコンとほぼ同じ、20代は従来型携帯電話と競り、30代以降はスマートフォン以上。タブレット型端末を利用している人がその多機能性、汎用性にほれ込み長時間利用していることがうかがえる。

今調査結果の限りでは、10代に限らずパソコンの利用率はそれほど高くは無いが、10代は確実に他世代よりも低く、スマートフォンは高めに出ている。パソコンを利用している人も、10代では利用時間は比較的少なめ。

今件は2013年11月に実施した調査の結果なため、来年同様の調査結果が発表されることになれば、今年11月前後に調査が行われることになる。昨今話題に登っている「10代のパソコン行為者率の低下」の動きが、より顕著な形で見られるかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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