テレビや新聞、インターネットなどのメディアとの接触時間の実情をさぐる(2024年公開版)
年齢階層別に大きな差異が見えるメディア接触時間
世の中には情報を伝える多様なメディアが存在する。それらに人々はどの程度の時間を費やしているのだろうか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2023年5月に発表した「メディア定点調査2024」(※)の公開値から確認する。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスメディア、パソコンと携帯電話、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2024年では432.7分/日(週平均)との結果が出ている。昨年2023年が443.5分/日だから、わずかな減少を示していることになる。
また年齢階層別・男女別では、20代男性がもっとも長く530.7分の値を示している。次いで長いのは30代女性で481.9分。
全般的には男女ともに傾向だったものは見いだしにくいが、あえて言えば若年層が比較的長めというところ。
また前年2023年分と比べると、男性では30~40代と60代で大きな減少が確認できるが、女性では15~19歳で大きく減少している。特に男性30代ではマイナス73.6分と、1時間以上も減少しているのが目にとまる。一方、大きく増加しているのは男性では15~19歳と20代、女性は20代と30代。これらの属性はそれぞれ男性・女性内でメディア接触時間そのものが長くなっており、2023年における増加ぶりが、メディア接触時間における上位入りを後押ししたことをうかがわせる。
これを各メディアの時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。
・男性は15~19歳から40代、女性も15~19歳から30代までと50代は、タブレット型端末と携帯電話の接触時間の合計が長時間(3時間超)。
・パソコンは同じ年齢階層なら女性より男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因と考えられる。
・テレビは男性では15~19歳、女性も15~19歳がもっとも短い。男女ともその最短な年齢階層以降、おおよそ年齢とともに増えていく。また同年齢階層ならテレビは男性よりも女性の方が長い。
・ラジオは男性では60代で、女性は50代でもっとも長い。余暇時間の利用対象としての聴取だろうか。男性50代以降で長めになるのはカーステレオによるものと考えられる。
・男女とも年齢が上になるに連れて、従来型4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の接触割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット型端末、携帯電話)が減っていく。
・男性は15~19歳から40代まで、女性は15~19歳から50代まで、タブレット型端末と携帯電話の合計がテレビの接触時間を上回っている。
・男性は全年齢階層で、女性は15~19歳から50代でパソコン・タブレット型端末・携帯電話の合計(緑系統色の着色部分、要はインターネットを利用したメディア)がテレビを上回っている。
インターネットを用いる端末への接触時間が、特に若年層で長いこと、年が上になるに連れてテレビへの接触時間が伸びる傾向など、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、年齢階層間におけるメディア接触様式のギャップがあらためて認識できる結果ではある。
■関連記事:
【電通推定の日本の広告費を詳しくさぐる(経年推移)(2023年公開版)】
【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】
※メディア定点調査2024
調査方法は郵送調査方式。調査期間は2024年1月26日から2月9日。東京都を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、643通が回収された。各値は2023年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。
過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。