ウクライナ軍、トルコの軍事ドローン「バイラクタル」で黒海のロシア海軍の上陸用舟艇を爆破
ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。そして米国バイデン政権は米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供。さらに「フェニックス・ゴースト」も提供する。英国も攻撃用の軍事ドローンをウクライナ軍に提供している。ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃を続けている。軍事ドローンが上空から地上に突っ込んできて攻撃をして破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威になっている。
トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。
そして2022年5月にはウクライナ軍は「バイラクタルTB2」で黒海スネーク島付近に停泊していたロシア海軍の「Serna」と呼ばれる上陸用舟艇(Landing craft)を爆破することに成功した。ウクライナ軍はツイッターで動画も公開してアピールしている。
スネーク島は戦略的要衝でロシアが侵攻した初日に占領し、ウクライナ軍が空爆を続けている。スネーク島にいるウクライナ軍はロシア軍への降伏を拒否し続けており、ウクライナ軍が爆破したロシア海軍の艦隊「モスクワ」が接近してきて最後通告を突きつけた時に「ロシア軍艦、くたばれ!」と無線で返してウクライナで英雄視されていた。
このようにドローンで攻撃に成功する前にロシア軍に上空で撃墜されてしまうことも多い。そのため今回のスネーク島のロシア海軍の上陸用舟艇を爆破させたことからウクライナでの「バイラクタルTB2」の人気と知名度は不動のものとなり、ウクライナのSNSでは英語やウクライナ語で「バイラクタルTB2」を讃えた投稿が目立っている。2022年4月にウクライナ軍が対艦ミサイル「ネプチューン」で黒海のロシア海軍のミサイル巡洋艦「モスクワ」を撃沈させた時に比べるとインパクトは大きくはないが、それでも多くの人がウクライナ軍によるロシア軍への攻撃を讃えている。
トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。軍事ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国なども購入。アゼルバイジャンやウクライナ、カタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。タジキスタンも購入を検討している。
攻撃ドローンだけでなく監視・偵察用ドローンもウクライナ上空を多く飛行している。日本の防衛省もウクライナ軍に市販品の監視・偵察用ドローンを提供することを岸防衛大臣が明らかにしていた。今までの世界史の戦争でもここまでドローンが多く戦場で活用されているのは初めてだろう。
▼ウクライナ軍がロシア海軍の船を爆破させたことを報告するツイート
▼バイカル社の攻撃ドローンの「バイラクタル TB2」