ドル円は150円を突破後乱高下していたが、為替介入はあったのか
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3日のニューヨーク市場では、朝方に米長期金利が4.81%と、2007年8月上旬以来の水準に上昇したことから、ドル円は一時150円16銭まで上昇した。ところが、そこから数秒間で147円43銭まで急落した。
介入が実施されたかのような動き、もし介入となれば時間帯からFRBへの委託介入の可能性もあるが、いずれにしても介入かどうかはっきりしていない。
神田真人財務官は4日、海外市場で円が対ドルで急反発したことを受け、「介入の有無はコメントを控える」と述べていた。
その上で、「過度な変動に対してはこれまで通りの方針で臨んでいる」と市場をけん制したが、今回の動きが過度なものとはいえない。あくまで市場参加者が大きな節目としていたドル円の150円を抜いてきたに過ぎない。
神田財務官は為替水準について「直接の判断材料ではない」と繰り返していた。いずれにしても覆面介入があったのかどうかは、10月31日に発表される外国為替平衡操作の実施状況(9月28日~10月27日)で確認できる。
今回は、日銀が4日夕に発表した5日分の当座預金残高の予想は、ほぼ民間の事前予想通りだったことで、介入はなかったとの見方も出ている。レートチェックの可能性はあったのか。動きだけみられ、投機筋の仕掛というより、何かしら当局の動きがあったように思われる。
今回の動きをみても、円安ドル売りの流れは止められないことがあらためて示されたように思われる。ドル円は3円程度の調整はあってもその後再び149円台に戻されていた。
今回の円安は、米長期金利の上昇と日銀が頑として緩和方向にしか向いていないことが主要因であり、どちらかが解消されない限り、その流れを力尽くで止めることは難しい。むしろ絶好のドルの買い場を与えるだけとなりかねない。
今回は投機的な動きというよりも自然な流れともいえるもので、介入で力尽くで止めようとしても無理がある。
ドル売り介入の原資ともなる外貨準備を取り崩すにも限度がある。あまり効果がない介入を続けても外貨準備を失うだけともなりかねない。米長期金利はさすがに誘導することは無理があり、日本が取り得る手段は、緩和方向しか向いていない日銀の金融政策の転換を図る以外にない。