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大雨は線状降水帯だけではない 東北日本海側は20日(木)にかけて再び大雨のおそれ

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
7月15日(土)の雨雲の様子 線状降水帯は発生しなかった(ウェザーマップ提供)

 7月15日~16日にかけて、秋田県では記録的な大雨となりました。河川の氾濫が相次ぎ、秋田市の中心部が浸水するなど、大きな被害が出ています。

 14日の夕方の時点で発表された大雨に関する情報では、15日18時までの24時間で、多い所で200ミリの予想でしたが、実際は300ミリ近い雨の降った所もあり、予想を上回る大雨となってしまいました。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。

大雨は線状降水帯だけではない

 気象庁は一昨年から、大雨をもたらす線状降水帯が発生したことをいち早く伝えるため、「顕著な大雨に関する気象情報」(線状降水帯発生情報)の運用を始めました。また昨年は、半日程度前から、地方予報区単位で発生の可能性を伝える、「線状降水帯予測情報」(※正式名ではない)の運用も始めています。

 この2つの情報ができて以来、線状降水帯というキーワードが、大雨の一つの指標として注目されるようになりました。しかしながら、それが注目されるあまり、逆に「大雨=線状降水帯」が結び付きすぎているようにも感じます。

 今回の秋田県の大雨では、線状降水帯の予測情報も発生情報も発表されていません。アメダスの観測値を見ると、1時間雨量の最大値は46.0ミリ、3時間では94.5ミリ(いずれも八森)と、極端に多くはなく、観測史上最大となった地点はありませんでした。ただ、24時間雨量の最大値は330.5ミリ(仁別)となるなど、観測史上最大の地点が8地点もありました。

線状降水帯のような極端な降り方はしていないけども、時間雨量10~30ミリくらいの雨が強弱を繰り返しながら長い時間降り続き、記録的な雨量になったとみられます。

大雨は線状降水帯だけではありません。線状降水帯ばかりに気を取られるのは危険と言えます。線状かどうかにはこだわらず、気象庁から大雨に関する情報が発表されたら、大雨に備える必要があります。

 また、東北地方は、もともと雨には強くありません。九州などでは耐えられる雨量であっても、東北では大きな災害が起きてしまうこともあります。単純に数字だけでは比較できず、その地域にとって大雨となる雨量かどうかが重要になります。

1時間雨量の日最大値(気象庁ホームページより)
1時間雨量の日最大値(気象庁ホームページより)

24時間雨量の日最大値(気象庁ホームページより)
24時間雨量の日最大値(気象庁ホームページより)

20日(木)にかけて再び大雨のおそれ

 梅雨前線は南下し、東北地方は20日(木)にかけて、再び雨雲の通り道となる予想です。秋田県をはじめとする東北日本海側では、18日(火)18時までの24時間で80ミリ、その後、19日(水)18時までの24時間で50~100ミリ(いずれも多い所)、その後も雨量は増えるおそれがあると予想されています。

 これまでの大雨で土壌にはまだかなりの水分が含まれていて、特に土砂災害の危険度は高い状況が続いています。先日ほどの大雨ではなくても、災害が起きやすい状況です。土砂災害警戒区域や浸水想定区域にお住まいの方は、今後も警戒を続けてください。

19日(水)午前9時までの36時間予想雨量(ウェザーマップ提供)
19日(水)午前9時までの36時間予想雨量(ウェザーマップ提供)

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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