コロナによる学校閉鎖:世界中の3分の1の子供がリモート学習できない ユニセフが報告
世界規模での新型コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウンや学校閉鎖も世界中の多くの国で行われていた。国連児童基金(ユニセフ)のジェームス・エルダー氏は、現在の世界中の学校閉鎖について2021年7月に国連で報告を行っていた。
ユニセフによると、現在でも世界中のほぼ半数の国で学校が200日以上、閉鎖されている。全世界で6億人の子供が学校に行けない影響をうけている。東部・南部アフリカでは40%以上の子供が学校に通えてない。ラテンアメリカ・カリブ地域の18ヶ国ではまだ学校が完全閉鎖、または一部閉鎖したまま。また東アジア、太平洋地域では8000万人以上がリモート学習を受けることができていない。世界でも3分の1の子供がリモート学習を受けることができない。
また世界銀行によると、このように子供が学校に行けない、リモート学習を受けられないことは長期的にみると、10兆ドルの損失になると推計している。
学校が閉鎖でもオンライン学習も受けられない子供たち
日本でも新型コロナウィルス感染拡大によって2020年には多くの学校が休校になり、オンライン学習が導入された。小中学校は再開したが、大学では今でもオンライン学習が主流だ。日本だけでなく世界中で新型コロナウィルス感染拡大によって学校が閉鎖され、オンライン学習やリモート学習が導入されたが、特に途上国では自宅にネットの回線がない、パソコンだけでなく学習用のスマホやタブレットを所有していない、たとえスマホを所有していても長時間の授業を受けられるほどの通信費を払えない子供が多い。
ユニセフの報告によると、ウガンダでは学校閉鎖が300日以上だが、家庭でのインターネット接続は0.3%で、またスーダンも学校閉鎖が230日以上続いており、家庭でのインターネット接続は0.5%しかない。このように長期間にわたって学校が閉鎖されていても、自宅でリモート学習をできる環境がない。
そのような子供たちはパンデミックで学校が閉鎖されてしまうと、教育を受ける機会はゼロになってしまい、また家計を助けるために働かざるをえない。特に女子は学校に行かないで家計を助けるためだけでなく、家族の世話をするためにも働くことが多い。さらに様々な犯罪に巻き込まれる可能性もある。そして学校が再開されても、授業についていけなかったり、仕事をやめるわけにいかずに学校をやめてしまうことも多い。また、たとえスマホやタブレットなど機器や回線のデジタルツールが整備され、リモート学習が可能な環境になったとしても、家では家族が多くて、狭くて自分の部屋もなくてオンライン学習で授業を受けられない子供も多い。
さらに授業は学校で受けるものという思い込みがあり「家にいるなら働いて家計を助けろ」とリモート学習に対する理解を示さない保護者への対応も必要になってくる。日本では考えられないだろうが「女子が学校に行く必要はない」「女子に教育は必要ない」と本気で今でも思っている人が多い。そのためデジタルツールの整備が完了しても、家でリモート学習ができない現在の環境と保護者のリモート学習への理解を得ることへの対応が重要になってくる。