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関東地方は”4度目の正直”で、春一番が吹くか?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
予想天気図(ウェザーマップ)

春一番は五分五分?あすは一転、北風に

東京の時系列予報(気象庁データをウェザーマップが発表)
東京の時系列予報(気象庁データをウェザーマップが発表)

今夜1日(水)からあす2日(木)午前中にかけて、関東地方で春一番が吹く可能性があります。

関東地方の春一番は、気象庁から、下記の事項を基本として、総合的に判断して発表されます。

1)立春から春分までの期間

2)日本海に低気圧がある。低気圧が発達すればより理想的。

3)関東地方で強い南風が吹いて昇温する。具体的には東京北の丸で最大風速が8.0メートル以上。(最大風速とは、10分間平均風速の最大値)

タイトル画像にある通り、今夜からあすにかけては、低気圧が日本海を進み、これに向かって、関東地方には強い南風が吹き込む予想で、すでに沿岸部を中心に強風注意報が発表されています。

ただ東京北の丸での最大風速は計算上、7メートルから8メートル程度の予想で、8.0メートル以上の強い南風が吹いて、春一番が発表される可能性としては五分五分と言えるかもしれません。

またあす2日(木)夕方以降は、前線が通過するとともに、一気に冷たい北風に変わり、こちらの風の方が強まる心配がありますので、北風に変わった後の気温の急降下に要注意です。

ところで、関東地方の春一番は、今年これまで3度、条件が合えば発表されていましたので、吹けば”4度目の正直”での春一番と言えそうです。

1度目は幻の春一番

2月1日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)
2月1日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)

1度目は立春直前に吹いた、フライング気味の幻の春一番です。

2月1日の日中に低気圧が発達しながら日本海を東進し、これに向かって関東地方は南部を中心に南風が強まり、東京北の丸では、14時34分に南の風8.3メートルの最大風速を観測しました。気温も13.1度まで上がり、3月並みの暖かさとなりました。

気圧配置や風、気温の条件は、まさに春一番に合致していましたので、これがあと3日後の2月4日の立春だったら、間違いなく春一番が発表されていたことでしょう。

2度目は、東京北の丸(都心)まで吹き込まず

2月19日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)
2月19日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)

そして2度目は2月19日です。

低気圧はやや日本海スレスレだったものの、これに向かって関東地方には強い南風が吹き込み、横浜や千葉、羽田などでは平均10メートル以上の南風が吹き荒れました。ところが東京北の丸付近には吹き込まず、春一番とはなりませんでした。

これはよくあるパターンなのですが、南風は暖かく軽いため、その北側にある冷たい重たい空気の上に滑昇してしまい、羽田までは南風で暖かくても、すぐ北側の東京北の丸では、上空は南風で暖かくても、地上は北風で寒いという現象が起こります。

この時は、横浜や千葉で20メートル以上の最大瞬間風速を観測しましたので、これらの地方の方は、間違いなく春一番と思ったことでしょう。

3度目は低気圧の位置が条件に合わず?

2月28日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)
2月28日の実況天気図や平均風速(ウェザーマップ)

そして3度目がきのう2月28日(月)です。

関東地方南部を中心に強い南風が吹き、東京北の丸では13時35分に、南の風8.1メートルの最大風速を観測しました。最高気温も今年一番の19.4度まで上がり、4月中旬並みの暖かさとなりました。

これで春一番が発表されるかと思いきや、低気圧の位置が日本海北部ギリギリだったこともあり、気圧配置が条件に合致しないということで見送られてしまったようです。

ちなみに北陸地方では春一番の発表があり、4年前に同じ様な低気圧の位置で、関東地方でも春一番が発表されたことがあるため、関東地方でも発表してよかったのではないかと思っています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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