溺愛される新婚生活は「夢がたくさん詰まっています」。井頭愛海が初の恋愛ドラマでキスシーンの裏側は?
老舗旅館の若旦那の新婚妻への溺愛ぶりが話題を呼ぶドラマ『過保護な若旦那様の甘やかし婚』。板前修業中に結婚したヒロインを井頭愛海が演じている。「全日本国民的美少女コンテスト」出身で変わらぬ愛らしさは、甘やかしたくなる役に打ってつけだが、恋愛ドラマは初挑戦。初々しいキスなど毎回の胸キュンシーンに、どう取り組んでいるのか?
好きな韓国ドラマを観直しました
――1年前に取材させていただいたときは、「キックボクシングを始める」とのことでした。
井頭 今も続けています。結構ハマって、週に1回以上、行くようになりました。
――何か効果も出ていますか?
井頭 やっぱり運動すると体にいい気がします。汗をすごくかくので、短時間で代謝が良くなって。始めた頃より、パンチの瞬発力が上がったとも言われました。誉められて伸ばしてもらっていて(笑)、もっとうまくなりたいと思っています。
――『過保護な若旦那様の甘やかし婚』は初めての恋愛ドラマとのことですが、自分でそういう作品を観てはいました?
井頭 私もキュンキュンしたいので(笑)、韓国ドラマとかの好きなジャンルです。ハン・ソヒさんの『わかっていても』は配信されたときに観ていて、一番キュンキュンした作品なので、今回自分がラブストーリーをやるに当たって観直しました。何か参考にできるところはないかなと思って。
――実際、参考になったことはありました?
井頭 普通に楽しんで観ていたとき、何にそんなにキュンキュンしたんだろうと思っていたら、目線の動かし方ひとつでも、すごく色っぽかったり。2人のやり取りの距離感や、想い合っているのがわかる間(ま)も絶妙だなと思いました。
一生懸命すぎて人に頼れないのはわかります
――自分でも恋愛ものに出たい気持ちはあったんですか?
井頭 お話があったらいいなと思っていましたけど、なかなかご縁がなくて。今回はオーディションで、原作マンガで役の依音のキャラクターを見たとき、なんてかわいらしい子だろうと。三木(康一郎)監督ということもあって、絶対に演じたいという気持ちで臨みました。
――オーディションではどんなことをやったんですか?
井頭 4話くらいで出てくる、お風呂のシーンです。依音と雪斗がお互いを理解しようとして、距離がグッと縮まるところでした。あと、劇中で初めて2人で言葉を交わすシーンをやりました。
――依音役にハマりそうな感覚はありました?
井頭 自分と似ている部分は結構ありました。私も周りから「素直だね」と言われることがあって、ダマされやすいタイプだとも思いますけど(笑)、ものごとを真っすぐ受け止めます。一生懸命になりすぎて誰かに頼れないところも、依音の心情がわかって、きっと役に寄り添えると思いました。
――あと、愛海さんもみんなにかわいがられているのでは?
井頭 そうですね(笑)。人なつっこい性格ではあると思うので、先輩方にはかわいがってもらってきました。
受け身で素直な表現を一番大事に
――今回はキスシーンも多いですね。
井頭 毎回キュンキュンするシチュエーションがあります。そういうシーンもやったことがなかったので、最初はすごく緊張しました。でも、依音も同じだったと思うんです。雪斗が初めて好きになった相手だったので。そこはリンクさせて頑張りました。
――雪斗役の高野洸さんの取材では、三木監督に「キスシーンはアクション」と言われたとのことでした。
井頭 流れるのは数分でも、ここで間を1、2、3まで取るとか、キュンキュンさせるための見せ方は思っていた以上に必要でした。そこをていねいにやると、きれいなシーンになると感じることは多くて。監督は照明にも気をつかわれていました。お互いの顔に影がかぶらない角度を探して、目がキラキラして見えるように、細部までこだわってくださって。
――演じる側も考えることは多かったですか?
井頭 気をつけないといけないことは事前に確認しますけど、依音は受け身のお芝居が多いんですね。雪斗のアクションに対して、素直な表現をする。初めてのこととして感じる。それが私の中では一番大きかったです。
目線や眉毛の動かし方で変わるので
――つまり、いろいろ気を配りながらも、真っ白な気持ちを保ち続けると。
井頭 シーンを作るうえで段取りもしますけど、依音が幸せを感じているシーンがほとんどだと思うんです。そこでいかに、観る方にも一緒にキュンキュンしてもらえるか。心の声のモノローグが多いので、台詞より表情だけでお芝居することが多くて。目線や眉毛のちょっとした動かし方でも表現が変わると、三木監督に撮影前から教えていただいてました。依音の気持ちを咀嚼して、自分の中に取り込んで演じることを大切にしています。
――川辺でのキスシーンとか、いい感じになっていました。
井頭 映像もきれいですし、原作のかわいらしい雰囲気も出ていると思います。想い合っている2人の純粋なラブストーリーが、音楽や光景も加わって、より良い作品になっている感じがします。
――自分で観ると、テレたりはしませんか?
井頭 私はいつも自分の映像を観ると、「もっとこうしておけば良かった」とか考えてしまって。客観的には俯瞰できないので、観た方に評価してもらえたらいいなと思っています。
恥ずかしがっていたらできません
――雪斗にキスされて「俺以外の男とこんなことしちゃ絶対ダメだよ」と言われたりするのは、女子的にはときめくものですか?
井頭 どうなんですかね? そういう男性を好きな女性はきっといるでしょうし、「こういうことをされたい」という夢がたくさん詰まった作品なので。現実ではありえないかもしれないシチュエーションを、体験した気持ちになれる気がします。
――頭をポンとされたり、メロンパンを「あーん」とされたり。愛海さんもイチ女子としては、キュンとするわけですか?
井頭 私は台本を読んでいて、「こんなの聞いてられないよ」なんて思っちゃうところもあります(笑)。撮影の合間に楽屋で高野さんと読み合わせをしていると、聞いてくださっていたメイクさんやスタイリストさんが「キャーッ!」となったり。それを恥ずかしがっていたらできないので、頑張っていました。
――劇中に出てくることでも、そうでない妄想でも、愛海さん自身が憧れるシチュエーションはないですか?
井頭 私のオススメは、若旦那様が掛けていたメガネを外して、2人の距離が近くなるシーンです。そこはちょっとドキドキしました。
小さいことまで気づいてくれるのが素敵です
――結婚生活に関する夢はありますか?
井頭 結婚願望はずっと昔からあります。寄り添って温かい家庭を築いてくれるような人だったら、楽しそうですね。常にお互いをリスペクトし合える関係で、相手は温厚な方がいいです。
――甘やかされたいですか?
井頭 それは甘やかされるほうがいいです(笑)。何でも「いいよ」と言ってほしい。雪斗も依音の小さいことまで気づいてくれたり、大好きだからこそ、よく見ているんですよね。そこは素敵に思いました。
――たとえば、誕生日には花束を贈ってほしい、みたいなことはないですか?
井頭 してくれたら嬉しいなと思いますけど、派手なことをしてもらいたいわけではなくて。でも、私もロマンチックなことは好きなので、何か考えてほしいです。
キャラクターのグッズをひたすら集めました
――依音はもともと雪斗を推しとして崇めていましたが、愛海さんには推しはいないんでしたっけ?
井頭 そこまでのめり込めるものは、私にはなかったです。推しって、普通に仕事をしているだけではない楽しみで、人生に彩りをくれますよね。いいなとは思っています。
――キャラクターとかでも、なかったですか?
井頭 中高生の頃はスヌーピーが好きで、グッズをひたすら集めていました。筆箱とか筆記用具は全部スヌーピー。UFOキャッチャーがあれば行ってました。今はおぱんちゅうさぎにどハマりしています。キーホルダーを付けたり、ステッカーを携帯の後ろに貼ったり。同じ作者さんの、んぽちゃむも好きで、ものまねもよくしています。
――披露したこともあるんですか?
井頭 友だちの間だけです。おぱんちゅうさぎの歌は、そこら辺でよく歌っています(笑)。
日本料理で長い包丁を扱うのは大変です
――依音は板前修業もしていますが、愛海さんは料理はもともとしていたんですよね。
井頭 基本的に自炊していて、料理はすごく好きです。今回の撮影前には練習も兼ねて、野菜をいつもより多く切るようにしました。でも、撮影では日本料理に使う包丁がすごく長くて、扱うのが大変でした。現場で板前さんが教えてくださって、魚の捌き方や切り身の作り方も習いました。
――普段はどんな料理がレパートリーなんですか?
井頭 最近よく作るのはスンドゥブです。辛い韓国料理が好きで、イカの塩辛を入れるとコクが出るらしくて。それで辛みを調整したりしています。
――依音は手に生傷を作りながら、修業に打ち込んでいて。
井頭 ひたむきに頑張っています。板長だった父親を小さい頃に亡くして、ずっと1人で板前修業をしてきて。その点だと、私も小学生の頃からお仕事を始めて、親元を離れて東京で活動することが多かったんですね。レッスンもあって、学生時代も友だちと遊ぶ時間はあまりありませんでした。でも、このお仕事が大好きで、強い意志を持って目標に向かって頑張っているのは、依音と同じです。
どうしたらキュンキュンするか話し合って
――相手役の高野洸さんも子どもの頃からDream5で活動して、『妖怪ウォッチ』のテーマ曲の『ようかい体操第一』を大ヒットさせました。その頃は、愛海さんも見てました?
井頭 小学生の頃、『天才てれびくん』とかでよく拝見していたので、「わっ、高野さんだ!」と思いました(笑)。Dream5のメンバーだった大原優乃ちゃんや日比美思ちゃんと共演したこともあったので、そんなお話もさせていただきました。
――今は雪斗役にふさわしいイケメンぶりですよね。
井頭 高野さんはすごく真面目な方で、包容力ややさしさが滲み出ています。作品に一生懸命向き合われている姿を見て、私ももっと頑張らなければと力をいただきました。「どうやったらキュンキュンするだろう」とか話しながら、一緒に作り上げていきました。
鼻血を出すのも大変だけど面白くて
――依音は鼻血を出すシーンもありました。
井頭 バーッと血を出すのは初めてで、大変でした(笑)。いろいろ仕込んで、テイクを重ねて、なかなかうまくいかなくて。それも含めて面白かったです。
――他に撮影で印象的だったことはありますか?
井頭 2人のシーンはもちろん、個人的には仲居さんシスターズの3人の方のお芝居が面白くて。細かいところで、いろいろなことをアドリブで入れてきて、テストまでは毎回、吹き出していました(笑)。
――舞台になっているような老舗旅館には、馴染みはありました?
井頭 なかなか行く機会はないですけど、家族旅行でお刺身が乗った船盛りを食べた記憶があります。今回の撮影では本物の料亭をお借りして、板前のシーンでおいしいものがたくさん出てきたので、作るほうでなく食べるほうをやってみたいなと思いました(笑)。
――雪斗がくれる金平糖は、実際に食べていたんですよね。
井頭 いっぱい食べられて嬉しかったです(笑)。私は駄菓子屋さんでよく買っていましたけど、撮影では浅草の仲見世通りのお店で買うシーンもありました。たぶん本当にそこで売られていた金平糖で、おいしかったです。
ラーメン屋さんに並んで食べるのが幸せ
――三木監督はこのドラマについて、「ただただ幸せな物語を作り上げる」とコメントされています。愛海さんは日ごろ、どんなことで幸せを感じますか?
井頭 おいしいごはんを食べたときですね。特にラーメンが好きで、おいしいお店で並んで食べられたときに、幸せを感じます。
――どこのラーメンが特においしかったですか?
井頭 八王子の屋台ラーメンを食べに行って、冬の寒い日でしたけど、外で食べることって、博多とかでないとあまりないですよね。玉ねぎが乗っているのが特徴でおいしかったですし、屋台っていいなと思いました。
――並ぶことも含めて、楽しい感じですか?
井頭 そうですね。並ぶのは全然苦でないタイプで、友だちとおしゃべりしながら待ったりするのも楽しいです。1時間半くらい並んだこともあります。
――暑い夏もラーメンを食べに行くんですか?
井頭 そうですね。日傘を持って、暑さ対策をして。飯田商店というラーメン界で一番おいしいとも言われるお店があって、なかなか予約が取れないんですけど、ぜひ行ってみたいです。今年の夏も、ラーメンをたくさん食べたいと思っています(笑)。
撮影/保坂均
Profile
井頭愛海(いがしら・まなみ)
2001年3月15日生まれ、大阪府出身。2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞。2013年に映画『おしん』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『べっぴんさん』、『さくらの親子丼2』、『少年寅次郎』、『波よ聞いてくれ』、映画『鬼ガール!!』、『メイへムガールズ』、ミュージカル『るろうに剣心 京都編』など。ドラマ『過保護な若旦那の甘やかし婚』(MBS)に出演中。
ドラマ特区『過保護な若旦那様の甘やかし婚』
MBS・木曜24:59~ほか