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敬老の日、アメリカでは100歳のお祝いに大統領からグリーティングカードが届く

斉藤徹超高齢未来観測所
今年の敬老の日は9月16日(提供:イメージマート)

日本は100歳以上高齢者10万人時代

日本では敬老の日に合わせて多くの自治体で、古希(70歳)や喜寿(77歳)、百寿(100歳)を迎えた方々をお祝いし、記念品やお祝い金が贈られます。それらの中でも百寿は特におめでたいとされ、金杯や高額のお祝い金を贈る自治体もあるようです。

高齢化が進む日本では100歳を迎える人の数は年々増加しています。現在100歳以上の高齢者数は9万2千人おり、そのうち女性が9割を占めています。この数値は年々更新されており、もう間もなく100歳以上人口10万人時代がやってくることでしょう。

その意味で、日本において百寿を迎えることは既に珍しいことではなくなっています。そうしたことを背景に、長寿祝い金を減額する自治体も最近では増えてきているようです。実際、百寿の方に内閣総理大臣名で贈られる銀杯は、すでに2016年には、純銀製から銀メッキ(洋白。銅、亜鉛、ニッケルの合金)製に変更されています。対象者の増加に伴うコスト削減が目的です。

海外でも「敬老の日」はあるのか

日本では高齢者を敬う祝日として、1966年に「敬老の日」(9月第3月曜日)が定められ、それ以降この日は高齢者をお祝いする日として定着してきました。

それでは、こうした長寿を記念したお祝いの習慣は、日本以外の海外各国でも行なわれているのでしょうか。

調べてみると、米国では「祖父母の日(Grandparents Day)」(9月の第1日曜日後の月曜日)、中国では「重陽節(Chongyang Festival)」(旧暦の9月9日)、イタリアでは「祖父母の日(Festa dei Nonni)」(10月2日)など、日本以外の国でも高齢者や祖父母に感謝を示す祝日が設けられている場合があるようです。なぜか、記念日が9月10月に集中しているのは興味深いことです。

米国では大統領から直筆のメッセージカードが贈られる

それでは、海外各国ではどのようにお祝いが贈られるのでしょうか。

米国では、100歳を迎えた方に大統領から直筆の手紙が贈られます。ウェブサイトを検索してみると、実際に大統領から贈られた直筆のサインが添えられたメッセージカード写真を目にすることが出来ます。

トランプからのメッセージを持つ100歳を迎えたMrs. Springさん

出所:WAFB9
出所:WAFB9

ただし、このメッセージカードを百寿者が入手するためには、個別に事前にホワイトハウスに申請する必要があります。ホワイトハウスの公式ウェブサイトには、「大統領からのグリーティングス(Greetings from the President)」という専用ページがあります。そこに、寿命を祝う人のフルネーム、住所(カードが送付される場所)、生年月日、リクエストする者の名前と連絡先、リクエストの種類(100歳の誕生日メッセージであること)などを記入し、誕生日の6週間前に送付することが推奨されています。ちなみにグリーティングカードを入手することが出来るのは、米国市民および米国在住者に限られています。

英国では国王からお祝いの手紙が届く

同じく英国でも、米国と同様に英国王室の公式ウェブサイトを通じてグリーティングカードをリクエストすることができます。また100歳の誕生日だけでなく、105歳以上の方が誕生日を迎えるたびに毎年カードを受け取ることや、50周年、60周年、70周年の結婚記念日にもグリーティングカードをリクエストすることができます。君主からメッセージカードが贈られることは、1917年、ジョージ5世の治世から始まり100年以上続く伝統のようです。

チャールズ国王とカミラ王妃の肖像を配した「お祝いカード」を持つ100歳を迎えたルースさん

出所:Instagram:theroyalfamily
出所:Instagram:theroyalfamily

また、これ以外の国でも、例えば、ポーランドでもポーランド大統領からお祝いの手紙が届く、アイルランドでは、100歳を迎えた人に対して大統領からお祝いの手紙が贈られるのに加え、€2,540(約35万円) の贈り物が贈られる。フィリピンでは政府から 100,000ペソ(約20万円)の現金が支給されるといった国もあるようです。

以上、諸外国における長寿のお祝いの内容を見てきました。その内容はさまざまでしたが、いずれにしても長寿で100歳を迎えるということは本人も、その家族にとっても喜ばしいことです。高齢者の多い超高齢社会の日本だからこそ、百寿を迎えた方々を温かくお祝いしたいものです。

超高齢未来観測所

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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