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「高」と書いて「ヒクシ」は認められるのか?~改正法成立で戸籍に「読み仮名」全国民必須へ

竹内豊行政書士
戸籍法の改正で全国民が名前に「読み仮名」を付けることになります。(写真:イメージマート)

戸籍にこれまで記載がなかった氏名の「読み仮名」を必須とする改正戸籍法などが今月2日、参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立しました。

氏名の読み仮名は、全国民に関わることです。そこで、今回は、改正戸籍法で氏名に関してどのようなことが起きるのか深掘りしてみたいと思います。

戸籍に読み仮名を付ける狙い

行政事務のデジタル化に向け、読み仮名を記載して個人データの検索や利用・活用を容易にすることが主な狙いです。また、マイナンバーカードの海外利用で氏名をローマ字表記する必要があるとも見据えています。

スケジュール

改正戸籍法は、2024(令和6)年度にも施行され、全国民が施行後1年以内に本籍地の市区町村に届ける必要があります。

届け出を促すために、市区町村は住民票などで既に把握している読み仮名を通知します。1年以内に届け出がなければ、職権で記載します。

なお、新生児らが初めて戸籍に載る際は併せて読み仮名を記すことになります。

認められない読み仮名は・・・

いわゆる「キラキラネーム」など漢字本来と異なる読み方は「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」との基準(読み仮名のルール)を設けました。

「一般に認められている」の基準の詳細は法務省が今後、通達で示しますが、次のようなケースは認められないことになりそうです。

1.漢字とは意味が反対

「高」と書いて「ヒクシ」

2.読み違いかどうか判然としない

「太郎」と書いて「ジロウ」

3.漢字の意味や読み方からはおよそ連想できない

「佐藤」と書いて「スズキ」

その他、常用漢字表や辞書に掲載がない読み方の場合も、届け出人に説明を求めた上で判断することになるようです。

今回の改正戸籍法は全国民に係わります。今後の法務省の通達に注目です。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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