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左腕主導は正解? プロとアマの筋電図データを見たゴルフ研究者も言う、ダウンスイングでの両腕の使い方

野洲明ゴルフ活動家

昔から言われている「左腕主導」

昔からゴルフスイングは「右腕に頼らずに左腕主導」と言われている。ダウンスイングでは、右腕が早く伸びてクラブヘッドを早めに下ろしてしまったり、手首をこねてしまったりしやすい。左腕主導でスイングすることで、それらのスイングエラーを回避しやすくなるからだ。

ただ、プロゴルファーの中には「右手でボールを押す」などと、右腕主導でスイングするべきと言う人もいる。「左腕主導だからフェースの返しが遅れてスライスする」という見解も耳にしたりする。

はたしてどちらが正しいのだろうか。

腕の筋活動を調べた研究結果

腕の筋活動について調査した客観的なデータを紹介する。日本プロゴルフ協会ティーチングプロでありながら、研究機関でゴルフの研究実績も豊富な鈴木タケル氏と、東洋大学准教授の一川大輔氏の共著「ゴルフ 新 上達方式」の中で、2017年に発表された「プロゴルファーとアマチュアゴルファーの前腕筋肉の筋電図解析(Electromyographic Analysis of Forearm Musclesin Professional and Amateur Golfers AdamJ.Farber,MD,J.SteveSmith,MD,RonaldS.Kvitne,MD,KarenJ.Mohr,PT,StevenS.Shin,MD,)」という研究結果が紹介されている。

これは、アマチュアゴルファー10名とプロゴルファー10名のスイングを「バックスイング」「切り返し~ハーフウェイダウン」「ハーフウェイダウン~インパクト」「インパクト~シャフトが水平になるまで」「シャフトが水平の時点~フィニッシュ」の5つの局面に分けて解析したもの。

左右の前腕に電極を取りつけて、スイング時の、短とう側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)、円回内筋(えんかいないきん)、とう側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)、尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)の筋活動を計測した。

そして「切り返し~ハーフウェイダウン」と「ハーフウェイダウン~インパクト」でプロとアマに有意差が出たところがあった。両手の円回内筋だ。

左手の円回内筋はプロゴルファーの方が有意に活動が大きく、右手の円回内筋はアマチュアの方が有意に活動が大きい。つまり、プロゴルファーは左腕主導でダウンスイングしていて、アマチュアは右腕主導でスイングしているのだ。

円回内筋:前腕の回内、肘関節の屈曲に使われるところ

ゴルフ 新 上達法則 内の表を元に筆者が編集
ゴルフ 新 上達法則 内の表を元に筆者が編集

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右腕主導イメージのぜひ

客観と主観は異なる。自分の感覚やイメージと実際に起こっていることは違うものだ。「右手で押す」などと右腕主導を推奨しているプロゴルファーの筋活動を計測しても、上記の傾向に当てはまると思われる。なので、右腕主導のイメージでスイングして、結果的に左腕主導のスイングになっているのだから、右腕主導のイメージが間違っているわけでなない。

ただ、主導する腕をどちらとすることが基準になるかといえば、“左腕”だろう。右腕主導が誰にでも当てはまるものとしてとらえることは、誤りと言えるのではないだろうか。

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ゴルフ活動家

スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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