Yahoo!ニュース

「自転車スマホ」は危険がいっぱい: 全国ワースト1の大阪で、再びNMB48がNHKで注意呼びかけ

佐藤仁学術研究員・著述家
(NHK大阪)

大阪府では、2015年の1年間の自転車事故が12,000件を突破し、死者も50人だった。これは全国ワースト1で、大きな社会問題になっている。

春に続いて秋も、大阪ではNHKでNMB48が注意呼びかけ

そのためNHK大阪放送局では、大阪で人気のNMB48の7人のメンバー(石塚朱莉さん、井尻晏菜さん、上枝恵美加さん、川上礼奈さん、渋谷凪咲さん、内木志さん、三田麻央さん)が出演するテレビの1分ミニ番組やラジオミニドラマを制作したり、ホームページなどを通じて「STOP!危ない自転車キャンペーン」を展開している。

NHK大阪では2016年3月にも、春の全国交通安全運動期間に合わせて、NMB48のメンバー(加藤夕夏さん、岸野里香さん、城恵理子さん、三田麻央さん、山尾梨奈さん、山口夕輝さん、吉田朱里さん)が出演して同様にテレビの1分ミニ番組やラジオミニドラマを制作して、自転車事故の危険性を訴えて、自転車の安全運転を呼びかけていた。今回は三田麻央さん以外は新たな顔ぶれだ。

自転車スマホは危険

2人乗りや飲酒運転の危険性は言うまでもなく、スマホの急速な普及に伴って「歩きスマホ」も問題になっているが、自転車運転中のスマホ操作も非常に危険である。「自転車スマホ」をしている人は「自分だけは大丈夫。周囲がちゃんと見えているから問題ない」と自己中心的な思考に陥っていることが多いが、そのようなことは絶対にない。事故に遇ったり、相手に大怪我をさせてしまってからでは遅い。「自転車スマホ」は命がけでやるようなことではない。

NHKのラジオ番組の中でも内木志さんが出演している「スマホ運転」では、自転車に乗りながらスマホをチェックして「モンスター探し」をしていたら怪我をしてしまうというストーリーで、2016年夏に大流行した「ポケモンGO」と思われる内容となっている。このミニドラマでは自転車に乗ってスマホをしている人が縁石の乗り上げてハンドルを取られて軽い怪我をしただけだったが、もしかしたら自動車と衝突して大事故になって死亡したり、通行人にぶつかって相手に大怪我をさせていたかもしれない。

スマホ運転の危険を訴えるラジオに出演したNMB48の内木志さん(NHK大阪)
スマホ運転の危険を訴えるラジオに出演したNMB48の内木志さん(NHK大阪)

大阪では自転車保険の加入も

またミニラジオでは大阪府で2016年7月に制定された「大阪府自転車条例」の中にある「自転車保険の加入義務化」もNMB48の渋谷凪咲さんが紹介している。2015年に大阪府では自転車事故の死者数は50人に達し、2014年に比べて16人の大幅増となった。特に死者数の約5割が高齢者で、その死因の約8割が頭部損傷によるものだった。また、自転車が加害者となる交通事故によって、死者や重篤な後遺障害が生じ、高額な賠償請求事例も発生しているそうだ。もちろん自転車保険に加入していれば安心というわけではないので、くれぐれも自転車を運転するときは安全運転に注意すべきである。

自転車保険加入を伝えるラジオに出演したNMB48の渋谷凪咲さん(NHK大阪)
自転車保険加入を伝えるラジオに出演したNMB48の渋谷凪咲さん(NHK大阪)

他にもNMB48の石塚朱莉さんは「整備不良」、井尻晏菜さんは「スピード違反」、上枝恵美加さんは「右側走行」、川上礼奈さんは「すり抜け運転」、三田麻央さんは「子どもの怪我」のミニラジオに出演して自転車の安全運転を伝えている。

自転車の「ながら運転」は絶対やめて!

自転車に乗りながらのスマホ操作は危険だ。自転車に乗る人が被害者になるだけでなく加害者となる事故も起きている。

2016年3月には内閣府政府広報室が、自転車に関する交通事故が後を絶たないことから「自転車を安全に利用するためのルールやマナーを改めて確認しましょう」と注意を呼びかけた。その中でも政府は自転車を利用する人は、以下のように何かをしながらの危険な運転、いわゆる「ながら運転」は絶対にやめるようにしましょうと、その危険性を強調していた。 これらの行為は車を運転している方から見ても、車の存在に気が付いているのかどうか不安であり、心配である。「ながら運転」している人らは「歩きスマホ」と同じで、自転車を運転しながらも、気持ちはスマホの中のメールやSNS、ゲームまたはイヤホンの音楽にいっている。そして自己中心的思考に陥っているから「自分だけは大丈夫。ちゃんと車や周囲のことも見えている」と思い込んでいるが、それが危険である。

1.スマホや携帯電話を使いながらの運転

スマホや携帯電話などを操作しながらの運転は片手運転でふらついたりバランスを崩したりしやすいうえ、周囲が十分に見えていない。そのため、自動車や他の自転車にぶつかったり、歩行者にぶつかってけがをさせたりするおそれがある。「歩きスマホ」よりも自転車に乗っている分、はるかに危険である。そのような自転車に突っ込んでこられたらた、大怪我をしてしまう。スマホに神経を集中しているから、視界も悪く周囲も見えていない。気が付いた時には自分が事故に遇うか、相手に大怪我をさせてしまう可能性が高い。「自転車スマホ」は器用でもなんでもなく、まさに「走る殺人兵器」のようなものであり、危険しかない。

2.傘さし運転

傘をさしながらの運転は、片手運転でふらついたりバランスを崩したりしやすいうえ、 傘によって視界が遮られることがある。そのため自動車や他の自転車にぶつかったり、歩行者にぶつかってけがをさせたりするおそれがある。

3.イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴きながらの運転

イヤホンやヘッドホンを装着して音楽などを聴きながら運転することは、音楽に気をとられて注意散漫になったり、近づいてくる自動車の音が聞こえなかったりして、事故に遭う危険性が高まる。 なかにはイヤホンしてスマホを操作したり、イヤホンして傘をさしながら自転車に乗っている人までいる。もはや恐ろしくて近寄りたくない。

危険な自転車の「ながら運転」通話、スマホ、イヤホン(内閣府)
危険な自転車の「ながら運転」通話、スマホ、イヤホン(内閣府)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事