NY原油5日:反落、前日に発表された米原油在庫急増を蒸し返し
NYMEX原油4月限 前日比1.01ドル安
始値 50.61ドル
高値 51.95ドル
安値 49.60ドル
終値 51.53ドル
前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した原油在庫急増が蒸し返され、期近主導で反落した。
特に目新しい材料は見当たらなかったが、今週発表された米原油在庫が前週比+1,030.3万バレルと急増していたことが蒸し返され、戻り売り優勢の展開になっている。この発表が行われた時点では、WTI原油先物の受け渡し場所であるクッシング地区の在庫増加ペースが鈍化したことを受けて、期近買い・期先売りの裁定が活発化した。しかし冷静に在庫統計をみれば、全米で強力な原油在庫の積み増しが行われていることには変化がなく、本日は上値追いに慎重ムードが強くなった。
リビアでは不可抗力条項の適用が宣言されたが、同国からの石油輸出トラブルは既に織り込み済みとあって、マーケットの反応は限定されている。リビアの産油量は既にこれ以上の減少余地が殆ど存在しないレベルであり、改めてリスクプレミアムを織り込む必要性は認められていない。イラクでは、ISILがティクリート近郊の油田に放火したとの報もあるが、地政学的リスクのプレミアムを加算する動きは限定されている。
原油相場急落を受けて需給バランスの歪みが解消に向かっているとの報告も増えているが、この時期から原油相場が反発してしまうと、需給均衡化をもたらすのに十分な生産調整が進まず、今後の反発力が限定されてしまうことになる。マーケットでは、短期弱気派と中長期強気派のパワーバランスが拮抗しており、明確な方向性を打ち出しづらい状況が続いている。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。
【訂正 2015/03/05 12:10】第一パラグラムの高安の記載が謝っていました。お詫びして訂正いたします。