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トラウマ治療とPTSD治療の違い。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

トラウマとは、トラウマ体験で負った心の傷(心的外傷)のことです。
主には、自然災害や戦争、犯罪、事故などの体験を、トラウマ体験と呼んだりします。

PTSD(心的外傷後ストレス症)とは、トラウマの記憶が何度も思い出され、恐怖や不安を感じたり、集中力や記憶力が低下したり、夜寝られなくなったりし、社会生活に支障をきたした状態が4週間以上続いてる場合に診断される症状名です。
PTSDとは、Post Traumatic Stress Disorder の略です。

トラウマは、自然に回復することが少なくないです。トラウマ体験を負った人には、支持的精神療法(指示的ではありません)を用い、時間が解決することを目指すのが無難です。

けれど、PTSDになってしまった場合は、支持的精神療法と時間だけでは、症状を回復させるのが難しくなりますので、薬物療法も検討しながら、持続エクスポージャー法や認知処理療法や眼球運動による脱感作と再処理法や認知療法などの本格的な心理療法をやっていくといいでしょう。

トラウマ治療では、トラウマ体験を無理に思い出させないほうがいいです。
PTSD治療
では、トラウマ体験を積極的に思い出させることも、時に必要となります。

トラウマ体験のあと、侵入症状や回避症状や認知と気分の陰性変化や覚醒度と反応性の著しい変化が4週間以上経っても回復されないのであれば、PTSD治療を検討しても宜しいかと思います。

侵入症状とは、トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復されることです。

回避症状とは、トラウマ体験を思い出したり考えたりすることを避けるため、人物、事物、場所、状況や会話を回避し、社会生活に支障を生じさせることです。

認知と気分の陰性変化とは、否定的な認知、興味や関心の喪失、孤立感を感じ、幸せや愛情などの明るくポジティブな感情(幸福、愛情など)が持てなくなることです。

覚醒度と反応性の著しい変化とは、イライラ感や自己破壊的行動や過剰な警戒心や小さな刺激に驚く反応、集中困難、睡眠障害のことです。


トラウマ治療では、カウンセラーを含め周囲の方は、本人が話したがらない限り、無理して不快な体験を聞き出さないほうがいいでしょう。
PTSD治療では、専門家である精神科医・セラピスト・カウンセラーは、本格的な心理療法(トラウマ体験を聴き出すこともあります)を適切にやったほうがいいでしょう。

私は、あなたとあなたの周囲の人が、心穏やかに幸せに生きていかれることを、心から祈っています。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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