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第1シードを撃破! 奈良くるみ/尾崎里紗組が、チャン姉妹を破って、東レPPOテニスで初のベスト8!!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
東レPPOダブルス1回戦で第1シードを破った奈良(右)と尾崎(写真/神 仁司)
東レPPOダブルス1回戦で第1シードを破った奈良(右)と尾崎(写真/神 仁司)

 今季好調な日本女子テニスのダブルス勢が、東京でも元気な姿を見せてくれた。

 奈良くるみ/尾崎里紗組が、東レ パン パシフィック オープンテニス(以下東レPPO)のダブルス1回戦で、第1シードのチャン・ユンジャン(台湾)/チャン・ハオチン(台湾)組を、7-6(8)、1-6、[13-11]で破って、大会初のベスト8進出を決めた。

 東レPPOは、ワールド女子テニスツアーの中で”プレミア”という上から3番目のグレードで、日本で開催される国際大会では最もレベルの高い大会だ。

「日本の大きな大会で第1シードに勝てたのをすごく嬉しく思っています」(尾崎)

「まさか勝てると試合には臨んでいなかった。いい試合ができたらな、ゲーム取りたいな、ぐらいで入った。とにかく勝ててすごく嬉しいですし、皆さんがすごく応援してくれたので、その中で勝つことができて、すごく嬉しいです」(奈良)

 奈良と尾崎のダブルスチームとしての初勝利を挙げたが、試合前の奈良はどうしても勝利をイメージすることが難しかった。

「自分たちがどこまでやれるのか、正直、今日の試合は入るまで不安でしかなかった」

 このように奈良が思うのも無理がなかった。なぜなら、チャン姉妹の今季ダブルスでの実績が際立っているからだ。

 姉のユンジャンは、今年9月のUSオープンテニスでは、マルチナ・ヒンギス(スイス)と組んだ女子ダブルスで、グランドスラム初優勝を成し遂げ、ダブルスのWTAランキングは3位(9月18日付け、以下同)。一方、ハオチンは、今年6月のウインブルドンの女子ダブルスで準優勝をして12位で、2人とも世界のダブルストッププレーヤーだ。

 一方、奈良のダブルスランキングは862位で、尾崎は599位。ダブルスの実績では、一枚も二枚も、チャン姉妹の方が上回っているのだ。

 今回の1回戦でのチャン姉妹は、ダブルス後衛から放つダウンザラインへの仕掛けが厳しく、さらにダブルス前衛での動きがよく、奈良と尾崎を追い込む場面が多かった。

 だが、奈良が後衛でよく走って、中ロブのボールを使って、時間と空間をつくり、相手の陣形を崩しながら、相手の返球が甘くなったところをドライブボレーで仕留めた。また、早いテンポを好む相手に遅いテンポのプレーをさせてミスも引き出したりした。

「基本的にストロークで頑張るというスタンスだった」という尾崎はミスが多かったものの、試合終盤にプレーが尻上がりに良くなって、特に最後のマッチタイブレークでは、積極的なプレーも見られた。

ワンセットオールになった後、10ポイント先取のマッチタイブレークでは、チャン姉妹に2回のマッチポイントを握られたが、奈良と尾崎がこれらをしのいで、逆に2回目のマッチポイントを活かして勝利を収めた。

 25歳の奈良は、ゲームが緊迫した展開になるにしたがって、23歳の尾崎の顔が緊張からみるみる強張るのを見て、「もっと上(の空間)を使って」と声をかけて先輩らしくリードした。

 準々決勝で、奈良/尾崎組は、ダリア・ガブリロバ(オーストラリア)/ダリア・カサキナ(ロシア)組と、ノーシード同士の対戦となるが、第1シードを破った勢いで初のベスト4入りを狙いたい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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