Bリーグへ彗星のごとく現れた身長2メートルのガード 17歳のジェイコブス晶は“渡邊雄太二世”だ!
17歳7ヶ月でB1出場
2021年11月13日、Bリーグの史上最年少出場記録が更新された。17歳7ヶ月0日でリーグ戦のコートに立ったのは、横浜ビー・コルセアーズのジェイコブス晶選手。56-73と宇都宮ブレックスに点差をつけられた終盤の登場ではあったが、彼は第4クォーター残り1分28分に登場。1スティール、1リバウンドを記録して試合を終えた。
彼は試合後にこのようなコメントを残している。
「出場した時、最初は少し緊張した。自分のシュートはそこまで意識していなかった。後から見るとフリーだった場面があったのかもしれないけれど、自分のシュートだけを考えるのはチームスポーツでない。良かったと思う一方で、もう少し出来たのではなかったのかとも思っている」
左利きのオールラウンダー
ジェイコブスは2004年4月13日生まれで、日本の高校なら2年生に相当する世代だ。200センチ・83キロと長身痩躯で、ポジションはガード。利き手は左で、最大の武器はアウトサイドからのシュートだ。同世代の日本の高校に在学する選手で、これだけ動けてスキルの高い2メートル級は、山﨑一渉(明成高校)くらいしか思い浮かばない。
彼は日本のバスケ界へ、まさに彗星のごとく現れた。今年7月の「U18 2021 Regional League」がおそらく一般のファンの目に触れた最初の機会で、その圧倒的な実力が一部で噂になった。10月下旬のB.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2021でも、チーム(横浜ビー・コルセアーズU18)は3位にとどまったが、鮮烈な活躍を見せていた。
ウェブから自分で申し込み
横浜U18の白澤卓ヘッドコーチ(HC)は逸材との出会いをこう振り返る。
「単純にウェブサイトでトライアウトの申込を自分でしてきました。彼はロサンゼルスにいたんですけど、ジムがロックダウンをしてバスケができなかった。母が日本人で横浜市に(祖母が)住んでいるので、(2020年の)年末に帰ってきてバスケができるところを探したら、僕らがヒットして来てくれました。僕らも『2メートル/ポイントガード』とエントリーが来たときにびっくりしました。『いるいる、こういう奴』と(疑わしく)思って来てもらったら本物でした(笑)」
彼の出生地は日本だが、育ちはアメリカ。今はアメリカの単位が取れる日本の通信制高校に通っているため、昼間に行われるトップチームの練習も参加が可能となっている。夜に行われるU18の活動にも参加しているが、アカデミーのスタッフが必ずトップのメニューを視察して、オーバーワークとならないような気配りをしているという。
英語と日本語のバイリンガル
帰国直後の21年2月に開催された島根スサノオマジック戦が、初めて彼の目にした“日本のプロバスケ”だった。ジェイコブス自身もアメリカでなかなか実戦経験が積めておらず、すぐにプロの練習に参加できる状態だったわけではない。しかし短期間の成長で、トップの特別指定選手契約を掴んだ。
白澤HCは振り返る。
「最初は今より(体型が)ヒョロっとしていたし、動きもギクシャクしていました。夏の期間が終わったら(トップの練習参加を続けるのは)無理かなと思っていました。でも動きがだんだんとシャープになって、あと彼は英語と日本語の両方を使える。トップチームで外国籍と日本人選手のハブになれるんです。晶はトップのプロの選手から色んなことを吸収できるし、お互いにメリットがあります」
渡邊雄太と重なる特徴
性格は「シャイで真面目。日本人っぽい」とのこと。コメントを聞いても、プレーを見ても、決してエゴイスティックなタイプではない。フィジカル面、実戦経験の不足は否めないが、ポテンシャルは日本代表級だ。長身の左利きオールラウンダーという特徴は、NBAで活躍する“あの選手”と重なる。
白澤HCは言う。
「シュートは彼も好きですし、アメリカでもずっと取り組んでいたので、その強みは伸ばしていかなければいけません。日本代表を目指している中で、どのポジションだろう?となると、渡邊雄太選手(トロント・ラプターズ)がウイングでプレーしているのとかぶって見えます。そこをベンチマークにしながら、この数年でアウトサイドシュートなら晶のほうが質は高いとなれるようにしていきたい」
ジェイコブスの他にも、介川アンソニー翔(開志国際高2年)のようにコロナ禍で日本に転校して活躍している例がある。世界にはまだ我々の知らない“未来の日本代表”が埋もれているのだろう。ジェイコブスが経験を積み、日本代表として世界に羽ばたく日を楽しみに待ちたい。