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1年おきのワールドチャンピオンは逃しても、1年おきのポストシーズン進出は継続。ということは今年は?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ワイルドカード・ゲーム直後のB.ポージーとM.バムガーナー Oct 5,2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

サンフランシスコ・ジャイアンツは、2010年、2012年、2014年にワールドシリーズ優勝を飾り、その間の2011年と2013年はポストシーズン進出を逃した。この「隔年の法則」どおりなら、2016年はワールドチャンピオンのはずだったが、そうはならなかった。

ただ、ジャイアンツは87勝を挙げてワイルドカードを手にした。同じく87勝のニューヨーク・メッツをワイルドカード・ゲームで下した後、ディビジョン・シリーズでシカゴ・カブスに敗れ、「1年おきのワールドチャンピオン」は途切れたものの、「1年おきのポストシーズン進出」は継続している。

この繰り返しが続くと、今年のジャイアンツはポストシーズンに辿り着けないことになる。1年おきということは、当然ながら、チームにとっては継続したい年と継続したくない年が交互に巡ってくる。ジャイアンツの場合は、偶数年が前者、奇数年が後者だ。

現在、1年おきのポストシーズン進出を継続しているのは、ジャイアンツだけではない。ボルティモア・オリオールズとワシントン・ナショナルズはどちらも、2012年、2014年、2016年にポストシーズンへ駒を進め、2013年と2015年はポストシーズン進出を逃している。

ジャイアンツのように、1年おきのポストシーズン進出を4度繰り返した例は過去になく、3度の繰り返しも4チームしか記録していない。セントルイス・カーディナルス(1926年、1928年、1930年)、ロサンゼルス・ドジャース(1981年、1983年、1985年)、ボストン・レッドソックス(1986年、1988年、1990年)、ドジャース(2004年、2006年、2008年)がそうだ。

20世紀の3チームに対し、21世紀はまだ5分の1も終わっていないもかかわらず、すでに4チームを数える。これは、ポストシーズンに進出できるチームの数が増えたことが、大きな要因だろう。全体のチーム数も増えているが、ポストシーズン進出の割合はそれ以上に高まっている。例えば、初めてワールドシリーズが行われた1903年は12.5%(16チーム中2チーム)、現在は33.3%(30チーム中10チーム)だ。

なお、過去の4チームは、明暗半々の形で1年おきの繰り返しにピリオドを打った。カーディナルスは1930年に続いて1931年もリーグを制し、5年ぶりにワールドチャンピオンに返り咲いた。繰り返し2度目のドジャースも、2008~09年に地区連覇を果たした。一方、1度目のドジャースは1986年だけでなく1987年もポストシーズン進出を逃し、レッドソックスが1990年の次にポストシーズンへ駒を進めたのは1995年だった。

継続中の3チームは今年、1931年のカーディナルスと2009年のドジャースと同様に2年続けてポストシーズン進出を果たし、1年おきの法則を打ち破れるのだろうか。ジャイアンツ、オリオールズ、ナショナルズのいずれも、そうできるだけの力はあるはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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