成人男性30%・女性8%…喫煙率の実情をさぐる
喫煙率は男性3割、女性は1割足らず
禁煙啓蒙活動や健康意識の高まりからたばこの喫煙率は減少傾向にある。しかし今なお多くの人にはたばこは重要な嗜好品に違いなく、喫煙者も多い。喫煙率の事情を厚生労働省から2017年9月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2016年分における概要報告書をもとに確認する。
今調査によれば直近2016年において成人男性の喫煙率は30.2%、女性喫煙率は8.9%となった。男性よりも女性の方が喫煙率は低めとなっている。
男性は20代で低めだが30代で大きく値は跳ね、40代から50代はやや落ちるが高い値で推移、60代からは大きく減っていく。しかし女性は40代をピークとするものの、30代から50代まではほぼ同率を維持し、60代以降に減少を示す。男女で年齢階層別の喫煙率に係わる変化に違いが生じているのは興味深い。主な生活時間を職場で過ごすか、自宅で過ごすかの違い、ストレスの感じ方も影響しているのだろう。
男女とも大よそ歳をとるに連れて喫煙率は減少する。しかし70歳以上でも男性では12.8%、女性では2.3%がなお喫煙を続けている。
これを男女別に経年変化で動向を確認すると、漸減しているのが分かる。
特に男性はこの13年で17%ポイント近い下げ幅を示している。他方女性は元々値が低いのも一因だが、あまり変化が見られない。
「国民健康・栄養調査」は年齢階層で大きな違いが生じる項目では、経年の結果の推移において年齢階層別構成比の変化が全体平均値に大きな影響を生じさせるため、2014年分のデータ公開から年齢調整が成されたものも併記される形となった。こちらの値であれば、経年における高齢者の比率増加に伴う、平均値のゆがみを考えなくても済む。
男性は漸減中だが2010年の大きな下げを除けば減り方は緩やか、女性もほぼ似たような動きであるのが分かる。
なお2010年に生じている、特に男性における有意な値の減少だが、2010年10月に実施されたたばこ税・たばこ価格の大幅な引き上げが原因と考えれば道理は通る。
受動喫煙の実情
喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙を吸ってしまう機会がある。これを受動喫煙と呼んでいるが、今「国民健康・栄養調査」では不定期で調査を実施している。今回分の2016年分では実施されており、2008年・2011年・2013年・2015年に続く値を確認できる。
現在習慣的に喫煙している人「以外」で、過去一か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。空欄の部分はその年において、調査項目そのものが無かったことを意味する。
調査実施年にすき間があるのも合わせ、いくぶんのぶれはあるが、家庭や職場など繰返し同じ場所に足を運ぶ場所を中心に、大よそ減少する傾向にある。また各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難い実態も見えてくる(少なくとも嫌煙家にはそのように見える値ではある)。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。直近年分の調査時期は2016年10月から11月。調査実施世帯数は10745世帯で、調査方法は調査票方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。