ありし日の教授に逢える「坂本龍一トリビュート展」3月10日20時まで!
2023年に逝去した坂本龍一を追悼する「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」が3月10日(日)に最終日を迎えます。最終日は20時まで開催しており(最終入館19:30)、事前予約なしで入場できるので、未見の方はぜひ。
きっと ありし日の教授に逢ったような気持ちなれますよ。
会場は大きく3つの空間に仕切られており、そのうち2空間は暗闇の中で体感するサウンドヴィジュアル作品です。
出色だったのが 坂本龍一の80年代の名曲「Before Long」「Perspective」「The Sheltering Sky」を使った作品。
特に引き込まれたのは、今展のキュレーターである真鍋大度ライゾマティクス、カイル・マクドナルドのインタラクティブな作品《Generative MV》。
2020年のオンライン コンサートで「Perspective」を演奏する教授のグリーンバック映像をベースに制作されているそうで、観客が入力したテキストに基づいてAIがめくるめく生成する背景の無限エフェクトに目を奪われます。
たとえば、教授が疾走する乗り物や宇宙の彼方で演奏していたかと思うと、いきなり巨大猫たちが次々にモフモフ現われたり、全く予測不能。
そうかと思えば恐竜が教授の周りを闊歩していたり。おもしろいので2回見たのですが、2回目は1回目と異なる映像展開に。AI技術を駆使したアートに関心を寄せていた教授もきっと喜んでいることでしょう。
ただ、教授の弾く懐かしい「Perspective」が琴線に刺さりすぎて、私はこれを見ながら密かに落涙していました。
奥の会場の中央には、自動演奏するグランドピアノが。これは毛利悠子が「札幌国際芸術祭 2017」で発表したインスタレーションを今展のために再構成した作品。
自動演奏されているのは、坂本龍一が提供した楽曲。鍵盤の動きをじっと眺めていると、教授がそこにいるように思えてなりませんでした。
こちらは、ダムタイプのサウンド・インスタレーション《Playback》をベースに、坂本龍一がディレクションした世界各地で収録した音源で構成された作品。
16枚のレコードには、それぞれの都市を中心にした世界地図が浮き上がるように特殊カッティングされているそう。
坂本龍一の生前最後のアルバム『12』のジャケットのために李禹煥が描きおろしたドローイング《遥かなるサウンド》と、李から坂本の病気平癒を祈って私的に贈られた《祈り》は、間近で見るとおそろしく深遠なエネルギーに満ちていました。
コアな坂本龍一ファンはもちろん、坂本龍一に興味があるけれどあまり知らないという方にもぜひ体験していただきたい展覧会です。
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会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
Tel:フリーダイヤル 0120-144199 (11:00 - 18:00)
開館時間11:00より20:00まで(最終入館19:30)
入場料:一般800円
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