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【その3】プーチン大統領は国民にいかに「ウクライナ侵攻」の理由を説明したのか:1時間スピーチ全文訳

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家
キリル総主教と共に。ペイプス湖付近で中世の王子ネフスキーの記念碑除幕式。21年(写真:ロイター/アフロ)

今まで使っていたクレムリンの公式サイト英語版の演説を見ようとしたら、つながらなくなってしまいました。

ネット上ではよくある一時的なものなのか、全体の動きと関係があるのか、私だけなのか全くわかりません。ちなみに他のサイトは問題なくつながります。

まずは、近場に住む友達につながるか聞いてみたいですが、こちらは真夜中なので今は無理です。

(なんとなく恐いです。もし私の記事のアップが全くなくなり、私の身に何かあったら、このことを思い出してください・・・なんて)。

今まで使っていたクレムリンの英語版をそのまま写しているサイトがないか探しましたが、みつかりませんでした。要点だけ引き出したものなら沢山あるのですが。

(まあ、確かにいつでも公開されていて見られると思えば、わざわざミラーをつくりませんよね)。

仕方ないので、民間のサイトが出しているフランス語訳から今回はします。もとがロシア語ですから、まあいいか、ということで。

いよいよ内容が現在になってきました。

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<ウラジーミル・プーチン大統領 ビデオメッセージ 2022年2月21日>

写真:ロイター/アフロ

【2】より続く

ロシア語や文化を抹殺し、同化を進める政策が続いています。ウクライナ最高議会(Verkhovna Rada)は、差別的な法案を次から次へと生み出し、いわゆる先住民に関する法律もすでに施行されています。自らをロシア人と認識して、そのアイデンティティ、言語、文化を維持したいと願う人々は、ウクライナでは歓迎されないという合図を受け取るのです。

ウクライナ語を国語とする教育のもとで、学校や公共の場、たとえ普通のお店でもロシア語は居場所がないのです。公務員試験と、その序列の浄化に関する法律は、望ましくない公務員に対処する方法をうみだしました。

ますます多くの法律が、ウクライナの軍隊と法執行機関に対して、言論の自由と反対意見の表明を抑圧し、反対派を攻撃することを認めています。

世界は、他の国々、外国の自然人および法人に対して、非合法な一方的な制裁を加えるという嘆かわしい行為を知っています。

ウクライナは、自国の人々、企業、テレビ局、その他のメディア、さらには国会議員に対しても制裁措置を講じることで、西側の師匠たちをしのいでいます。

キエフはモスクワ総主教のウクライナ正教会の破壊を準備し続けています。これは感情的な判断ではありません。具体的な決定や資料によって証拠をみつけることができます。

ウクライナ当局は、皮肉なことに、分裂の悲劇を、国の政策の手段に変えました。現在の当局は、信者の権利を侵害する法律を廃止するよう求めるウクライナの人々の呼びかけに応えようとしません。

さらに、モスクワ総主教のウクライナ正教会の聖職者と数百万人の教区民に対する新たな法案が、最高議会に登録されました。

(訳注:キリスト教は、大きく分けて3つある。カトリックはローマ教皇を頂点とするピラミッド型、プロテスタントはそういうものを排除、その両方と異なり、東方正教会は、それぞれに独立した対等な総主教がいる。

古い総主教はコンスタティノープル、アレクサンドリア、エルサレム、アンティオキア等、後代の総主教はブルガリア、グルジア、セルビア、ルーマニア、そしてモスクワ。ウクライナはモスクワ総主教に属していたが、古くからの歴史を主張して独立したのである)。

クリミアについて一言言いたい。クリミア半島の人々は、ロシアの一部になることを自由に選択しました。キエフの当局は、明確に表明された人々の選択に、異議を唱えることはできません。

だからこそキエフ当局は、攻撃的な行動を選択したのです。イスラム過激派の組織を含む、極端な派閥の細胞の活性化、重要なインフラに対するテロ攻撃を組織化するための破壊者の派遣、およびロシア市民の拉致。

我々は、これらの攻撃的な行動が、西側の安全保障機関の支援を受けて実行されているという事実の証拠を持っています。

2021年3月、ウクライナで新たな軍事戦略が採択されました。この文書は、ほぼ全面的にロシアとの対決に専念していて、我が国との紛争に外国を巻き込むことを目標に掲げています。

この戦略では、ドンバスとロシアのクリミアで、テロリストの地下運動と言えるような組織を規定しています。

これはまた、潜在的な戦争の輪郭を定義しています。それは、キエフの戦略家たちによれば「ウクライナに有利な条件で、国際社会の助けを得て」、さらに、よく聞いてください、「ロシア連邦との地政学的な対決において、外国の軍事支援を得て」終わらせるべきだというのです。実際これは、我が国ロシアに対する敵対行為の準備以外のなにものでもありません。

我々が知っているように、今日既にウクライナは自分たち独自の核兵器をつくるつもりであると宣言しています。これは単なる大言壮語ではありません。ウクライナには、ソビエト時代につくられた核技術と、航空機を含むこれらの兵器の軌道手段、および、ソビエトが設計した射程100kmを超える戦術精密ミサイル「トーチカU」を保有しています。

しかし、彼らはもっと多くのことができます。 それは時間の問題でしかありません。彼らはソビエト時代からこのための土台を整えてきました。

言い換えれば、戦術核兵器の取得は、ウクライナにとって簡単なのです。特にキエフが外国の技術支援を受けている場合、ここでは名前を言いませんが、そのような研究を行っている他の国々よりも、はるかに簡単です。我々はそれを排除することはできません。

もしウクライナが大量破壊兵器を手に入れたら、世界とヨーロッパの状況は激変するでしょう。特に我々ロシアにとっては。

我々は、この本当の危険に反応することしかできません。特に、繰り返しますが、ウクライナの西側の後援者たちは、ウクライナがこれらの武器を入手して、我が国に対する新たな脅威を生み出すのを助けることができるのです。

キエフ政権が、いかに執拗に武器を装備しているかがわかります。

2014年以降、この目的のために、武器や装備の供給、専門家の訓練など、米国だけで数十億ドルを費やしてきました。

ここ数カ月、全世界の視線のもと、派手なやり方で、西側の武器がウクライナに着実に流れてきています。外国人のアドバイザーがウクライナの軍隊や特殊部隊の活動を監督しており、我々はそのことをよく承知しています。

近年、NATO諸国の軍事派遣団は、演習の名目でウクライナの領土にほぼ常駐しています。ウクライナ軍の統制システムは、すでにNATOに統合されています。

これは、NATO本部がウクライナ軍に、個別の部隊や分隊にまで、直接命令を出すことができることを意味します。

4に続く

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<すみません、夕食あとに仮眠しただけで、また起きてこの翻訳にとりかかろうとしたら、サイトにつながらなくて他のを探して・・・余分に時間がとられ、3時半には寝たかったのに、もうすぐ朝の6時半なので、寝ます。この内容は訳していて疲れます・・・。4に続きます。おそらく5回で終わるのではないかと思います。>

1)参考記事(中央日報):中国が核の盟主国に、ウクライナに核の傘提供 

※2013年12月の記事です。ちなみに私は国際学会で、この約束はロシアのクリミア半島併合で無しになったと聞いています。

2)北朝鮮の狙いは本当にアメリカなのか。中国・ロシアの争いとウクライナと核の傘 ※2017年12月2日の記事です。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。前大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省関連で働く。出版社の編集者出身。 早大卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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