【富田林市】地蔵菩薩に花を添えない?錦織北にある花好山地蔵尊の不思議な伝承とその理由とは
富田林市は大阪外環状線こと国道170号線バイパスを境に町の雰囲気が一変しますね。山(羽曳野丘陵)を切り開いて作られた金剛地区側から東に歩いていると、大きなお堂の花好山(はなそげやま)地蔵がありました。
場所は廿山(つづやま)南交差点から、錦織地区や瀧谷不動駅方向に向かう府道202号森屋狭山線に入って少し歩いたところにあります。
ウクライナの国旗を掲げている会社のビルが目立ちますが、その手前のお堂が花好山地蔵堂です。
ところで、花好山とはどういう意味でしょうか?調べると意外な事実が判明しました。
花好山の「はなそげ」とは、供花をしないという意味があります。地蔵菩薩に花を供えないとはなんとも不思議な話。
富田林に限らず、南河内の各地域に行けばいろんな地蔵菩薩が安置されています。その方法は地域や場所によってまちまちですが、普通は画像のように近所の人が花を飾り大切にしているものです。
まさかこの地蔵菩薩は地域の人に大切にされていない?そんなはずはありません。
実は花好山地蔵尊のある場所から廿山南交差点を越えてすぐのところに廿山墓地があります。ここは共同墓地で、かなり古くからあったとか。それも村(旧廿山村)だけではなく、郡(錦部郡)の七郷の惣墓(7つの地域の総合墓地)だったというのです。
村を超えた郡としての大きな墓地が近くにあり、そこに墓参りをするために花を持っていくために、手前にある地蔵菩薩に供える花がなかったというのです。
廿山墓地があるのはちょうどこの位置からみて正面の奥あたりです。
花を供しない「はなそげ」を「花好」という漢字に当てたと言われているようです。花好山地蔵菩薩にはいろいろな御利益があるとか。
地蔵堂の前に来ました。今は閉じられていますが、一部中が見える小窓があります。
覗いてみました。遠くに地蔵菩薩が安置されているようですが、よくわかりません。でも今はしっかり花が供されているのがわかります。
拡大しましたが、奥にドアがあり、そのガラスが透けているため、残念ながら姿は見えませんでした。
ほとんど見えないなと思って横に行くと、供養塔と思われる宝篋印塔(ほうきょういんとう)があり、その右手に小さなお堂があります。あの小さなお堂の中に地蔵菩薩が安置しているようです。
また平成15年に大がかりな改修が行われたとの報告がありました。名前の由来こそ、花が供われていないという意外な名前を持つ地蔵菩薩でしたが、今ではこうして保存会の方々が大切に管理しているのがわかりました。
花好山地蔵尊(花そげ地蔵尊)
住所:大阪府富田林市錦織北3丁目2-43
アクセス:近鉄滝谷不動駅から徒歩11分