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インド初のAI搭載無人戦車「SOORAN」開発、4月から試験実施へ:進む戦場でのロボット兵器

佐藤仁学術研究員・著述家
SOORAN(Defence Master India)

 インドの軍事企業Defence Master IndiaがAI(人工知能)で作動する無人戦車「SOORAN」を開発した。リモートで人間の軍人が操作をすることも可能。インドで2020年2月に開催されたDefence Expo 2020で披露された。SOORANはフィールドテストも実施され、実戦用の開発に向けた製造に向かっている。砲塔も搭載されており攻撃もできる。軍人で遠隔で操作するモード、遠隔からモバイルで操作するモード、AIが判断して作動する自律型モードの3つのモードがある。同社が開発したAIソフトウェア「NIVATA」を搭載しており、センサーが装備された戦車とAIが判断して作動する。リモートでコントロールできる銃を搭載したドローンも装備されている。

SOORANのリモート操縦席(Defence Master India)
SOORANのリモート操縦席(Defence Master India)
SOORANのリモート操縦席(Defence Master India)
SOORANのリモート操縦席(Defence Master India)
SOORAN(Defence Master India)
SOORAN(Defence Master India)

 Defence Master Indiaのマネージング・ディレクターのデニス・エベネザール氏は「SOORANはインドで初の無人戦車となります。遠隔地から軍人が操作して戦場で戦うこともでき、軍人が戦場で殺されることも少なくなることから、インド軍も強い関心を示してくれています。インド軍が2020年4月から本格的な試験をチェンナイで実施していく予定です」とインドのメディアFinancial Expressで語っていた。また同社が開発したAIについては「ビルの中に隠れたテロリストも判断できるようにしたい」ともコメント。

進む戦場のロボット化

 AI技術とロボット技術の発展によって戦場の無人化が進んでいる。戦場での3D(Dirty:汚い、Dull:退屈な、Dangerous:危険な)業務は人間の軍人よりもロボットの方が適している。また軍人が戦場に行かなくなることから、軍人が死亡する機会も小さくなるため、軍にとっては軍人の「人間の安全保障」も確保できる。

 インドは隣国パキスタンとの対立だけでなく、テロリストの脅威も大きいためロボット兵器は、抑止力と実戦での活用の観点からも導入への期待も高い。一方で、AIを搭載した自律型ロボットが人間の判断を介さないでAI自身が判断して標的や人間を攻撃することに対して、倫理的な観点からの懸念も大きく、NGOなどが反対している。インドが開発している無人戦車SOORANは、AIの判断するモードだけではなく人間によるリモートコントールも可能なモードもあるが、人間への攻撃には人間の判断が求められている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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