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米メディアが田中将大にFA選択のススメ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ポストシーズンで大活躍を続ける田中将大投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ポストシーズンに入り快刀乱麻の投球を続け、すっかりヤンキースのエース的存在になった田中将大投手だが、改めて米メディアもオフに向けた彼の動向に注目し始めている。

 すでに多くのメディアが報じているように、ヤンキースと2020年まで契約を結んでいる田中投手は今シーズン終了後に、契約を解除できるオプション権を有している。あくまで田中投手が希望すればだが、残り3年総額6700万ドル(約74億円)の契約を蹴り、FAの資格を得ることができるのだ。

 そんな田中投手に対しFA選択を勧めているのがスポーツ専門サイトの『The Score』だ。ポストシーズンの活躍ですっかり株が急上昇している田中投手は6700万ドルを捨てFAになっても、それ以上の契約を獲得できると予想している。

 その根拠として3つの理由を挙げている。

 

1)今オフのFA市場が低調

 この冬にFA権を取得できる投手の中で注目する存在はダルビッシュ有投手、ジェイク・アリエッタ投手、さらに大谷翔平選手くらいしかいない。そのため田中投手がFA市場に加われば、多くのチームから注目される存在になれる。

 

2)ヤンキースが再契約を画策

 夏の時点なら田中投手が契約解除してもヤンキースは再契約に興味がなかったが、ポストシーズンの活躍でヤンキースは間違いなく田中投手を引き留めにかかる。2011年にCCサバシア投手が契約解除の後、ヤンキースと年俸2300万ドルで5年契約を結び直したように、田中投手にも現行契約以上の内容を提示し再契約を画策するだろう。

 

3)他チームも獲得に乗り出す

 たとえヤンキースが再契約に乗り出さなかった場合でも、高額年俸を用意してでも田中投手を欲しがるチームは存在する。その例としてエース級の投手を欲しているマリナーズ、先発陣のレベルアップを目指しているエンゼルス、アリエッタ投手を失う可能性が高いカブスを挙げている。いずれにせよ田中投手がFAになれば、1)との兼ね合いもあり多くのチーム間でダルビッシュ投手、アリエッタ投手、田中投手の奪い合いになるだろう。

 ちなみに『The Score』では記事の最後で、「田中投手がFAになったら現行以上の契約を獲得できる?できない?」という読者アンケートを実施している。投票数3400の時点では、「できない」(56%)が「できる」(44%)を上回っている状況だ。

 果たして田中投手はオプション権を行使するのか、それともしないのか。その結論はポストシーズン終了まで待たねばならない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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