元メジャーリーガー・岩村明憲監督率いる福島RH、「アルプス決戦」を制し、スイープを阻止【BCリーグ】
昨日17日、ルートインBCリーグ公式戦、信濃グランセローズ対福島レッドホープスの3連戦は、その舞台を長野市から伊那市に移して行われた。3連休の最終日、年2回の開催の最終戦とあって、猛暑の中、町外れの丘の上にある伊那スタジアムには、多くの地元ファンが集まった。日本アルプスの真ん中にある人口6万5千人の小さな町の人々にとって「プロ野球」を観る機会はほとんどない。この日集まったファンの前でプロフェッショナルな投球を見せたのは、信濃・荒西祐大(元オリックス)、福島・福井優也(元広島・楽天)のふたりの元NPB戦士だった。信濃はこの日までにすでに福井に3勝を献上している。スイープの前に「キラー」が立ちはだかるかたちとなったこの試合、荒西にかかる期待は大きかった。
試合前には、地元チアリーディングチームによるアトラクションが行われ、また、この日の球場入口となった外野ゲート周辺には、伊那のソウルフード、ローメンなどのキッチンカーなどが出、会場を盛り上げた。
初回はともに三者凡退でスタートしたが、2回表、福島はこの回先頭の4番佐藤優悟(仙台大, 元オリックス)のセンターバックスクリーン左に飛び込むソロホームランで先制。しかし、その裏、1アウト1、3塁の場面で福井はピッチャーゴロをゲッツーを焦ってセカンドに悪送球。同点に追いつかれる。
そして4回表。荒西はまたもや手痛い一発を食らう。本人曰く、「変化球がうまくコントロールできなかった」という2ボールからの甘い球を3番大泉周也(山形中央高)が見逃すはずがなかった。打った瞬間それとわかる大飛球は、最後はフィールドの一堂が見失ってしまうほどの大きな弧を描き、バックスクリーン右にあるスコアボードの天井に突き刺さる大ホームランとなった。ホームランダービー独走となる11号ホームランで試合は序盤にして決まったも同然となった。
荒西は結局、5回を投げ3失点。ホームラン以外は格の違いを見せつけるピッチングを見せていただけに、詰めの甘さが目立った投球だった。
一方の福井は、5回裏終了後のグランド整備後もマウンドに登り、6イニングを投げ、試合を後続に託した。
試合中盤以降は、両軍ともリリーフが踏ん張り、無得点。福島は7回2アウトからベネズエラ人のエレラ(オリオールズマイナー)、信濃は8回からキューバ人のポルトゥオンド(グアンタナモ/キューバリーグ)がマウンドに登り自慢の速球で試合を締まったものにした。
信濃は9回2アウトから途中出場のキャッチャー、落合恭平(玉川大学)がクローザーとして登板してきた金子蓮(城西国際大)からツーベースを放つが、ここまで。金子は後続をファーストゴロにうちとり、リーグトップに並ぶ8セーブ目を挙げた。
勝利の祝福も束の間。福島ナインは、試合後バスで帰路につく。ホーム・福島に着くのは、日付が変わることだろうか。決して恵まれた環境ではないが、上位リーグへの扉をこじ開けるため、独立リーガーたちは「熱い」夏を乗り切る。
7月17日の各試合を終え、信濃は2位新潟に7.5ゲーム差をつけ、北地区優勝に向けて盤石の体制を整えた。一方の福島は、3位群馬と0.5ゲーム差の最下位に。ファンのためにも、ひとつでも順位を上げたいところだ。
(写真は筆者撮影)