【高野町(高野山エリア)】身近な植物からの、手作り古典インクで書き初め
西洋の文字を書くためのインクは、かつて植物から製造されていました。(対して、日本は墨。これはススから作る。)
かつてのインクの作り方
鉄の塩と植物由来のタンニン酸から作られた。
一般的に硫酸鉄(II)(FeSO4)を没食子酸(C6H2(OH)3COOH)に加えることで調合されるが、鉄イオンを生ずるものであれば何でも使用できる(例えば、釘、鉄くずなど)。没食子酸は通常、没食子から抽出されるが、他の種類の木の虫こぶからも抽出できる。
ヨーロッパでは紙や羊皮紙への筆記用および描画用のインクとして、9世紀から19世紀にかけて一般的に使われた。(wikipedeliaより)
今回は山で見つけたクヌギの虫こぶを使います
虫こぶとは
植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと。それらはさまざまな寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長をすることで形成される。
※マタタビ酒を仕込む時に使うのも虫こぶのできたマタタビ果実。
先に酸化鉄の元になる液を作るために鉄線を錆びさせた液を作っておき、そこにクヌギから成分を煮出した液を混ぜ合わせて完成。(本来は粘度を高める物質も入れる)
書いた時点では色が薄いですが時間の経過と共に濃くなり、インクになっていました!
クヌギを煮出した段階で既に液の色が濃かったので文字を書いてみましたが、読めたものの鉄分(鉄イオン)と混ぜた方が明らかに黒くて見やすかったです。
今回はクヌギを使いましたが、他の身近な自然にある素材としてはヌルデの虫こぶなども使えます。
ちなみに、この黒い液体、このままではありませんが日本では黒色染色材として、また、お歯黒や白髪染めとして使われていました。
※以前にお歯黒を試した内容も記事化しております。ご興味ある方はご一読下さい↓
【高野町(高野山エリア)】千年続いた本物のお歯黒を塗って、色素沈着を調べてみた。
虫こぶからのタンニンの代わりに、紅茶のタンニンなども使えるので良かったら試してみてください。
※虫こぶは採集後に暖かい部屋に置いておくと中に住んでいる虫たちが出てきます。採集した場合はすみやかに煮出すか冷凍してください。