Yahoo!ニュース

カムバック戦間近!前WBOスーパーウエルター級チャンプの言葉

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin & Ryan Hafey/PBC

 先日、前WBOスーパーウエルター級チャンピオン、ティム・チューが、バーチャル会見を行った。

 このオーストラリアの人気選手は、PBCが手掛ける10月19日興行のメインイベントで、無敗のIBF同級王者、バフラム・ムルタザリエフに挑む。チャンピオンに先駆け、挑戦者チューをメディアに登場させたところに、プロモーターの力の入れ方が分かる。

Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 24勝(17KO)1敗のチューは、今年3月のWBC/WBOスーパーウエルター級タイトルマッチでセバスチャン・フンドラにスプリット・ディシジョンで判定負けして以来のリングとなる。キース・サーマンの負傷によって急遽代役チャレンジャー、フンドラを迎え撃ったチューは、第3ラウンドに偶然の肘打ちを喰らい、ひどい切り傷を負った。流血のハンディを負ったにもかかわらず、チューはフルラウンドを戦い抜いた。

 29歳の前王者は言った。

 「これは私にとって大きなチャンスです。米国の大観衆の前で新たな世界タイトルを目指して戦うのです。この手でタイトルを掴むのが待ちきれません。

 ハートを見せる私のスタイルは誰もが知っていますよね。ムルタザリエフが一歩も引かないことを願っています。この試合では流血したくないですね。我々は間違いなくファンの記憶に残る試合をお届けします。

 今、非常に気分が良く、前回の負傷も回復しました。私は仕事に没頭することが好きなので、リングに戻る準備はできていました。

Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 フンドラ戦から学ぶべきことは沢山ありました。接戦でしたよね。私たちは間違いなく見応えのあるショーを披露し、ファンを熱狂させました。カットしてしまった折、私は感情をリセットする必要がありました。現状を受け入れて、先に進まなければなりませんでした。今、私は世界タイトルを目指しており、それこそが自分の頭の中にあるすべてです。恐れはありません。私はただ最高の挑戦を望んでいます。

 ムルタザリエフの映像は…実は、それほど見ていません。彼はパンチを受けると、前進しますよね。ハードに戦う選手です。彼も闘志を持ち合わせていますね。しかし、私は自分の能力を信じていますし、すべてが計画通りに進んでいます。頂までの道に、簡単なことなどありませんよ。火の中を潜り抜けねばならないんです。

Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Esther Lin & Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 154パウンドは今日、非常に熱いです。いくらでも大試合を組めるでしょう。偉大なファイターたちのことを考えると、ワクワクします。私も魅力あるカードに加わることが待ちきれません。自分をこの立場に立たせてくれたのは、オーストラリアのファンです。リングに上がると、自分の後ろに国民全員がいるように感じます。それは私にとって、とても価値のあることです。

 自分のキャリアについて満足はしていません。道のりは長いです。我がチームは、今もまだ下のレベルにいますから」

 カムバック戦まで2週間強。傷の癒えた前チャンプは、どんなファイトを見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事