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仙台の市バス:運転中にスマホで「ポケモンGO」で街路樹に衝突事故

佐藤仁学術研究員・著述家
(ペイレスイメージズ/アフロ)

仙台市交通局は2016年11月24日、路線バスの男性運転手が10月に走行中にスマホを見ながら「ポケモンGO」を操作しており、街路樹に衝突する事故を起こしていたことを発表した。バスは回送中のため乗客は乗ってなかった、また運転手に怪我はなかった。

朝日新聞が以下のように報じているので引用しておきたい。

バス回送運転中にポケGO、物損事故 仙台市営バス

仙台市は24日、市営バスの男性運転手(43)が回送運転中、スマートフォン用の人気ゲーム「ポケモンGO」を操作し、物損事故を起こしたと発表した。東北運輸局宮城運輸支局は同日、市交通局東仙台営業所に臨時監査に入った。

市交通局によると、運転手は10月18日午後6時半ごろ、宮城野区燕沢2丁目を走行中、道路にはみ出ていた街路樹にぶつかり、バスのサイドミラーが割れた。バスは運行を終えて営業所に戻る途中で、けが人はいなかった。

ドライブレコーダーの映像で確認すると、運転手は右手でハンドルを握り、スマホを持った左手はひざに置いて、たびたび視線を落としていた。ギアはスマホを持ったまま左手で操作していた。バスが午後6時20分に終点に着いた直後から、遊び始めていた。運転手は、業務委託している宮城交通(仙台市)の社員という。

宮城交通によると、運転手は事故前にも数回、回送中にポケモンGOをしたことを認め、「軽率だった」と反省しているという。市交通局は近く、再発防止策をまとめる。

出典:朝日新聞(2016年11月24日)

国交省は「運転中のスマホ禁止」の徹底しているが

仙台の市バスの運転手が運転中にスマホ操作をしていたのは10月とのことだが、国交省は2016年11月7日に業務中の携帯電話・スマホの使用禁止の徹底について関係団体あてに通知したばかりだ。

国交省はバス業界団体などへの通知文書の中で、「いうまでもなく、運転中にスマートフォンなどの画像を注視する行為や携帯電話で通話する行為は、道路交通法で禁止されている極めて危険な行為」と指摘し、「運転中のスマホ禁止」を徹底するように指示している。

恐怖の「運転中スマホ」大惨事になることも

社内調査によると「回送中だったので、気が緩んでやってしまった。過去にも数回、回送中に操作した」と話しているそうだ。乗客が乗車しているバスの運転手が「ポケモンGO」に夢中になっているなんて想像するのも恐ろしい。乗客も恐ろしいが、突っ込んでこられる歩行者や自動車にとっても脅威であり、大惨事になりかねない。

10月には京都の51歳の男性バスの運転手も乗務中に「ポケモンGo」をやっていたことを京阪バスが明らかにして謝罪した。京都のバスは事故にはならなかったようだが、今回の仙台の市バスは乗客が乗っていない回送中だが、街路樹に衝突している。衝突された街路樹も植物であり、地球上の生物だ。

「ポケモンGO」だけでなく、LINEやFacebookなどのSNSやニュースのチェックなど、運転中でもスマホが気になってしまうのだろう。だが運転中のスマホ操作の危険度は「歩きスマホ」の比ではない。自分が事故で大怪我をするだけでなく、歩行者や同乗者を怪我させたり、死亡させてしまう恐れもある。実際に日本でも運転中の「ポケモンGO」による交通事故で相手を死亡させるという悲惨な事故が既に2件(徳島県と愛知県)も発生している。

もはや人間の運転手に頼らないで「人工知能による自動運転車の方が安心で安全」という時代がやってくるかもしれないが、まだ自動運転バスの実用化と普及までには少し時間がかかる。国交省に指摘されるまでもなく運転中のスマホ操作は「道路交通法で禁止されている極めて危険な行為」であることを再認識しないといけない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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