指原莉乃プロデューでメジャーデビュー2年目の今年、全国ツアーで幕張メッセイベントホールも満員にした≠ME。センターの冨田菜々風が長かった髪をショートにして、5thシングル『はにかみショート』をリリースする。指原が手掛ける詞に冬の恋のときめきがビビッドに描かれたが、メンバーはどう捉えているのか？　冨田ら6人に聞く。

初めてライブを観た会場で自分が歌えるとは

――全国ツアーではステージ以外でも思い出はできましたか？

櫻井もも　仙台公演で泊まったホテルの朝食バイキングが、めっちゃ豪華でした。牛タンシチューとずんだ餅と……。

鈴木瞳美　クロワッサンもすごくおいしくて！　オーブントースターが置いてあって、おすすめの1分で温めたら、今まで食べたパンの中でトップクラスのおいしさでした。

谷崎早耶　その話はもう聞きたくない。私はそのとき、爆睡していたので(笑)。

蟹沢萌子　私も朝はなかなか起きられませんけど、仙台では無事食べられました。

冨田菜々風　私もスンと起きられて(笑)。

菅波美玲　食のパワー(笑)？　

櫻井　埼玉公演では100cmくらいのふ菓子を差し入れでいただきました。

谷崎　日本一長いふ菓子だそうです。

櫻井　川越の名物で、ズラッと並んでいるとすごい光景でした。

冨田　みんな担いで持ち帰って。

鈴木　私は3本持って帰って、父にあげたら全部食べていました(笑)。

――過去最大規模の幕張メッセも満員になりましたが、谷崎さんにとっては初めてライブを観た会場だったとか。

谷崎　そうなんです。小学5年生の頃、『クイズ！ヘキサゴン』が大好きで、CDも買って応援していて。そのコンサートが幕張メッセで行われて、母と姉と一緒に行ったのが初めてでした。

――羞恥心やPaboが出演していたわけですね。

冨田　懐かしい！

谷崎　すごく流行っていたんですよね。当時はまだアイドルになりたいと思っていなくて、まさか12年経って自分が同じステージに立つとは、まったく想像していませんでした。

“君”が眩しいのがわかりやすく表れていて

――『はにかみショート』は彼女が長い髪を切ってデートに現れた歌で、男の子の気持ちになって歌う感じですか？

冨田　でも、女の子も彼氏がイメチェンしたら、同じ感覚になると思います。男性にも女性にも当てはまるので、たくさんの方に共感していただけるかなと。

櫻井　身近でこういう劇的なイメチェンはなかなか見ないので、菜々風のことを頭によぎらせつつ、素直な気持ちが歌詞に描かれているんですよね。だから、パフォーマンスも素直な気持ちでしたいと思っています。

――歌の主人公は高校生くらいのイメージ？

櫻井　完全に私くらいの若い年代だと考えていました。

蟹沢　私はいつもは“君”にも“僕”にも見える、聞こえるようにパフォーマンスしたいと思っていますけど、今回は“僕”の感情に特化して歌っています。“君”がすごく眩しいんだろうなと、わかりやすく表れているので。私はショートカットの子が好きて、初期は自分もショートにしていたんです。レコーディングのときは、そういう女の子を想像しながら歌いました。

――具体的に思い浮かべた人がいたり？

蟹沢　どのアイドルグループさんでも、私が好きになる方はだいたいショートですけど、特定の誰かというより、ホワーンとした像を浮かべていました。

念願のショートにしたらルンルンです(笑)

――イメチェンした相手にドキドキする感覚もわかります？

蟹沢　メンバーが髪色や髪型を変えて、レッスン場やお仕事で会ったときにキュンとするので、その気持ちは共感できます。（尾木）波菜ちゃんが切ったり、美玲ちゃんがピンク髪にしたり、早耶ちゃんがエクステを付けたときも、誰かがちょっと前髪を切っただけでも、変化を愛おしく感じます。

――今回は冨田さんがショートにしました。

谷崎　MV撮影当日の朝に、菜々風が髪を切ったと報告されたんです。

冨田　楽曲をいただいた何日か後にスタッフさんに呼ばれて「切ってもらいます」と言われて、みんなには内緒にする計画でした。

谷崎　私は朝弱いのに、現場でエーッ!!とビックリしすぎて、目が覚めました(笑)。

鈴木　叫ぶくらい驚きました。みんな一斉に駆け寄って、「本物なの？」って頭を触りました(笑)。

――当人としては、切って鏡を見たときはどう思いました？

冨田　「髪がない！」となりました(笑)。でも、念願だったのでルンルンです。

――そのうえで、この曲はどんな気持ちで歌いますか？

冨田　歌詞全体で「好き」って気持ちに真っすぐですよね。私も一度決めたら真っすぐな部分があるので、重ね合わせながら歌っています。

かわいすぎると思ってもらえるように歌ってます

鈴木　Dメロの私の歌割りの＜僕の恋人が可愛すぎる！＞は、愛おしくてたまらない気持ちが出ていて、ファンの方が私のことをかわいすぎると思ってもらえるように歌いました。ももちゃんと（川名子）奈月心の美声と美声の間で、私なりの歌い方で頑張りました。

――自分の恋人を自慢したくなる気持ちもわかりますか？

鈴木　どうなんだろう？　うちの猫のじろうはかわいくて自慢しています(笑)。見せびらかしたり、ノイミーのプライベートLINEでじろうの画像をドーン、「かわいすぎるだろう」と載せたり。そしたら、美玲ちゃんがSNSで「ひぃちゃんがじろうの写真を上げている」とファンの方に言ったんだっけ？

菅波　そうなの！

鈴木　「見せて」と言われたので、自分のSNSでも自慢しました(笑)。

台詞は決意を表して気持ちを強く

――早耶さんと美玲さんには台詞パートがあります。

谷崎　3rdシングルの『チョコレートメランコリー』での台詞は、声が低めでダークな感じでしたけど、今回は元気いっぱいで「君のために生きる」という気持ちが届くように意識しました。

――いくつかパターンを録ったんですか？

谷崎　「自由にやってみて」ということで、最初に「こういう感じかな」とやったのを「すごくいいね」と言っていただけて。その感じで何回かやってみて、CDに入っているものになりました。

菅波　私の「君じゃない思い出なんて必要ないから」は、「ちょっと強く」と言われました。強調の台詞で決意を表しているので。ライブではさらに強くして、ファンの方に自分の同じ気持ちを届けたいです。

冨田　真剣な感じだよね。

菅波　曲に入ると言えますけど、この台詞をパッと「言って」と言われたら、ちょっと恥ずかしいです(笑)。

無意識でかわいいと思わせるのが強みですね

――前回のシングル取材で、尾木波菜さんが美玲さんについて「かわいくて好きになっちゃうことを自覚しないでする」と話してました。

鈴木　確かに、それが美玲なんですよね。たぶん無意識に「あっ、かわいいな」と思わせられるのがキャラであって強みだと、すごく感じます。ファンの方が彼女っぽく感じることも、すごく多い気がします。

――どんなかわいいことをしているんですか？

鈴木　たとえば、ちょっと失敗しちゃったとき、私だったら「もう！」みたいな感じになっちゃいますけど、美玲は「あーっ」と女の子らしいリアクションを取るんです。それで「かわいいな」となりますし、喜ぶ姿とかも全部いとおしいんです。

――それが計算だったら、あざといんでしょうけど。

鈴木　あざといのもすごいことですけど、美玲は無意識なのがいいなと。どう？

谷崎　ひぃちゃん（鈴木）が長く語っていたけど(笑)、その通りだと思います。

蟹沢　うなずいていました。美玲ちゃんはさわやかなんですよね。

鈴木　そうなの！　狙ってやっているわけでなくて、自然だから。

菅波　次の話題に行きましょう。恥ずかしくなってきちゃった……(笑)。

指原さんはずっと辞書を見てらっしゃるそうです

――今回の『はにかみショート』で、指原莉乃さんの歌詞の特徴だと思うところはありますか？

菅波　ワードセンスがすごいと思います。思い出を残すことを＜データフォルダ＞とか、前回の『す、好きじゃない！』だったら＜頭はもうキャパオーバー＞とか、今はみんな知っている言葉だけど、私だったら絶対思いつかない歌詞なので惹かれます。

谷崎　英語の歌詞とかネットで検索して、オシャレな意味なんだとわかったりします。

蟹沢　以前、指原さんに「何でこんな素敵な歌詞が書けるんですか？」とお聞きしたことがあって、ずっと辞書を見てらっしゃるそうです。いい言葉を書き留めたり覚えているとうかがって「なるほど！」と。私もいつか作詞したいので、それ以来、辞書や花言葉の本をふとしたときに読むようになりました。私たちがいただく歌詞には、きっと何万語から抜粋された言葉が詰まっているんだと思います。

――ソロパートで＜彩度も質感も＞というフレーズがありますね。

蟹沢　そうなんです。“色合い”とか“景色”とかいろいろな言葉が使えるところで、そう表現しているのが本当にすごくて。歌詞を読み込むほど、奥深さがわかります。

櫻井　リズムや音と合っていて、耳ざわりのいい言葉の選び方が多い気がします。歌っていても、“た”とか破裂音の入ってくるところがいいなと、よく感じます。

自分が実際に思っているような感覚に

鈴木　言葉の並べ方も、1番の＜美容室　シャンプーの甘さ　ちょっと慣れなくて　変なリアクションで誤魔化す＞とかビックリします。“どうしよう？”みたいなリアクションが、かわいらしい言葉でまとめられていて。改めて全部読み直すと、素敵なワードが自然に繋がって、すんなり体に入ってくるんです。私の知らない英語も多くて、以前の＜P.I.C.＞や＜メランコリー＞も調べました。今回の＜はにかみ＞も最初わからなくて。

谷崎　＜はにかみ＞は日本語だけど(笑)。

鈴木　いつも曲で新しい知識をもらえるのも、ありがたいです(笑)。

冨田　どの曲もですけど今回はさらに、自分が実際にこう思っているような感覚になれます。最初の＜ちょ、ちょっと待って！＞から、自分の中でも“待って！”となって、最後の＜今日も君が愛おしい＞で本当に“君”にそう思えるような流れがあったり。そんなところも素敵だなと思います。

――ソロ曲の『空白の花』には＜この恋が花だったら学名すらないでしょう＞というフレーズがあります。＜学名＞というのも普段は使わない言葉ですよね。

冨田　選ばれた言葉たちに、その言葉だから見える景色があって。『空白の花』だと、始まり方も大好きです。＜好きな人がいたんです＞という過去形で、自分が昔、本当に好きだった人のことを語っているみたいになって。指原さんの詞は気持ちがめちゃめちゃ入りやすいんです。

キメていた顔に雪の塊が直撃して(笑)

――今回のMV撮影では、どんなことが印象に残っていますか？

冨田　リップシーンで人工の雪をたくさん降らせて、冬を感じる演出をしてくださったんですけど、撮り始めて「よし行こう！」と、ちょっといい顔をキメていたところに大きな雪の塊がベチャーンと直撃して(笑)。すごく恥ずかしくなって中断しました。

菅波　私とさややん（谷崎）の台詞を、私服衣装にマフラーを巻いてカメラに向かって言ったんですね。私は髪を下ろしていて、前の毛がヒョッと出っ張っちゃっていて、一度NGになりました(笑)。本当に扱いづらい髪なんです。

蟹沢　撮影場所のチャペルのベルの上にダイヤが付いていて、てっきりMV用に作ってくださったのかと思ったら、もともとそこにあるんですって。

谷崎　すごーい！

蟹沢　そこで私が無邪気に「見て見て！」みたいにやっているシーンは、撮っているときはジャンプしまくりだったんです。一番体力を使ったかもしれません(笑)。

鈴木　MVの話から逸れますけど、楽屋からチャペルに行く間に、ウェディングドレスがズラーッと掛かっているところがあったんですね。それを5分くらいマジマジと眺めていました。ボリュームもすごくて、丈も後ろがやっぱり長くて。本物はこんな感じなんだなと見とれてしまいました。

――いつか自分がこれを着よう、みたいなドレスもありました？

鈴木　まず撮影で着たいなと思います。本当の結婚が遅れるというジンクスも聞きますけど、それでも良いです(笑)。私はもともとチャペルが好きでした。昔、チャペルの周りを歩いていたとき、そこのスタッフさんに「中を見ていきますか？」と言われて、初めて入ったら、見たことのない素敵な空間でした。今回は白いチャペルで、改めて幸せがいっぱい詰まった場所だなと思いながら、撮影させていただきました。

すれ違う数秒のシーンを何回も撮りました

櫻井　私は髪を切った菜々風とすれ違うシーンを、何回も撮り直しました。監督さんが表情や角度にこだわってくださる方で、数秒のために何10分も掛かって。

冨田　熱かったですね。きっと良かったから、もっと良いものを撮りたいと、気持ちにスイッチを入れてくれたんだと思います。

櫻井　「すれ違ってから、すぐ『あっ！　エッ？』みたいなリアクションをしてほしい」とか、いろいろアドバイスをいただきました。

冨田　すれ違ったあと、もも1人で撮っているところも見ていました。自然にストーリーに溶け込んでいて、すごくいいシーンでした。

櫻井　菜々風はいろいろな子とすれ違っていたよね。

鈴木　いろいろな子にショートをビックリされて(笑)。

谷崎　リアルにビックリしましたから。

菅波　でも、シングルを出すたびに、菜々風が「切りたい」と指原さんに言うやり取りを、もう聞けなくなっちゃうのは寂しいです(笑)。

ツアーの映像で見せ方がカッコ良くなっていて

――今年もノイミーは順調にリリースを重ねていますが、全国ツアーでは自分たちでも成長を感じられました？

蟹沢　メンバーの成長は傍で見ている分、いろいろなところで感じます。ツアーの定点映像を観ると、ダンスで「こういうカッコいい見せ方をするんだ」とか。それはリハーサルで後ろ姿を見ているだけだと、わからないことなんです。「私も頑張ろう」と、すごく刺激をもらいます。

菅波　私、みんなの歌声が大好きなんです。ライブ中もイヤモニから聞こえてきて、踊りながら「エッ！　うまいっ！」と聴き入っちゃいます。みんな、さらに表現力が付いて、本当にいいんです！

鈴木　美玲の甘々な歌も大好きだよ。

谷崎　かわいいよね。

鈴木　今回のカッコいい台詞も、いつも耳を澄まして聴いています。

菅波　嬉しい。

谷崎　去年はライブハウスツアーで今年はホールツアー。会場がどんどん大きくなって、ファンの皆さんと共に成長できている気がします。これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

≠ME（ノットイコールミー）

指原莉乃がプロデュースする=LOVEの姉妹グループとして2019年2月に結成。同年8月に初のオリジナル曲『≠ME』を配信リリース。2021年4月にデビューミニアルバム『超特急 ≠ME行き』を発売。同年7月に1stシングル『君はこの夏、恋をする』を発売。

公式HP

『はにかみショート』

11月23 日発売

Type A（CD＋DVD） 1,800円（税込）

Type B（CD＋DVD） 1,650円（税込）

Type C（CD＋DVD） 1,800円（税込

ノイミー盤（CD） 1,100円（税込）