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遠藤保仁のJ1通算500試合にガンバ大阪がホームで勝利!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

終盤戦に突入したJ1リーグ2ndステージ。優勝争いに生き残るためにも負けられないガンバ大阪は、ホームに浦和レッズを迎える。その立ち上がり、7分という早い時間帯に先制点を奪うと、以降はやや守備ラインが下がり浦和にボールをもたれる時間も増えたが、GK東口順昭を中心に集中力の感じられる守備を展開。その中で後半59分に、数少ないチャンスを、途中出場のFW長沢駿が移籍後初ゴールを決めて2-0と突き放す。その後、終盤浦和に押し込まれ1点を返されたものの、2-1でガンバ大阪が勝利。遠藤保仁のJ1通算500試合目の節目の試合を勝利で飾り、来週水曜日に待ち受けるAFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦へと繋げた。

試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●長谷川健太監督

今日ホームで、浦和レッズを倒せたのは選手が最後まで戦ってくれたからだと思いますし、たくさんのサポーターが詰めかけてくれた前で勝利をプレゼントできて本当によかったと思います。

いい時間帯に点が入って、そのあと若干ラインがさがったが、その中できちっとカウンターを狙うという前半の推移だった。もう少しアグレッシブに戦いたいということもあり、後半早い時間帯に長沢を入れて、彼がDFラインの背後で起点を作ってくれたり、守備のところでもアグレッシブにプレーしてくれたり、膠着状態の流れの中で、前への推進力をチームに与えてくれたと思っています。そういう中でさすが遠藤、一瞬の意外性というか、ひらめきというか、ああいうフリーキックから追加点をとれたのはチームにとって大きな追加点だった。

終盤ああいう形で押し込まれれる展開もありました。またうちも3点目を取るチャンスがあったと思うんですが、だめ押しが取れない中で最後1点返されて、危ないシーンもありましたが、本当に今日、東口が神がかったようなスーパーセーブを連発してくれた。浦和に対して、ホームでリベンジするんだという気持ちを、最後まで選手が持ち続けてくれた結果だと思っています。これで水曜日に広州戦にいい形で望めると思っていますし、今日出れなかった選手もいますので、またメンバーを構築して、ホームでしっかり勝てるように頑張りたいと思います。

ー遠藤選手は今日も含めここまで日程もキツい中で活躍している。500試合の節目でしたがどう評価されますか?

2−0になって本来なら休ませてあげたい選手の1人でしたが、代えがきかないというか、彼がピッチにいるだけで落ち着くと思いますし、ここまでチームの中心で先発で出続けて、マリノスの中沢もそうですが、彼らのプレーは若い選手が見習うべきだと思いますし、本当に偉大な記録だと思います。

ー守るところといくところをうまく使い分けていた。そのあたり選手の判断、しぶとさをどう評価していますか?

厳しい戦い日程の中で、いろんな選手がでて、負けたリーグ戦もありましたけど、ナビスコで決勝に進めたり、ACLもここまで駒を進めてきた中で選手が逞しく成長していると思っています。長沢あたりはなかなか、移籍していて結果が出せない、出場機会がない中で、悔しい思いでトレーニングをしていたと思いますが、そういう選手がピッチに出て、意地を見せてくれたのは終盤にきて、チームにとって大きな戦力だと思っています。ここで頑張らないとここまで頑張ってきた成果、結果がいい形で終えることができないと思いますので,選手はそこも十分理解して今日の試合に臨んでくれたと思っています。まだまだ厳しい試合が続きますが、みんなで力をあわせて戦っていければと思っています。

ー連戦の疲れ、代表、出場停止もいた中でのメンバー構成だったと思います。最初から引いて戦おうというつもりだったのか、身体が重たくてああいう形になってしまったのか。

全く引いて守ろうとは思わなかったが、早い時間で点が入ってしまったので、選手が少しバランスをとりながら進めていくという展開になったんじゃないかと思います。あと、やっとがボランチではなくトップ下というポジションだったので、なかなかあそこで起点というか、タメが作れなかったのもあったと思いますが、井手口も、今野も彼らの持ち味を試合で出してくれたとは思っています。

●DF西野貴治

緊張はナビスコカップに出場したことで溶けていました。毎週試合を戦っていたのでリズム的には試合に入りやすかった。(ボランチも構成が変わる中で今日の守備については?少し引いたところもありましたが?)そうですね。守備の時間も長い中で結構、中盤が声をかけてコースを切ってくれていましたのでやりやすかった。ただ最後のところは少しラインが低くなって、特にラスト5分くらいはラインが低くなってそこからクロスをあげられて失点してしまった。最後までラインをコンパクトに保てていればゼロに抑えられていたんじゃないかと思います。(先制が早かったことでさがってしまったという部分もありますか?)それもあったと思うんですけど…7分に失点して、そこから相手の巧さもあって、ボールをもたれる時間も長くなってズルズルさがってしまった。ただ、丹羽くんとは出来るだけラインを高く保とうという話はしながらやっていて、後半の終わりくらいまではできるだけ高くという意識ではプレーしていました。課題は最後の5分のところですね。(自分が出場した中で浦和に結果を残せたのは自信になったのでは?)そうですね。大事な試合の中で、今年リーグ戦への出場は初めてでしたけど、年間順位でもセカンドステージでも上位争いをする中で絶対に勝たなければいけない試合だったので、自分としてもいい経験になったし、勝ちという結果を残せたのもでかかった。まだ残り試合があるので、これを繋げて、そこに絡んでいけるようにしたいです。

●長沢駿

(初ゴールでした)良かったです。本当にやっとさんがいいボールを入れてくれた。自分はファーにいこうと思ったんですが、相手のDFラインがさがっていて、ニアがチャンスかなと思って入ったら、弾道を変えてくれたので。感謝していますし、本当に点が取れてほっとしています。(なかなかチャンスがない中で我慢して自分を作ってきた。このチャンスにどんな思いでピッチに立ちましたか?)やっぱり長い時間でしたが自分だけは自分の事を信じてやらなければいけないと思っていたし、自分を信じてこれたことでこういう結果を残す事ができた。これまで確かに悔しかったですけど、こういう喜びがあればなんてことないなというか、このために頑張ってきたんだなと思ったし、自信にもなりました。みんなが点を獲ったあとにもみくちゃにしてくれたのもすごく嬉しかったです。(あと2点獲れるチャンスもありましたね)そうですね。本当にそこは…今日は3点獲れるチャンスはあったし、もう少し冷静にやれれば絶対に獲れたと思うので、でも本当にいいところにいればこのチームはボールがくるので。あとはそれを自分が仕留めるだけなので、そこはトレーニングをして明日からまたやっていきたい。(遠藤選手は今日500試合の節目でした。みんなで勝って祝おうという雰囲気はあった?)いや、そんな余裕もなかったんですけど(笑)、でも本当に、もう1回チャンスを作ったのもやっとさんが動き出してくれて自分をフリーにしてくれたので。すごいやりやすかったし、ああいう選手と試合をやれているのは財産だし、あの人にアシストをしてもらったのは光栄だと思います。ただ、あと2〜3点獲れたので。後半の終盤苦しい時間が続いた中で僕が1点でもとっていたら違う流れだったのでそのへんは課題でしたが結果が出せたというところでは、とりあえずほっとしています。

●MF遠藤保仁

(500試合を勝利で飾れましたね)勝つのが第一の目標でしたし、セカンドステージの優勝とプレーオフにむけて1つも落とせない状況だったので、その中で勝ち切れたのは非常に嬉しく思います。(1点目のシーンについて。飛び込んでスルーという形でした。あれは敢えてスルーだったのですか?)いや、できれば、トラップすればGKと1:1の状態だったので普通にトラップしようかなと思っていたんですけど、相手の足が出て来たので。トラップするよりは、と思い…触らなかったのか,触れなかったのか微妙なところですけど、軌道がよかったので、「触らなくても」というのは一瞬思いましたね。最初はシュート打つつもりで入りましたし、あとは、スピードも角度的にも阿部のボールもよかったので、触らなかったら触らなかったで、入ったと思います。(2点目のFKについて)1回フェイントをかけましたし、それで長沢の動きが見えたので、ちょうどいいスピードと角度で入ってきたので長沢だけにあわせて蹴ろうと思った。1点目同様、たぶん、触らなくても入ったと思いますし、あれだけ高い選手がいるとターゲットにもしやすいので、本当にいいタイミングで入ってきてくれたと思います。(最初はファーに蹴ろうと思ったんですか?)フェイントをかけた時の状況で蹴ろうかなと思っていたので何も考えていなかったです。西野もいましたけど、動きの質で長沢の方がよかったので長沢にあわせました。

ーご自身の500試合という節目の試合。2ゴールに絡めて、チームも結果を出せたということについて。

嬉しいですね。これまでいいときも悪い時もありましたし、どうしても負けられない試合の中で結果を出せたのは非常に嬉しいし、これからもチームにたくさん貢献できるような試合を増やしていきたいと思います。(特に節目ということは考えずに?)試合中は何も考えていなかった。ここまでこれたのも、1人の力だけでは絶対に無理なことなので。自分はプレーで勝利に貢献するしかできないので。これからもそれを高いパフォーマンスでやっていきたいと思いますし、これから先も続けながら、僕より遥か上をいっているフリューゲルス時代の先輩がいるので、先輩に負けないように頑張っていきたいです。

−500試合で特に印象に残っている試合は?

ん〜〜。なんでもいいですけど、プロの第一歩を踏み出せた最初の試合は…18歳で踏み出せたのでその試合がスタートなので、そのスタートですね。高校を卒業してすぐにピッチに立てたのは大きかったと思います。(ここまでやれている要因は? ケガが少ないのもあると思うんですが)特にないですけどね。特別何かをしているわけでもないですし…ただケガが少ないのは本当にありがたいことだと思っていますし、監督やチームメイトにも支えられてきたし、周りのサポートのおかげだと思っています。

ー水曜日に大事な試合が待っている中で、今日も代わってピッチに立った選手が結果を残しました。選手層の厚みを持って臨めそうですね。

そうですね。まずは勝って試合を迎えられることで、次はまず勝つことが大前提になってくるのでその中でいろんなオプションを持ちながらやれるのは強みになると思いますし。また試合の展開によっていろんな組み合わせができるのはチームにとっては有利に働くと思う。今日は途中から入った選手も久しぶりに先発で出た選手も、いい働きをしていましたが、チームの底上げという意味でも代わりに入る選手は非常に重要かなとは思います。

●MF井手口陽介

まだまだ守備で食いつかなくていいシーンで食いついてしまったようなプレーもあった。バイタルをあけてしまったシーンもあったので、そこは反省したい。ある程度、できるなっていう部分もあった。でもシュートまでいけた場面もあったし、点も取りたかったですね。(浦和相手に、結果を残せたのは自信になったのでは?)浦和戦というより、毎日ガンバの選手と一緒にやっていることの方が自信になっています。(試合の中で感じた課題は?)まだまだイージーミスでボールを取られてしまったこともあったので。ボランチとしては、イージーミスをゼロにできるようにプレーしていかなければいけないと思う。

●GK東口順昭

(終盤押し込まれたが勝ちきれましたね)しっかりと集中していましたし、無失点で終わりたかったけど、勝ち点のほうが大事なので結果的に良かった。最後まで集中出来たと思います。(1対0の段階でビッグセーブもありました)そうですね、毎試合それが出来ればいいですが、今回は色んな悔しさもあったので、それをぶつける上での絶好の試合だったので良かった。これを続けていければいい。(枠にとんだシュートは完璧に抑えていました)正面に飛んでくるボールに関してはしっかりとDFがシュートコースに寄せてくれているので。今日はゴールの角に行くようなシュートにもしっかりと反応出来たし、体が動いていた。集中できていたと思う。(DF陣もファインセーブに感謝していました)チームで守っているんでね。僕も助けられたところもありますし、いい関係性でやれたと思います。今日は本当に大事な試合だったし、みんな、気持ちが入って当然ともいえる試合。それが結果で表すことができて良かった。(前半のしんどい時間帯を我慢出来たのが大きい?)そうですね。あそこで今季は同点にされてしまうこともあったので、そういう中で我慢しながら2点目が取れたのはチーム力を出せたと思う。(攻守のバランスが去年のいい時に近づいた?)そうですね、一時、バランスが崩れて攻め急ぐこともあった。でもそれを修正出来たら、こういう堅い試合が出来る。高い集中力でそういう展開を乗り切れているのかなと思う。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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