【全日本JSB1000】開幕戦・鈴鹿200kmにエントリー81台!鈴鹿8耐への戦いが始まる。
2016年4月23日(土)24日(日)に鈴鹿サーキットで開催される「全日本ロードレース選手権JSB1000クラス」の開幕戦「鈴鹿200km」のエントリーリストが発表され、その参加台数が80台を超え、81台と発表された。
「全日本ロードレース選手権」は既にJSB1000クラスを除いて4月9日、10日に筑波サーキットで開幕しているが、今回の鈴鹿サーキットのレースは「全日本JSB1000」のシリーズ戦の開幕戦であることに加えて、夏の「鈴鹿8耐」へ向けての前哨戦という意味合いがあり、エントリー台数が近年稀に見る多さになった。今年は開幕戦からいきなり鈴鹿8耐のスタート方式である「ルマン式スタート」を採用した耐久レース形式の1戦となる。
チャンピオン、ヤマハにカワサキの新型が挑む
開幕戦「鈴鹿200km」は鈴鹿8耐のシミュレーションを兼ねたレースになるが、まずは「全日本ロードレース」としての見所を見ていこう。
昨年、新型「YZF-R1」を投入し、王座に輝いたのは「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の中須賀克行。8戦中7勝という圧倒的な強さで、中須賀は最高峰クラス4連覇という偉業を成し遂げるなど、まさにヤマハが席巻した1年だった。
そんなヤマハのライバルとして、2016年はカワサキが「ZX-10R」の新型を投入する。ここ数年、先代モデルからポテンシャルをグングン向上させ、ワークス活動の舞台となる「スーパーバイク世界選手権」でも圧勝しているカワサキ。昨年は同選手権で悲願のマニュファクチャラーズ(メーカー)チャンピオンに輝いたが、勢いそのままに新型ZX-10Rで今季の世界選手権でも勝利を重ねている。
その世界選手権の活躍を影で支えているのが準ワークス的な体制で全日本JSB1000を戦う「Team GREEN」だ。今季も柳川明、渡辺一樹の2台体制でシリーズを戦うが、昨年以上のポテンシャルアップが期待されており、今年のカワサキはヤマハの最大の対抗馬となる。
一方で、今年も昨年から引き続いたモデルで戦うことになるのが、ホンダとスズキ。電子制御を多用したバイクの時代になる中、長年のレース経験で培ったノウハウで対抗する。特に開幕は200kmという長丁場のレースとなるため、いつも通りのやり方に徹することができること、そして信頼性という意味ではホンダ、スズキも自信をもってレースができるだろう。4メーカー入り乱れあっての序盤のトップ争いは開幕戦の最大の見所だ。
世代交代の波。若手の開幕ダッシュに期待。
「全日本ロードレースJSB1000」クラスは鈴鹿サーキットでのトップスピードが時速300kmを超えるモンスターマシンによる戦いだ。しかも、国内4メーカーが戦い、タイヤもブリヂストンとダンロップが激しく火花を散らし合うマルチメイクの状況。JSB1000はライダーに求められる知識量、技術量、そして経験則によるところがそれ以下のJ-GP2、J-GP3、ST600に比べて格段に高く、若手がベテランに対抗できるようになるまでには数年かかるというのがこれまでのセオリーだった。
しかしながら、近年ではマシンが電子制御で武装され、ライダー達はその恩恵を受けられるようになり、排気量の小さなクラスを猪突猛進で勝ち抜いてきた若手たちがイメージそのままに突っ込んでいき、高い旋回スピードでコーナーを駆け抜ける状況が生まれてきている。経験則の部分ではベテラン選手と若手選手のギャップが縮まっているといえよう。
そんな中、開幕戦では昨年の最終戦でも果敢な走りを見せた「YAMALUBE RACING TEAM」(ヤマハ)の野左根航汰(20歳)が先輩、中須賀克行にどれだけ迫っていけるかも楽しみ。また、同チームで走る藤田拓哉(21歳)も昨年は怪我に泣いたシーズンだっただけに今季は心機一転のアグレッシブな走りに期待したい。
そして、カワサキでは「ZX-10R」の新型という最強の武器を得て、渡辺一樹(25歳)がどこまで速さを高めていくか大いに注目。J-GP2時代からアグレッシブな走りのライダーとしてお馴染みだった渡辺一樹はまさにカワサキ期待の星。昨年の開幕戦では僅か0.078秒差で予選2位となったが、カワサキにとって2003年にJSB1000規定になって以来一度もない「鈴鹿での」ポールポジション獲得に期待がかかる。優勝すれば、全日本JSB1000では2007年の筑波(柳川明)以来9年ぶり、鈴鹿では750ccSB規定時代の2001年(井筒仁康)以来15年ぶりということになる。
8耐に向けての大事な1戦
200km耐久となる開幕戦。「ベテランvs若手」という意味ではいくつかの波乱の要素を含んでいる。周回数は35周。決勝はルマン式スタートだが、決勝出場台数は最大52台と規定されている。予選通過の最低ラインは2分15秒台と予測され、1周あたり9秒の差がトップと最下位のチームに生まれると見られる。
トップチームは18周目あたりに下位グループを周回遅れにすると考えられるので、上位陣はここまでは通常の全日本JSB1000のスプリントと変わらない接近戦となるだろう。ポイントはそこから。周回遅れのグループに遭遇する直前にピットインして給油を行うか、それとも数周ピットインせずに周回遅れをかわしながらの走行を行うかも勝負の分かれ目になる可能性がある。タイム差次第、セーフティカーが入るか入らないか次第でもあるが、上位陣はちょうど真ん中あたりで同じ作戦を取ることになるだろう。
そこから先は周回遅れに常に遭遇しながら、いかにタイムをロスせずに1周1周を走るかという鈴鹿8耐で必要な技術が求められる。台数52台は決してコースが空いている状態ではないので、ここからはリスク回避に長けたベテランの腕の見せ所だ。チームの素早いピット作業、そして俯瞰でレースの展開を見る統率力も求められ、オーディエンスは「スプリント」と「耐久」の2つの要素を楽しめるレースになりそうだ。
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【NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース】
開催レース:全日本JSB1000 / SUPER FORMULA / 全日本F3 / CR-Z / N-ONE
4月23日(土)公式予選 & サポートレース決勝
4月24日(日)決勝