米国、ウクライナ軍へドローン迎撃システム提供:ジャミングでロシア軍ドローンを機能停止へ
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
2022年8月には米国政府が米国製のドローン迎撃システム「DroneDefender」をウクライナ軍に提供。
▼「DroneDefender」
監視・偵察ドローンこそ発見したらすぐに迎撃
ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。
"ソフトキル"は機能停止させるだけなので、"ハードキル"のようにミサイルや銃撃などで完全に破壊しないため、落下してきたドローンを早めに回収して破壊しないと敵軍に先に回収された場合は部品を再利用されてしまう。そのような再利用を回避するためにも、ドローンの破壊は"ハードキル"の方が効果的である。
米国政府が提供した「DroneDefender」は電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させる"ソフトキル"タイプである。ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。最近では「Kartograf」と呼ばれている監視ドローンも使用しており、それもウクライナ軍によって破壊されている。ウクライナ軍では機能停止させたり破壊したロシア軍のドローンをSNSで公開している。
ウクライナ軍では毎日、ウクライナ軍が把握しているロシア兵の死者数、ロシア軍の兵器破壊の数値を公開している。2022年2月24日にロシア軍が侵攻してから8月末までに820機以上のロシア軍のドローンを破壊している。
監視・偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃されてしまう。監視・偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。それだけ監視・偵察ドローンは軍にとって「上空の目」として重要なものである。
▼米国政府からドローン迎撃システムが届いたことを報告するツイート
▼ウクライナ軍によって機能停止させられたロシア軍の監視・偵察ドローン「Orlan-10」