キウイ農家が手がけるキウイのアイスクリームを食べてみませんか。善通寺市吉原町のキウイ畑「深山のキウイ」に土・日曜日と祝日に限って、キッチンカーで「たっぷりキウイのミルクアイス」が提供されています。収穫期を迎えたキウイ畑を眺めながらデザートを楽しめば、産地ならではの贅沢な時間が過ごせそうです。

厳選されたキウイが原料

完熟の冷凍キウイと無添加のミルクアイスをブレンダーで混ぜたものに、キウイソースをたっぷり。生のキウイがトッピングされることもあります。ミルクアイスの甘さとキウイの酸味がマッチして、さっぱりした味わいを楽しめるデザートです。

使っているキウイは、香緑、さぬきキウイっこ、ヘイワード、さぬきゴールド。スタッフの片山直子さんがキウイソースを手作りしています。冷凍キウイに砂糖を混ぜて、煮詰めると出来上がりです。

アイスを食べ進めていくと、まず甘酸っぱいソースのおいしさを味わえますが、途中で凍ったキウイの果肉に遭遇したり、何種類かの「おいしさ」を感じられる食感が好評だといいます。

客層はさまざまで、子どもから高齢者までバラエティーに富んでいるそうです。中には、高齢者がサッパリした食べやすさを気に入って、まとめ買いしたこともあるとか。片山さんは「甘すぎず、爽やかな酸味があるので、ヨーグルトのように楽しんでもらえるようです」と話していました。

おいしさの秘密を取材すると、冷凍キウイを作る段階で、「美味しいキウイ」を選別しているところがポイントでした。一つ一つ皮をむいて冷凍していきますが、柔らかさや手触りなどから「美味しくない」と判断したものは除外されているそうです。厳選されたキウイだけでアイスが作られているので、美味しさもひとしおなんですね。

キッチンカーでは、時期に応じてドライキウイや生のキウイも販売されます。生のキウイは11月ごろから出回る予定です。アイスクリームが食べられるのは、５月から11月まで。たっぷりキウイのミルクアイスは、１個500円、ミニサイズ350円、小学生以下は250円（一部、キウイの品種によって別料金の場合あり）です。

「キウイ畑に来てほしい」

素材のキウイを栽培しているのは、深井稔さんと山田唯可さん。「深山のキウイ」というブランドで、通販を中心に出荷しています。栽培面積は、３・５ヘクタールに及びます。

２人は高校の同級生で、大阪から善通寺市に移住してキウイ栽培に新規参入しました。香川県が開発した小型キウイ「さぬきキウイっこ」のおいしさに魅了されたのが、きっかけだそうです。

「キウイ畑の中で何かしたいと考えて、アイスクリームを選びました。多くの人に、畑でキウイが育っている様子を見てもらいたいという思いで、キウイ畑の真ん中にキッチンカーを出しています」と深井さん。

実際に訪れた人は、畑を見て「あれ、キウイじゃない？」と会話が弾んだり、畑を眺めながらアイスを食べたり。自然の中でデザートを食べる時間をそれぞれ楽しんでるそうです。

キウイ栽培について「山あり谷ありでしたか」と質問すると、深井さんは「谷ばっかりです」と苦笑い。独立して３年目にキウイが病気にかかり、何百本も伐採しなければならなかった話を聞かせてくれました。

自然が相手なだけに、思うように進まないことも。それでも「キウイ栽培を続けたい」という一心で困難を乗り越えてきました。今では毎年キウイが収穫できるのを待ってくれるファンもいて、やりがいを感じているようでした。

「キウイの魅力は、甘すぎずちょうどよく酸味があって、食べやすいところです。どんな人にも美味しく食べてもらえると思います」と山田さん。

「善通寺のキウイ畑を見てもらって、旬のある国産キウイの存在を知ってほしいです。畑の風景も含めてアイスクリームを味わってもらえたら嬉しいです」と深井さん。

キウイ畑の中でしか味わえない特別なアイスクリーム。年齢や性別を問わず、多くの人に支持されているようでした。