ロシア軍の対戦車榴弾・榴弾を搭載した攻撃ドローン「ラースタチカM」ウクライナ軍が初公開
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍によって上空のドローンは迎撃されて破壊されたり機能停止されたりしている。
ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。そして2022年7月にはウクライナ軍によってロシアの攻撃ドローン「ラースタチカM(Lastochka-M)」の写真が初めて公開された。
ウクライナ軍によると攻撃ドローン「ラースタチカM」には対戦車榴弾(HEAT:High-Explosive Anti-Tank)、破片効果榴弾(HE-FRAG)を搭載している。地上の戦車や基地などの標的に対して上空から爆弾を投下したり、標的に突っ込んでいき爆破するようだが、ウクライナ軍では「ラースタチカM」でどのような部品が使われていて、どのような機能かなど詳細な分析を進めている。
攻撃ドローンは上空から地上に突っ込んできたり、爆弾を投下するので破壊力も甚大であることから大きな脅威だ。ウクライナ軍も「攻撃ドローンは命中しないで爆破に失敗することも多いが、決して過小評価してはいけない。どのようなドローンでも検知したらすぐに爆破させたり機能停止させるべきだ」と警告していた。ドローンは検知されたらすぐに迎撃されて破壊されるので、戦場では何台でもドローンが必要だ。ロシア軍だけでなく、ウクライナ軍もトルコ製の「バイラクタルTB2」や米国バイデン政権が提供した攻撃ドローン「スイッチブレード」など多数の攻撃ドローンを使っている。
そしてお互いにドローンでの攻撃だけでなく、迎撃も徹底的に行っている。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃のような"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。
地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果的である。