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猫? 妖怪!? 日本画の猫

karinアートライター

今回のテーマは日本画です。日本画の猫はユーモアたっぷりで、一癖も二癖もあり!?

どんな猫がいるのか早速見て行きましょう。

日本画に描かれた猫

歌川国芳《猫の当て字「ふぐ」》

歌川国芳《猫の当て字「ふぐ」》
歌川国芳《猫の当て字「ふぐ」》

最初の作品は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師、歌川国芳(1797-1861)の《猫の当て字「ふぐ」》です。国芳は、奇抜な発想とユーモアあふれる作品で知られ、多くの動物画を描いています。

《猫の当て字「ふぐ」》では、10匹の猫たちとふぐが「ふ」と「ぐ」の文字を形作るように配置されています。伸びをしたり丸まったり、お腹を見せたりと、自由気ままな姿の猫たちのリアルな仕草は、国芳が猫好きであったことをよく示していますよね。現に国芳は、数十匹の猫を飼っていたとの証言も文献に残されています。

河鍋暁斎《猫又と狸》

河鍋暁斎《猫又と狸》
河鍋暁斎《猫又と狸》

続いてご紹介するのは、幕末から明治期にかけて活躍した浮世絵師、河鍋暁斎(1831-1889)の《猫又と狸》です。その多才さとユーモラスな作品から「画鬼」と称された暁斎は、浮世絵や屏風絵、絵巻物など幅広いジャンルを制作し、絶大な人気を博しました。

《猫又と狸》に描かれたこちらの猫、たぬきと一緒に楽しく踊っていますが、実は「猫又」と呼ばれる妖怪なんです。

一説では年老いた猫が化けることで尻尾が二股に分かれ、猫又になると言われています。暁斎は、その不気味さに愛らしさプラスすることで、見る者を楽しませる作品を描きました。不気味な妖怪の姿を躍動感たっぷりに描くことで、鑑賞者がクスッと笑えるような面白おかしい雰囲気を醸し出しています。

ちなみに、猫又の隣で踊る狸も、古来より変化の術を持つ妖怪として親しまれています。日本には古くから妖怪文化があり、それを取り入れた絵画も多く描かれてきました。いつか他の妖怪たちもご紹介しますね。

歌川芳藤《子猫を集め大猫にする》

歌川芳藤《子猫を集め大猫にする》
歌川芳藤《子猫を集め大猫にする》

最後にご紹介するのは、歌川芳藤(1828-1888)による《子猫を集め大猫にする》です。国芳の弟子である芳藤は、浮世絵師として多くの作品を手掛け、ウサギや猫などの動物が登場する玩具絵(子供が鑑賞して楽しむような絵)が人気です。

《子猫を集め大猫にする》は、そのタイトル通り、19匹もの小さな子猫たちが集まって1匹の大きな猫を形作っているコミカルな作品です。このように、小さなモチーフを組み合わせて別のイラストを表現する手法を「はめ絵」と呼びます。先ほどご紹介した国芳の作品もそのひとつです。芳藤も、猫好きな師匠の作品からインスピレーションを得たかもしれません。

ユーモア溢れる猫の作品

いかがでしたか? 今回の記事では、日本画に描かれた猫をご紹介しました。どの作品もユーモアたっぷりで、西洋画の猫たちとは少し違った面白さがあったのではないでしょうか。

そして、中には猫に見せかけた妖怪の作品も……

暑くなってきたら、妖怪についての記事も出そうと思っています。「気になる!」という方はぜひチェックしてみてくださいね。

アートライター

美術鑑賞が趣味の主婦。大学院では近代フランス美術史を学んでいました。「美術を学んでみたいけど、何から手をつけて良いのか分からない」「展覧会で作品を観ても、いまいちピンとこない……」「基礎的なことは知っているけれど、もっと美術の知識を身につけたい!」 そんな方に向けて、アートをもっと分かりやすく身近に学んでいただけるような記事を発信していきます。

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