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初主演映画公開を前に梅宮万紗子が噛みしめる伯父・梅宮辰夫からの学び

中西正男芸能記者
初の主演映画が17日から公開される梅宮万紗子さん(写真は所属事務所提供)

 初主演映画「リ、ライト」が9月17日から公開される女優・梅宮万紗子さん(45)。名優・梅宮辰夫さんが伯父という環境で芸能界に身を置いてきましたが、その中であらゆる思いと向き合ってきたといいます。言葉ではなく、存在として伯父さんから学んだこととは。

伯父・梅宮辰夫の大きさ

 大学に入った頃にスカウトされたのがきっかけでこの世界に入りました。

 それまでは芸能界にそこまで興味があったわけではなく、普通の女の子がドラマを見て中山美穂さんにあこがれる。そんなレベルだったんです。

 ただ、大学受験を控えて予備校に通っている時に、現代文の授業で課題文として出たお母さんと娘さんの話があって、それを読んですごく感動したんです。別に一冊の本を読んだわけでもなく、一部を抜粋した文章を読んだだけなんですけど、それを読んだ時に「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と思ったんです。それがこの世界を意識するきっかけになったと思っています。

 そんな思いがあった中でスカウトをしていただいた。そしてこの世界に入っていくわけなんですけど、当時から芸能界で活躍していた伯父に相談することはなく、自分で事を進めていきました。

 というのも、ウチの親はどちらかというと、芸能界入りに反対でしたし、親からの流れで伯父まで「ダメだ」と言われてしまうと、プロが言っているので本当にダメになってしまうんじゃないか。そんな怖さもあったと思います。

 もちろん、小さな頃から伯父がテレビに出ているのは見ていましたし、和田アキ子さんとドラマ「スクールウォーズ」で中華料理屋さんの夫婦役をやっていたりするのも不思議な感覚とともに見てました。でも、子供が任侠映画を見る機会もなかなかなかったので(笑)、そこまで深く、強烈に伯父の影響を受けることはなく、過ごしてきた。それが事実でもあるんです。

 実際、芸能界に入っても「自由にやったらいいよ」と言われるくらいで、特に何かアドバイスをもらうということはなかったですし、私から求めることもしませんでした。

 日本中が知っている大きな存在だし、最初から比べられないというか、伯父とはいえ、おいそれといろいろ関わっていくのは違う。そんな思いがあったのかもしれませんね。

 そんな中でも、間接的に感じるというか、そういう部分はありました。

 どこでどなたにお会いしても、伯父のことを悪く言う人がいない。もちろん、私と伯父の関係があるから、そこの配慮もあったのかもしれませんけど(笑)、それにしても皆さんが伯父のことを好きでいてくださる。柳沢慎吾さんも、お会いするなり伯父のすごさを語ってくださる。

 私が言うのもおこがましいですけど、そこに一つの答えがあるんだろうなと思います。どなたに対してもきちんとしたお付き合いをしていた結果、いつまでも良い話が残っている。そして、そもそも、だからこそ皆さんが知ってくださる存在になったんだろうなと。間接的な学びを得た気がしました。

 それと、父に聞いても、伯父が家で必死に台本を覚えている姿は見たことがなかったと言うんです。才能に恵まれた人はそういう感じなんだろうし、自分はそうじゃないから別の方法を選ばないといけない。そんな方向性の学びを近くから得られたのは伯父の存在あってだと思います。

 あと、リアルな話なんですけど、私にあからさまに悪さをする人はいなかった。なんというのか、魔除けというのか(笑)、伯父がお守りみたいになってくれていたんだと思います。

動けば変わる

 今回の映画では、初めて主演ということでこれまでとは違う経験をたくさんさせてもらいました。その中で一つ意識したのが“わがままに”ということでした。

 主演という役割で作品に関わらせてもらっているのだから「ここが気になる」というところは出すべきだ。遠慮しちゃダメだ。それを自分に言い聞かせながらの撮影になったと思いますし、また新たなチャレンジをさせていただきました。

 人の心を動かすお仕事にあこがれてこの世界に入って、時間が経つごとに「お芝居は素晴らしいものだ」というのを感じるようになってきました。

 最初はお芝居が何たるかが分からなくて苦しい部分もあったんですけど、今から十数年前ですかね、大きなきっかけをいただきまして。それをくださったのが津川雅彦さんだったんです。

 女優という仕事は、役や作品を与えてもらってお仕事が生まれる存在なので、自分から何かを発信するということが私にはなかなかできなかったんです。

 でも、津川さんと「サラリーマン金太郎」という作品でご一緒させてもらった時に非常に可愛がってくださって、いろいろなお話もしてくださいました。

 その頃、私が英語を勉強していて、英語の先生から「ヴァギナ・モノローグ」というアメリカの本を教えてもらい、その本はアメリカでも若い女優さんが登竜門的に女優としてのステップアップを目指して取り組んでいるものだと。

 内容としては女性器に関する話なんですけど、そこに女性解放や女性が自分らしく生きるというメッセージが込められているお話なんです。

 読んでみて私も強く感銘を受けて心から「これをやりたい」と思えたんです。

 その話を津川さんにさせてもらったら「それは非常に大切なことだし、現代風にアレンジして自分の持ちネタ的に持っておきなさい。そして、レストランでもどこでも場所を見つけてやっていきなさい」と言ってくださったんです。

 実際にやっていく中で女性の労働環境改善を目指す企業さんのイメージキャラクター的なことをさせてもらったり、自分が本当にやりたかったことからいろいろな広がりが生まれてきたんです。

 動けば変わる。いろいろと起こる。それを実感した時でもありました。

 そうやって周りの方に支えてもらって、今の自分がいる。そして、この仕事と向き合うほど、伯父のやっていたことの大きさを感じます。

 同じスタイルはできないけど、なんとか私は私で頑張らないと。素直にそう思えるんです。

 …まじめな話になっちゃってごめんなさい(笑)。でも、なんとか自分の形で積み重ねをしていけるよう、頑張っていきたいと思います。

■梅宮万紗子(うめみや・まさこ)

1977年6月11日生まれ。東京都出身。ケイパーク所属。母方の叔父は元防衛大臣で衆議院議員の江渡聡徳。父型の伯父は俳優の梅宮辰夫さん。97年に「研修医なな子」で女優デビューし、CMタレントとしても活躍。初の主演映画「リ、ライト」は9月17日に川越スカラ座で先行公開され、23日には池袋シネマロサで公開される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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