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T・ウッズが今年初の会見。「まだまだ先は長い」「毎日が戦いだ」、しかし「右足があることに感謝」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
写真:AP/アフロ

タイガー・ウッズが昨年12月以来、初めて米ツアーの試合会場に姿を現わし、会見を行って、米メディアのさまざまな質問に答えた。

今週の米ツアーはタイガー・ウッズの財団「TGR」がサポートする「ウッズの大会」、ジェネシス招待(2月17日~20日)がロサンゼルス郊外のリビエラCCで開催される。

昨年2月の同大会翌週に、同じロサンゼルス郊外のパロスベルデスで交通事故を起こし、右足に重傷を負ったウッズは、以後、懸命にリハビリに取り組んでいるが、今大会には出場選手としてではなく、大会ホストとして、リビエラにやってきた。

誰もが気になっているのは、ウッズの右足の回復具合だ。ウッズは、前進はしているものの、そのスピードは彼自身が望んでいるほどスピーディーではないことを明かした。

「いまなお歩くための練習をしている。右足は1年前にかなりひどいことになったので、いまだに歩くための練習に取り組んでおり、まだ時間はかかる。フラストレーションがたまるのは、回復のスピードが僕が望んだタイムテーブル通りではないということ。日々、良くなってはいる。でも僕が望んだスピードではない。僕の年齢的な要素も加わり、なかなか良くならない。そこにフラストレーションを感じる」

戦線復帰については「いつから復帰できると言うことができたら、どんなにいいか。僕自身、いつからかを知りたいけど、わからない」と語り、今、ゴルフの練習でできることは「とても限られている。チップとパット、ショートアイアンはうまく打てる。でも、長いショットはちゃんと打てず、まだまだリハビリが必要だ」と現状を明かした。

【フルタイム復帰は、やはりない?】

昨年12月、ウッズはフロリダで開催された「親子大会」、PNCチャンピオンシップに長男チャーリーくんとともに出場。2日間36ホールを戦い抜いて、2位でフィニッシュした。

スムーズなスイングを披露していたウッズの右足は、一見、あの交通事故からわずか10か月とは思えないほど回復しているかに見えた。だが、「ラウンドするたびに右足は腫れあがっている」「かなりの痛みがあるはずだ」とキャディのジョー・ラカバは明かし、実際、ウッズは毎日、ラウンド終盤はロングショットをチャーリーくんに任せ、自身は小技とパットで勝負しようと努めていた。

あのときは親子大会で乗用カートも使用できたからこそ、ウッズはなんとかプレーできていた。だが、世界のトッププレーヤーばかりが集うPGAツアーの大会やメジャー大会で4日間72ホールを「歩いて」競い合う熾烈な戦いに回復途上の右足が耐えられるかどうかについては、ウッズ自身が疑問視しており、「フルスケジュールで出ることは、もう二度とない」「数試合を選んで出場するつもりだ」とウッズは語っていた。

その「数試合」が、果たして何試合になり、具体的にどの試合になるのかは、その後も明かされておらず、世界中のファンがウッズのカムバック戦はいつどこになるのかと心待ちにしている。

この日の会見でも、ウッズはツアーへの復帰に関しては、昨年12月に語った言葉と同じ意味合いのフレーズを口にした。

「試合の場に戻ってくるかと問われたら、答えはイエスだ。でも、フルタイムで戻ってくるかと問われたら、答えはノーだ」

「週末のゴルフならイージーだ。でも、試合の場で、練習ラウンドやプロアマ、そして本戦の合計6ラウンドをこなすことは、まだ僕にはできない。そこに到達するまでには、まだ時間がかかる。まだまだ先は長い。だから今は毎日が戦いだ。でも、その戦いを僕は歓迎している。朝起きて、さあ、やるぞって感じだ」

【右足があることに感謝】

ファンの最大の関心は、4月のマスターズにウッズが出場できるかどうかだが、ウッズはマスターズ・ウィークの水曜日に行われるパー3コンテストについても、「(パー3コースを)歩くことはできる。出られるかどうかは、わからない」と答えた。

「みんなも知っている通り、僕は右足を維持できるかどうかさえわからなかったほどで、今、こうして右足があることは、大きなことだ。この右足には、まだまだ問題山積だけど、僕自身の右足がこうしてあることに僕は心から感謝している。ドクターやナースに感謝している。たくさんの手術やリハビリ、セラピーは苦しいけど、僕の右足がいまもあることに僕は何より感謝している」

それが、今現在のウッズの正直な心境だ」

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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