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「囲碁の長い日」本因坊戦リーグ最終一斉対局 井山裕太への挑戦者はだれか

内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター
イベントで挨拶する芝野虎丸名人(右)と許家元八段=2019年10月、筆者撮影

本因坊文裕(井山裕太)への挑戦者を決める第75期本因坊リーグ最終一斉対局が、4月3日のきょう、打たれている。挑戦の可能性があるのが、芝野虎丸名人、許家元八段、一力遼八段の「令和三羽烏」の3人。3者は別々の相手と対局しており、3人の勝敗によってはプレーオフに持ち込まれ、挑戦者決定は来週になる可能性がある。

対戦カードは以下の通り。

芝野虎丸名人(5勝1敗)-横塚力七段(1勝5敗)

許家元八段(5勝1敗)-志田達哉八段(3勝3敗)

一力遼八段(4勝2敗)-河野臨九段(3勝3敗)

羽根直樹碁聖(3勝3敗)-山下敬吾九段(0勝6敗)

芝野名人、許八段のどちらかが勝てば、挑戦者決定。ふたりとも勝つと、プレーオフを打って決まる

芝野名人、許八段の両者が負け、一力八段も負けると、やはり芝野名人、許八段のプレーオフ。

芝野名人、許八段の両者が負け、一力八段が勝つと3人のプレーオフになる。許八段と一力八段が同じ序列5位なので、まず打って、勝ったほうが芝野名人と決戦となる。

前ラウンドで、許八段と一力八段の4勝1敗どうしの対決があった。

それまで許八段は一力八段を1勝8敗と苦手としていたが、ここ一番で勝利し、挑戦者へ一歩近づいた。

一力八段は今回負けると4勝3敗となり、リーグ落ちの可能性も出てくる。

これまではリーグ序列が上の棋士の所属する場所で打たれていたが、今回はすべて東京市ヶ谷の日本棋院本院で打たれている。

山下九段(東京本院所属)より羽根碁聖(中部総本部所属)のほうがリーグ内序列は上。

志田八段(中部総本部所属)と一力八段(東京本院所属)はリーグ内順位同列で志田八段のほうの入段が早く棋士序列が上。

このケースの2局も市ヶ谷で打っている。

対局室はすべて個室。対局者のほかに常時いるのは記録係のみ。

芝野対横塚戦は一番大きな「幽玄の間」で打たれている。

15畳の広さにくわえ、砂利や大きな石を配した中庭のようなスペースもあり、過密な状況とはいえない。

ただ、碁盤を挟んで対峙しているので、手を伸ばせば届く状況ではある。両者ほとんど無言でいる。

マスクは半数の棋士が着用して対局に臨んでいる。

3日の夜には結果が出る予定だ。

囲碁観戦記者・囲碁ライター

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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