公的年金以外に老後の生活でどのような資産を頼りにするつもりなのだろうか
公的年金制度で公的年金は給付されるものの、それだけでは到底生活を維持することはできないのが実情。現状では人々はどのような資産を老後に備えているのだろうか。内閣府の世論調査「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」(※)の調査報告書から確認する。
今調査対象母集団では67.8%の人が老後の生活設計を考えたことがあるとしている。また、老後の生活設計をしている人においては、公的年金を全面的に頼りにすると考えている人は少数派なのが実情。
それでは公的年金以外で、どのような資産を老後に向けて準備したい、あるいは準備をした(している)と考えているのだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。もっとも多くの人が候補に挙げたのは「預貯金」だった。72.7%が選択している。
次いで大きく値を減らして「退職金」「民間個人年金」が続く。「証券投資」は14.6%に留まっている。また「国民年金基金」が1割台しか無いが、これは元々自営業や自由業の人向けの制度で、会社員などは利用できないからに他ならない。
一方で公的年金以外に資産の準備をしない・しなかった人や、特に無いとの意見も少数ながら見受けられる。単純に楽観主義なのか、実家からの遺産相続などのあてがあるのかもしれない。
これを男女別に区分したのが次のグラフ。
男女の立ち位置や資産に対する見方の違いがよく分かる結果が出ている。男性は長期就業に携わっているケースが多いため「退職金」をあてにしている人が多く、また「証券投資」にも積極的。他方女性は「預貯金」の値が男性より大きく上回る結果となっている。また「民間個人年金」や「国民年金基金」なども合わせ、手堅い資産構築を選択する傾向が強いことがうかがえる。
最後に、公的年金には失望している人が多いとの話がよく出てくる若年層における実情を。
全体の動向と大きな違いは無いが、リスクの高い資産へはあまり注視をしておらず、「預貯金」「民間個人年金」「国民年金基金」のような安全性の高い資産へ積極性を示していることが分かる。特に女性では「預貯金」に92.9%と極めて高い値が確認できる。世間一般に語られていイメージよりはるかに、若年層は将来に向けて堅実なものの見方をしているのかもしれない。
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※老後の生活設計と公的年金に関する世論調査
2018年11月1日から18日にかけて日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を持つ男女から層化2段無作為抽出法によって選ばれた5000人に対し、調査員による個別面接聴取法によって実施されたもので、有効回答数は2919人。男女比は1369対1550、年齢階層比は18~19歳39人・20代192人・30代340人・40代517人・50代475人・60代553人・70歳以上803人。
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