ガソリン、灯油ともに3週連続の値上がり
資源エネルギー庁が12月18日に発表した石油製品価格調査によると、12月16日時点のレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比+0.2円の157.7円となった。
これで3週連続の値上がりであり、11月25日時点の156.9円をボトムに累計で0.8円の上昇となる。12月入りしてから原油調達コストはやや低下しているが、11月の原油相場高、円安の転嫁が遅れていることで、小幅ながら続伸している。約1ヶ月ぶりの高値更新となる。
ただ都道府県別では、値上がりが1道1府23県、横ばいが1都1府8県、値下がりが12県と決め手を欠いている。香川県と群馬県がともに1.1円の大幅高となったのが目立つ一方、山口県が0.9円安、滋賀県が0.8円安となっている。
■原油コスト高の転嫁が遅れていた反動
12月16日時点のドバイ産原油価格は、前週比変わらずの1バレル=106.95ドルとなっている。東京商品取引所(TOCOM)の原油先物相場(当限)は前週比-1,050円の1キロリットル=7万0,250円と小幅低下したが、全体としては特に目立った動きはない。
ただ、ドバイ産原油は11月に最大で7.40ドルの急伸地合になっていたことで、その価格転嫁が遅れていた影響が、引き続きガソリン価格に対する押し上げ要因になっている。業者転売価格も本格的に上昇し始めており、小売価格のみが下落する理由は見当たらなかった。
もっとも、海外の原油価格は高止まり傾向を強めているため、このままガソリン小売価格が一方的に上昇を続けるような環境にもないと考えている。160円台回復の可能性は否定できないが、そこから更に大きく値上がりするリスクは限定されよう。年末から年初にかけては、このまま150円台後半から160円絡みの価格水準が続く可能性が高い。
■灯油は、業転価格は軟化している
一方、灯油店頭価格は1リットル=103.2円となり、前週から0.4円値上がりした。ガソリン同様に3週連続の値上がりであり、今年の最高値を更新している。こちらも、11月の原油高・円安といったコスト高の転嫁が遅れていた反動が、灯油価格を押し上げている。
しかし、寒波が強くなっている割には出荷ペースがやや鈍いことで、今週は需給要因に基づく値上げ圧力は限定された。実際に、主要消費地である北海道は0.2円高、東北地方は0.5円高に留まっており、関東地方の0.4円高などと比較すると、特別に需要が盛り上がっている訳でもなさそうだ。実際に、業者転売市場ではガソリンや重油、ナフサ価格などが堅調に推移する一方で、灯油と軽油価格が下落しており、中間留分の需給はやや緩んだことが窺える。
もっとも、12月入りしてから本格的な気温低下傾向が続く中、灯油価格が大きく値崩れする必要性は見当たらない。原油調達コスト環境からみても、現在の値位置には特に違和感はない。ただ、原油供給環境に何か突発的なトラブルが発生しないのであれば、ここからの上昇余地も限定されよう。このまま現行の高値水準で横ばい気味の値動きを想定しており、特に買い急ぐ必要はないと考えている。