100種類近い品揃えで地域を支えるパン専門店、「焼きたてパンThanks」（サンクス）をご紹介します。

厳選された素材と丁寧な仕事に根強いファンが多く、活気あふれる店内は何度でも足を運びたくなります。

今回は、魅力あふれるお店の歴史を中心に、店主の石井さんにお話を伺いました。

お店の歴史

ーーお店を始めた経緯を教えていただけますか。

石井：
お店は1985年に父が独立して、母と始めたものです。開店当初は、

・地域の皆様に愛されるお店を目指す
・いろいろなパンを提案することで、パンを生活に取り入れて楽しんでほしい

という思いで始めたと聞いています。

父は独立する前、祖父が始めた「ナカムラ」（JR勝田駅近く。2019年4月末閉店）というパン屋で修行を積んでいました。今は「ナカムラ」の職人さんが、当店を手伝ってくれています。

ーー「ナカムラ」さんには、東日本大震災のときにお世話になりました。食糧難で皆が不安に震えているときに、パン一本を700円で販売してくれたのを覚えています。

大げさかもしれませんが、パンを買えたことで、復興への希望が見えた気がしました。

おすすめメニュー

お客様からの強い要望で、復活した商品について伺いました。

りんごのガレット

石井：
通常は余裕のあるときに、時間をかけてスタッフと相談しながら試作品を作るのですが、例外もあります。例えば「りんごのガレット」は、震災で被災したのがきっかけで生まれたんです。

トレイに広げた生地の上に、アップルパイのりんごをのせた簡易パンでした。電気が止まってしまったので、冷凍庫の材料を無駄にしないための苦肉の策でした。

食べ物に困っている地域の方々に、「おいしいパンを食べて欲しい」という思いは強くありましたが、断水が続いていました。そこへ井戸水を使わせてくださるというお申し出があったので、実現したのです。

食糧難が収まって作るのをやめていたのですが、「地震のときに食べたあの味が忘れられない」というリクエストを多数受けて、復刻版として登場しました。

ーー素敵なお話ですね。そのお話を聞いてからいただくと、一層ありがたみを感じます。スライスされたりんごの食感がいいので、ふんわりとしたパンとも合いますね。

5月のおすすめ

つぎに、5月のおすすめパン、2品をご紹介します。

瀬戸内産甘夏マーマレードのデニッシュ

瀬戸内産甘夏マーマレードのデニッシュは、春夏の期間限定商品です。初夏にぴったりのさわやかな味が家族にも好評で、もう何度も購入しています。

甘夏のマーマレードとレモン風味のクリームチーズが好相性です。

ーーパリッとしたデニッシュ生地は、作るのが大変ではないですか？

石井：
そうですね。デニッシュ作りは工程数が多く、温度管理も重要です。当店は生地作りから店内で行っているので、安価でおいしいデニッシュを提供できています。

現在はコロナ対応として袋に入れて並べているため、通常よりしっとりしています。パリッと感がお好みの方は、食べる前にオーブンで3分ほど温めていただくと、よりおいしく召し上がれます。十分に予熱してからお試しください。

厚切りベーコンと野菜のサンド

ーードレッシングの味が変わったと聞きました。

石井：
はい。ドレッシングの味をゴマドレッシングに変えて、より美味しくなりました。ベーコンの厚みを味わって欲しい自信作です。

ーー厚切りベーコンのほかにも、ゆで卵、チーズ、野菜がたっぷり入っていて、栄養満点ですね。お母さんが家族のことを考えて作った、そんなあたたかさを感じました。

石井：
具沢山なので、食べやすいように紙で包んであります。

ーーボリュームがあるので、ありがたい配慮です。全粒粉パンの耳は、歯ごたえがありますね。

石井：
子どもが通っていた保育園では、フランスパンなど硬いものを食べる習慣があったんです。いいと思うものは、取り入れていきたいと思っています。

ーーおじいさまのお客様思いの精神は、しっかりとThanksに受け継がれていると感じました。

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