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秋台風らしからぬノロノロ台風12号、大雨など長時間の影響も

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風12号の雲の様子(ウェザーマップ)

速度が上がらず、今後もノロノロと北上

台風12号の予報円(ウェザーマップ)
台風12号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

きのう21日(月)正午に発生した台風12号は発達しながら日本の南海上をゆっくりと北上中です。

タイトル画像をみても、台風本体の活発な積乱雲は円形度を増し、発達している様子がうかがえ、きょう22日(火)午前3時現在、中心気圧992hPa、最大風速23メートル、最大瞬間風速35メートルとなっており、暴風域はありませんが、黄色い風速15メートル以上の強風域は発生当初より広がってきています。

そしてこの時期の台風(秋台風)と言えば、日本付近で時速40キロから50キロ以上の自動車並みになるのが普通ですが、今回の台風12号はなかなか偏西風には乗らずに非常に遅いのが特徴の一つです。東海や関東へ到達する頃までは時速10キロから20キロの自転車並みのノロノロな北上となる予想で、秋雨前線と相まって、大雨など、比較的長時間の影響を受けるおそれがあります。

では予報円を詳しくみてみます。

今後もやや発達しながら北上を続け、あす23日(水)からあさって24日(木)にかけて、中心気圧980hPa、最大風速30メートル、最大瞬間風速40メートルと、風速25メートル以上の暴風域を伴って、本州付近にかなり接近してくる見込みです。この時点の速度は時速10キロから15キロです。

予報円の真ん中を進むと、25日(金)午前3時に、ちょうど関東南部付近に到達している予想で、この時点で暴風域はなくなっているものの、まだ台風という予想ですから、24日(木)午後以降に東海から関東へ上陸する可能性も示唆されている予報円となっています。なおこの時点でも時速20キロの予想です。

関東へ中心が到達するまでの予報円は比較的大きく、西側を通れば紀伊半島へ、東側を通れば、関東沖をやや離れて通過する可能性もあり、進路や勢力などはしっかりと定まっていません。ただ上陸するしない、あるいは温帯低気圧に変わったとしても、速度が遅く、秋雨前線と相まって広く長時間の大雨のおそれがあり、また強い風にも警戒せねばなりません。

台風と秋雨前線

予想天気図(ウェザーマップ)
予想天気図(ウェザーマップ)

上述のように台風12号の進路や勢力などは不確実性がやや大きいものの、確実性が高いのが、秋雨前線の大雨です。

予想天気図をみると、台風12号の北側に秋雨前線が長々と停滞しており、あす23日(水)にかけて、台風の北上とともに活発となりながら本州付近へ北上してくる見込みです。

台風の北上速度が遅いため、少なくともあさって24日(木)にかけて、また長ければ25日(金)まで、東日本や西日本では、太平洋側を中心に激しい雨が降り続き、比較的長時間の大雨のおそれがあります。

予想雨量(気象庁発表)
予想雨量(気象庁発表)

秋雨前線付近でも強風に注意

雨と風の予想(ウェザーマップ)
雨と風の予想(ウェザーマップ)

あす23日(水)午前6時の雨と風の予想をみると、南海上の台風12号付近では、風速20メートル以上の紫色が出ていますが、この北側に位置する秋雨前線付近でも赤い16メートル以上の強風域が広がっているのが分かります。

たとえ台風の強風域や暴風域に入らなくとも、秋雨前線付近では強風や高波にも注意が必要だということが分かります。

今後も最新の台風情報にご注意下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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