プロ野球選手の進路に立ちふさがって執拗にサインを求める迷惑行為 その罪と罰
プロ野球選手によるサインなどのファンサービスに関し、千葉ロッテマリーンズが出した声明が話題だ。一部で周囲の迷惑になる過剰な行動をとる者がおり、危険な事象もあったことから、控えてほしいという。
軽犯罪法違反に問われる
これは、例えば夜半の空港でタクシーに乗ろうとした選手の進路に立ちふさがったり、複数で囲み込んだりし、執拗にサインや写真撮影を求めるといった迷惑行為を念頭に置いたものだろう。
こうした接触を繰り返され、恐怖を感じた選手までいるという。人間だから、疲れていたり次の予定が迫っていたりすれば、先を急ぐために相手の腕を払いのけたり、胸を押して進路をあけようとしたりしても不思議でない。
この点、軽犯罪法は、次のような行為に及んだ者を処罰の対象としている。
・他人の進路に立ちふさがったり、その身辺に群がって立ち退こうとしない者
・不安や迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者
これに違反すれば、拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)か科料(千円以上1万円未満の金銭罰)に処される。
「ストーカー行為」になる場合も
さらに、ストーカー規制法は、特定の相手に対する好意の感情を充たすといった目的で、次のような行為に及ぶことを規制の対象としている。
・つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがること
・義務のないことを行うように要求すること
相手の身体の安全などが害されたり、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法で繰り返せば、「ストーカー行為」として処罰の対象となる。最高で懲役1年、罰金だと100万円以下と軽犯罪法違反よりも重い。
このように、選手に対して度が過ぎた迷惑行為に及べば、単なるマナー違反のレベルを超え、罪に問われることもあり得る。選手がこれを排除しようとするのは正当な行為にほかならない。
中には転売目的で執拗にサインを求める集団もいるようだが、選手個人だけで対処しきれる話ではない。今回の千葉ロッテのように、交通機関や宿泊施設などではサインに応じないといった方針を球団が決めて公表するといった毅然とした対応も重要ではないか。(了)