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【富田林市】富田林のトマトが日本一の栄冠!アーバンファームASAOKAさんのさすがのトマト畑をご紹介

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林の主要産業のひとつが農業。海老芋・ナス・きゅうりなど、とても品質の良い農作物が作られていて、元気のよい農家さんが少なくないのも大きな特徴です。

最近、トマトの品質において大阪一どころか日本一の栄誉に輝いたという農家さんがいることがわかりました。そこで、市役所の農とみどり推進課に仲介をお願いして、その日本一のトマト農家「アーバンファームASAOKA」さんの畑に行ってきました。

浅岡さんの畑は、西板持町にあります。この辺りは、いろんな農作物が植えられていますね。私たちが訪問したのは、いよいよ田植えが始まったころ。

ASAOKAさんのトマトはこのハウスの中にあります。本当は5月下旬で終わるのですが、今年は表彰も受けて、市長のところにも報告のために訪問したので、取材時もトマトの栽培がされていました。

画像提供:アーバンファームASAOKAさん
画像提供:アーバンファームASAOKAさん

このように、ASAOKAさんは日本一のトマトを生産し表彰されたということで、5月30日に富田林市役所に訪問し、市長に報告をしました。

画像提供:アーバンファームASAOKAさん
画像提供:アーバンファームASAOKAさん

こちらが日本一になったという賞状です。審査したのは日本野菜ソムリエ協会で、第一回全国トマト選手権のラージ部門で最高金賞を受賞しました。

このほか、ミディアム部門で銀賞。4月に行われた野菜ソムリエサミットでも金賞を受賞しています。

富田林の農業は、大阪府という東京に次ぐ都市規模を持つ場所の周辺にある近郊農家。だから私のような素人の浅はかな考えだと、失礼ながらもっと農業の盛んな地域の農作物と比べて...と考えてしまいがちな盲点があります。

その変な思い込みをアーバンファームASAOKAさんは、見事に払しょくされたのかなと思いました。

さて、日本一のトマトが実っているハウスの中に入らせていただきました。

ハウス栽培は9月から始まって、11月下旬には収穫ができるとのこと。上にも書きましたが、本来なら5月下旬にはトマトの収穫を終えいったん廃棄するそうです。

トマトは以前取材させていただいた海老芋と違って連作できるのか聞いたところ、特別な対策を行えば可能なのだとか。それは次の通りです。

  • 一度木をすべて倒して土を耕す
  • 根の強い品種を選ぶ
  • 太陽熱を使い、密封したハウス内を7~80度まで気温を上げて土を殺菌する

殺菌の時のハウス内の温度はサウナ以上。誤って中に入ると、すぐにチリチリと肌が焼ける感じがして、とんでもないことになるそうです。

ASAOKAさんのトマトが日本一になった秘密を聞くと「昔ながらのトマト」の味を目指して生産したことが評価されたからだとか。これはどういうことかとさらにお話を聞くと、今の一般的なトマトはとにかく甘すぎるらしいのです。

ASAOKAさんいわく、甘いトマトだと1個食べると飽きてしまう、その理由として、甘いだけで旨味や酸味がないからではないかとのこと。

そこで、トマトにかつてのような旨味と酸味が味わえるように生産することで、すぐに2個目も食べたくなる昔ながらのトマトを作ったというわけです。

では、どうやったら昔ながらのトマトの味が出せるかと聞けば、ASAOKAさんは土がポイントとだと教えてくれました。トマトの旨味のもとは、ミネラルだとか。

それに加え、トマトの木に余計なストレスをいかにかけないことも重要なポイントだと言います。ASAOKAさんによれば、トマトの木がストレス(飢餓状態)になると、防衛本能が働き、実に栄養分がいきわたります。

実に栄養がいきわたれば良くなるのではと感じてしまいますが、その結果、皮が固くなり、甘味が増強されて甘ったるいトマトになってしまうとか。

だから、肥料、ストレスの掛け方、水の三拍子そろった状態で上手に育成すれば、旨味7割、酸味3割のトマトになるそうです。そうして1個目を食べて、30秒後にまた食べたくなる昔ながらのトマトが完成するわけです。

こうした努力の結果、野菜の専門家集団である野菜ソムリエの大会にて日本一になったんですね。何気なくトマトを食べている身からすれば、実に頭が下がる思いです。

ASAOKAさんは今年でトマト歴23年目、農家としては3代目に当たるそうです。

お父さんの代まできゅうりとなすの専業農家だったそうですが、もともと農業を継ぐ気がなく外で働いていたASAOKAさんは、先々代(祖父)が倒れたことがきっかけで、結果的に先代(父)に半ば強引に農家を継がされる方向になったとか。

ただどうせ継ぐならと、ASAOKAさんはトマトの栽培を始めることにしました。最初は1アール(100平方メートル)からスタートしたそうですが、先代から「そんなものは儲からない」と、かなり否定的だったとか。

ASAOKAさんは、先代に言われながらも既存のキュウリやナスに対抗できる売り上げを目指そうと努力します。その努力が実り、1年目から美味しいと評判となり、お客さんの支援や口コミで少しずつ耕作面積を増やしていきました。

それでも、ナスやキュウリの売り上げに負けてしまうことが続きました。

転機が訪れたのは10年ほど前のこと。ハウスにヒートポンプを導入してからだったそうで、これには補助事業もあったのが幸いしました。

ついにトマトの年間売り上げが、ナスやきゅうりを上回ったのです。こうして現在では20アールの畑でトマトを栽培しているそうです。

現在、ASAOKAさんのトマトは大阪の飲食店での直取引がメインで、コロナ前は最大6・70件の飲食店との取引がありました。しかし、コロナ禍により売上高は大幅に減少。せっかくできたトマトを大量廃棄するという最悪の事態に陥ります。

ところがASAOKAさんはここから新しい方向性を見出しました。廃棄するトマトがもったいない、それでは加工品にしようと考えたのです。こうして完成したのが「トマト農家のカレー」です。味やパッケージ作成に1年かけて昨年11月に販売を開始しました。

なんと最初のロットが2週間で完売!大好評ということでカレーの販売も続けることになり、現在はECサイトのほか無印、京阪百貨店、富田林の市役所マルシェ等で販売しています。

ASAOKAさんの農場には、農家の生まれで修行に来ている若者や新規に就農を希望する非農家の若者が集まって栽培を学んでいるそうです。

富田林の農家さんはとても元気なイメージがありますが、大阪市という都会が近いことが災いし、子供がなかなか後を継いでくれないという悩みを抱えているそうです。そこで農家同士が集まり、将来を見据えてきらめき農業塾を始めたそうです。

「今の若い子はやたら地方の田舎で農業をしたがるが、大阪の近郊地なら販売する場所もすぐそばにたくさんあるし、繁華街にも遊びに行ける。大阪で生まれたならやっぱり大阪で農業をしてほしい」とASAOKAさん。

最後にASAOKAさんから美味しいトマトを見る秘訣を教えてもらいました。

  • 実の後ろから見て、放射線状に筋が見える
  • トマト全体的に透き通っているように見えるトマト

取材の後、ハウスを出ると、ちょうどASAOKAさんのファームの前に石川から引かれた用水路の水が勢いよく流れていました。この水が美味しいトマトや野菜を育ててくれるんですね。

ASAOKAさんから「試食用に」と少しトマトを分けてもらいました。何もつけずにそのままかぶりつくのがこのトマトのもっとも美味しい食べ方だと教えてもらったので、言われた通りに試しました。

さて、実際に食べてみて驚きました。いつも食べているトマトとは明らかに違い、甘味が抑えられ、先に旨味を、その後にじわっと酸味が感じられるのです。

そのため、後味がさっぱりするので、すぐにもうひとつ食べたくなる理由もうなづけました。まさしく日本一のトマトの味です!

こちらは、市役所マルシェで事前に購入しておいたトマトカレーです。上に載っているトマトは、もちろんASAOKAさんのもの。このカレーを味わってみると、確かにカレーの味の中にトマトの味が強すぎず弱すぎずの逸品。最後まで美味しくいただきました。

残念ながら、ASAOKAさんのトマトの生産は今シーズン終了。旨みと酸味を兼ね備えた、素晴らしい味の昔ながらのトマト。あの美味しさが忘れられず、来年まで待ちきれない気がしました。

アーバンファームASAOKA(外部リンク)
住所:大阪府富田林市西板持町8丁目3-4
アクセス:近鉄富田林駅からバス西板持バス停から徒歩3分
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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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