大金持ち兄弟コンビ「勝又:」が語る「まさか!!」のハナシ
後藤久美子、米倉涼子、上戸彩らを擁するオスカープロモーション所属。そして、実の兄弟。さらに、実家が、7月31日に亡くなった大横綱・千代の富士(現・九重親方)の主治医を務めていた大金持ちと、多くの“カード”を持つお笑いコンビが「勝又:(かつまた)」です。ani(37)と弟(35)が2009年に結成。並外れた富豪エピソードでテレビ朝日系「アメトーーク!」などでも注目を集めていますが、兄弟ならではの「まさか!!」のハナシも次々に飛び出しました。
しゃべるaniにビックリ
ani「もともと、僕も弟も別々の事務所でお笑いをやってたんです。ただ、互いに同じ時期に解散して、僕がピンとしてお笑いをやり続けていた時に弟がいろいろ手伝ってくれていたので『それならば、いっそ、一緒にやろうか』となったんです」
弟「最初はaniが大学に行くために三重から東京に出てきて、吉本興業の養成所・NSCに入りまして。当時、僕は音楽をやっていてロンドンに留学中だったんですけど、祖母が亡くなって一時帰宅した時に、aniがMCをやっているライブを見て衝撃を受けました。家では全くしゃべらないaniがすごくしゃべっているんです。それを見て、リスペクトというか、お笑いへの興味がグッと沸いてきて、僕もお笑いを始めました」
まさか、こんなことが!!
ani「もちろん、小さな頃から一緒にいる弟なんですけど、とコンビを組むとなって驚くこともありました」
弟「とにかく、ネタがかぶるんです(笑)。それまで、それぞれのコンビでやっていたネタの話をしてびっくりしました。別々にネタを考えていたのに、設定や展開がむちゃくちゃ似ているんです。それも、カップルのデートだとか、銀行強盗だとか、ま、よくあるパターンのネタだったら分かるんですけど、実際にあったのは、ボクシングの試合というシチュエーションで、ボクサーのグローブが抜けなくなるというネタを2人とも作ってたというのはありましたね」
ani「そんなに“あるある”の設定ではないと思うんですけどね…」
弟「さらには“ボウリング場で狙撃されるんだけど、そのままボウリングを続ける”というネタがありまして、それもかぶってました(笑)。それだけ入り組んでいて、かぶるかと…」
ani「ご飯を食べに行っても注文するものがかぶりますし、コンビニで買う物もかぶる。だから、あえてハズしにいって、たとえば、おにぎりを選ぶ時でも『本当は鮭が食べたいけど、かぶらないように照り焼きチキンを選ぶ』という選択をしたら、弟も照り焼きチキンに手を伸ばしてるんです」
弟「同じ“先回り”をするという…」
並外れた大金持ち!!
ani「あと、兄弟と並んで、よく言っていただくのが家が金持ちだったと。途中でバブルが崩壊して、家が半分取られたりとかもあったんですけど(笑)、大金持ちという経験をしてこられたのは、今となっては個性としてありがたかったですね。家は医者の家系でして、横綱・千代の富士のドラマ『千代の富士物語』(フジテレビ系、91~92年)に出てきて、肩の脱臼に悩む千代の富士に『筋肉の鎧(よろい)をつけろ』と言った医者が父親です(笑)。ちっちゃい頃から普通に千代の富士が家にいて、僕らは“ちーちゃん”って言ってたんですけど、いるのが当たり前というか、すごいというのが分からなかった」
弟「今思えば、すごかったと思うんですけど。千代の富士だけでなく、九重部屋全体のタニマチをしてたんですね。毎日酒屋さんからビールケースが届く。冷蔵庫も業者用のものを買って肉を入れるみたいな感じでした。それこそ、今から思うと、かなり偏った人間になりかねない幼少時は過ごしてましたね(笑)」
ani「家に大きなプールがあったんで、夏休みになると、近所の幼稚園に貸したりもしていたんです。うちのプールで遊んでいる園児たちを家のベランダから見下ろしている僕らもまだ園児だったんですけど、この目に見えての差を満喫しながら、日々暮らしていると、心にひずみができていったとは思います(笑)」
弟「僕も家族旅行に行ったら、仲良しの友達数人をあげるだけキーホルダーを買うのではなく、学年全員にプレゼントするために何百個も買ったり。それだけの数なので、デザインがどうこうではなく、まず、在庫があるのかどうかを確認してあるものを買ってました。あと、父親の交友関係もなかなかすごくて、今の三遊亭円楽師匠は昔からお付き合いがあって、僕らがこの仕事を始めてDVDを出した時には特別ゲストとして出演していただきました。まだ会えてないのが中村玉緒さん。もともと、勝新太郎さんと父親が仲良かったみたいで、ずっと『玉緒さんにはあいさつに行け』と言われてるんですけど、僕らがおいそれとあいさつに行ける方ではないので…」
今、願うことは…
ani「この世界に入ってからも『小道具が金持ちをにおわせる』とは言われますね。コントのヅラとか入れる袋がルイ・ヴィトンだとか。イベントで昔の写真を使うから、子どもの時の写真を持って行ったら、撮影場所がハワイだったり。いちいち鼻につくポイントがあると…。仕事に弊害?が出ているところもありますけど、今でも、病院手伝ってお小遣いももらっています。だからね、最近思うのは、もう、親が死んだら終わりだなと(笑)」
弟「永遠に生きてほしいです」
ani「だから、僕らが売れる売れないよりも、医療に飛躍的な進歩がきてほしいです(笑)。人間が200歳まで生きる世の中になってもらいたいですね」
弟「…でも、だとしたら、こっちも200歳まで生きるということだし、結局、どこかで親はいなくなるよね」
ani「それは、困った…」
■「勝又:」(かつまた)
1978年12月15日生まれのaniと、80年9月28日生まれの弟の実の兄弟コンビ。ともに三重県四日市市出身。aniが浅井企画、弟がホリプロで芸人として活動していたが、互いに解散後「勝又:」を結成し、オスカープロモーションで再始動。設定の妙が冴えるシュールなコントが持ち味ながら、2012年には「THE MANZAI」で認定漫才師にも選出されている。