NY金29日:ギリシャ情勢を受けて買われるも、買い一巡感も浮上
COMEX金8月限 前日比比5.80ドル高
始値 1,182.50ドル
高値 1,187.60ドル
安値 1,173.20ドル
終値 1,179.00ドル
ギリシャ情勢の先行き不透明感を背景に、底固く推移した。
週末のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援での合意形成に失敗する中、週明けのアジア市場は急伸で始まった。6月30日の国際通貨基金(IMF)向け債務支払いに不透明感が強まる中、デフォルト(債務不履行)イベントに対する警戒感が、質への逃避を促した。世界の主要株価は軒並み急落しており、特に欧州では主要株価指数が3~5%の急落となる中、消去法的に金相場が買われている。ただ、本日の金相場がピークを付けたのはアジアタイムであり、その後は引けにかけて上げ幅を削る展開になっている。
引き続き、ギリシャ情勢については目立った動きは見当たらない。ギリシャは7月4日に債権団の要求する財政再建策を受け入れるか否かの国民投票を実施すると決定しており、それまでは大きな動きは想定しづらい。ただ、欧州中央銀行(ECB)を中心に、仮にギリシャがデフォルトを迫られるような事態になってもユーロ圏全域の混乱は回避できるように準備が進む中、この問題は本格的なリスクオフの動きには発展しないとの見方が優勢になりつつある。為替市場でも、アジアタイムに急落したユーロがその後は下げ幅を縮小する展開になっており、この問題の消化が急ピッチに進んでいることが確認できる。
実際にギリシャがデフォルト状態に陥り、国民投票でも新たな財政再建策が否定されるような事態になれば、まだ瞬間的に急伸するリスクは残る。株価急落など突発的なリスクオフの動きがあれば、一時的に1,200ドル水準を試す可能性はある。ただ、2011~12年型の欧州タイム危機を再現するような動きは想定しづらく、一時的な上昇圧力に留まる見通し。焦点は、ギリシャ危機の先にユーロ全体の危機があるか否かとなるが、その点では前回の債務危機後に危機管理フレームを構築してきたことが、欧州債務危機第二弾の発生は阻止する見通し。