渋谷公会堂跡地の超高層マンションが示す、令和は「利用価値」の時代
「パークコート渋谷 ザ タワー」というマンションが三井不動産レジデンシャルによって分譲されている。地上39階建てで全505戸、最上階にはプール付きの特殊住戸もある点などで話題を集めているが、じつはこのマンション、注目すべき特徴がいくつも隠れていた。そして、普通のサラリーマンやリタイアしたシニアが買ってもよいのではないか、と思える要素も備える。
それは、「資産価値」重視の平成から「利用価値」重視の令和時代への転換にマッチした長所ともいえる。
知られざる特性をレポートしたい。
地代一括前払いを含んだ分譲価格に、割安感
「パークコート渋谷 ザ タワー」は、定期借地権方式のマンションである。定期借地権方式を簡単に説明すると、土地を期限付きで借り、建物は自分のものになるもので、一般の分譲マンションより2割から3割程度安く購入できることが多い。
「パークコート渋谷 ザ タワー」の建設地は渋谷区宇田川町で、渋谷公会堂があった場所といえば分かりやすいだろう。
その地にあった渋谷公会堂と渋谷区役所が建て替えられ、あいた土地に定期借地権付きマンションとして建設されるのが、「パークコート渋谷 ザ タワー」だ。地主は渋谷区となる。価格は、先着順で購入できる住戸で、約40平米の1LDKが8290万円、約74平米の2LDKが1億2540万円など。
「定借でも、都心だと高いな」と思う人もいるだろう。が、この価格に、隠れた特徴の一つ目がある。
定期借地権方式のマンションでは購入後毎月、地代を払うことになっている。が、「パークコート渋谷 ザ タワー」では、それを一括前払いとした。先の先着順販売・分譲価格には、この一括前払い地代が含まれており、その額は約1200万円から約2200万円。一括前払い地代を差し引くと、分譲価格は約7000万円から約1億円ということになる。
都心部で、立地のよいマンション2LDK(80平米以上)を買うとすると、2億円前後になってしまう現在、この価格設定は割安だ。
そして、地代全額を含んだ分譲価格を住宅ローンで組むことができる、という特徴もある。地代を最初に一括して払い、それを全額ローンに組み込むことができるのは、従来の定期借地権付きマンションにはなかった。一括前払いにすることで、将来的な地代の上昇リスクがない、という利点も生じる。
納得感ある価格設定であるため、夫婦共働きで子どもを持たないDINKS世帯が「共有名義でローンを組んで」の購入も視野に入ってくる。世田谷や杉並の一戸建てに住むシニアが買い替えを検討することもできそうだ。
老後も安心、という点も隠れた特徴
定期借地権マンションの場合、土地は定期借地権の賃借権という権利になり、建物のみ区分所有権となる。土地を期限付きで借りるため、いずれは返還しなければならない。その点に不安を感じる人もいるだろう。
しかし、「パークコート渋谷 ザ タワー」には、将来も安心といえる理由がある。そして、「資産価値」に代わる「利用価値」が大きい。
まず、定期借地権の存続期間は、2093年までという長期設定。これには最終的な解体期間(最後は解体して更地に戻す)が含まれており、その期間を除いて、利用期間は実質約70年となる。70年あれば、購入時30歳前後でも、たいていの人は死ぬまで暮らすことができるだろう。
そして、「パークコート渋谷 ザ タワー」のように都心一等地のマンションならば、次のような「利用価値」が生じる。
「都心の便利な場所なので、会社勤めしている間は住み続け、リタイアした後に賃貸に出す。その賃貸収入で老後の生活が豊かになる」。
このやり方なら、後半の30年から35年くらいは賃貸収入が見込める。今から30年後、渋谷区宇田川でひときわ目立つ超高層マンションはどれくらいの賃料になるのだろうか。
誰もが憧れる場所なので、高額家賃でも賃借人は入りやすい。高額の賃料収入を得て、高齢者施設に入ったり、地方や海外移住で安い賃貸に暮らす道が開けるわけだ。
つまり、都心一等地の定期借地権マンションは「利用価値」の高さで、豊かな老後を約束してくれることになる。
なお、賃貸に出す場合、2093年までという期限があるので、定期借家方式が好ましい。2年とか3年の期限を切って賃貸の契約を結び、契約が終了するとき、新たに契約を結び直す。貸す側の都合で賃貸契約を終了させやすい方式で、現在、高級賃貸マンションの多くがこの定期借家方式を採用している。
ビューラウンジでは、他に類を見ない眺望が待っている
「パークコート渋谷 ザ タワー」は、割安で分譲できる定期借地権のメリットを活かし、建物にお金がかけられている。ガラス面の多い外観は、超高層マンションが多い都心部でもひときわ個性的。1、2階にリッチなラウンジ(共用空間)をつくり、20階、21階にはアルコールも提供されるパークビューラウンジが設置される。フィットネスやゴルフシミュレーションを楽しむスペースもある。この点も「利用価値」の高さに加わる。
そして、住戸は眺望重視で、大きな窓も特徴。上層部は、窓を下向きに設置しており、思い切り眺めのよさを楽しむことができる。
このマンションからの眺望は、北向きが特に素晴らしいだろう。それは、代々木公園の緑と、新宿御苑の緑が広がるから。が、それだけでなく、手前に代々木第一体育館、第二体育館という日本を代表する建築物があることにも言及すべきだ。
緑と造形物という、2つの対照的な「美」がそろう。それはどれほどの感動をもたらしてくれるのだろうか。
私は、これまで35年近くマンションの取材を続けているのだが、生涯で最も感動したマンションの眺望は、「深沢ハウス」というマンションの上層階から駒沢公園を見下ろしたときのものだった。駒沢公園の緑と体育館の造形美が見事なコントラストを醸しだし、鳥肌が立ったのを覚えている。「パークコート渋谷 ザ タワー」では、同様のコントラストを満喫できるだろう。
それは、単なる緑のスペース、単なるビル群を見るよりも、数倍すばらしいものになるはず。その眺望を満喫できるのが「パークコート渋谷 ザ タワー」の20階、21階にあるビューパークラウンジだ。このマンションに住む人は、誰もがビューラウンジでの眺望を楽しむことができる。それもまた、同マンションの隠れた特性となる。
平成の時代、マンションは「資産価値」が重視された。買ったときよりも高く売れるマンション、高く貸せるマンションが人気を高めた。その結果、都心マンションや郊外・駅近マンションの価格が高騰。結果、これ以上の値上がりや賃貸に出したときの高利回りは望みにくいのではないか、という不安が生じている。
これに対し、定期借地権付きマンションは便利な都心生活を割安価格で実現し、高い家賃収入を得る途もある。つまり、「資産価値」に代わる「利用価値」が高いわけだ。
令和の時代は、この「利用価値」を注目すべきと、「パークコート渋谷 ザ タワー」が教えてくれているようだ。