IOCバッハ会長で脚光浴びたお値段“一泊300万円!?スイートルーム”とはどんなホテルのどんな部屋?
バッハ会長が利用している客室?
来日している国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長が利用しているのではないかと目されているのが、「The Okura Tokyo(ホテルオークラ)」のスイートルームだ。そのお値段1泊300万円、広さは730平方mという。
The Okura Tokyoとはどんなホテルなのだろうか。ホテルオークラ東京を建て替え2019年9月12日に開業したThe Okura Tokyoは、2015年8月31日にホテルオークラ東京の本館が閉館、総工費1000億円を投じた4年に渡る壮大なプロジェクトの末に誕生した。そもそもホテルオークラ東京の開業は1962年。イギリスのチャールズ皇太子やダイアナ妃、アメリカのクリントン大統領、ジョン・レノンなど50年以上に渡り多くの著名人にも愛されてきた日本を代表する伝統と格式があるホテルだ。
そもそも、日本で伝統的にホテル御三家といわれてきたのが「帝国ホテル 東京」「ホテルニューオータニ(東京)」「ホテルオークラ東京」で、いうなれば日本のホテル代表格とされてきた。近年、外資系に代表されるような多様なホテルが進出してきたが、日本のおもてなし文化という点でも内資系ホテルの魅力は奥深いものがある。他方、世界的な観光ブーム、近年の訪日外国人旅行者の増加もあいまって、外資系ラグジュアリーホテルのような世界標準ともいえる客室面積や独自のコンセプト性は、本家御三家にとっても脅威となってきた。
サンクチュアリな客室
そんな御三家でいち早く改革に打って出たのがホテルオークラ東京であり、The Okura Tokyoとなって圧倒的な存在感を放っている。そうしたホテルだけに、建て替え後どのような変貌を遂げたのか注目度の高さも別格で、開業に際しては数多くのメディアへお披露目された。筆者個人の話で恐縮であるが、開業前、特別にテレビ番組の初潜入ロケでホテルを紹介する機会をいただき詳細に事前内覧させていただいた。ロケではナビゲーターとして、アメリカ大使館に隣接するホテルということもありノッチさん(オバマさんも宿泊!? Yes,we can)と奥様をアテンドしつつの新生The Okura Tokyoを深掘りした。
話題のホテル開業前ロケは独特の雰囲気に華があったが、その際にも公開されてなかった客室が今回のインペリアルスイートルームであった。一般メディアにすら公開されなかった、いわゆるサンクチュアリともいうべき客室なのだ。その後、某局のニュース番組が特別に許可されたらしく内部を詳細にレポートしていたが、筆者の知り合いにも内部を知る者がいて、そうした情報や独自のソースからいうと、日本一のスイートルームという評判は確かなようだ。そうした情報も含めここで改めてまとめてみたい。
そのスイートルームはホテルのハイフロアに位置し二層になっている。1階は“宿泊ゲストのゲスト”を迎えるようなスペースというイメージ。そうした宿泊ゲストのゲスト用客室もあり、お付きの人が使用する部屋としても機能しそうだ。大きなダイニングルーム(テーブル)の存在感に圧倒されるが、奥には多目的ルームがある。会議室としても使えるし、防音になっているのでシアタールームや楽器の演奏などにも資することだろう。
二層式の上階へ上がるとプライベート空間になっている(階段に加えエレベーターも備える)。上がったところには書斎の机、とはいっても小さな会議ができそうな大きさだ。マスターベッドルームにセカンドベッドルームと至れり尽くせりの設えであるが、何より驚くのはバスルームのスペースだ。ウォークインクローゼットスペースも含め150平方mあるという。バスルームだけで普通の客室何室分?といったところだ。バスルーム2つで寝湯や打たせ湯といった機能もある。また、エクササイズルームにミストサウナ&ドライサウナと二つのサウナも備える。サウナ好きな筆者としては垂涎モノだ。
300万円の客室に稼働は期待できる?
2フロア分の吹き抜けがあるスイートルームとしては「シャングリ・ラ 東京」のスイートルームや、730平方mといえば「ザ・プリンス パークタワー東京」のハイフロアにある3つのスイートルームを繋げて750平方mほどの広さになるケースなど筆者が内覧した経験としてはあるが、やはり、The Okura Tokyoのこのスイートルームは群を抜いた存在といえる。300万円という値といい(今回バッハ会長が使用しているとした場合に正価なのか実際はいくらで売られているのかは別として)、こうしたスイートルームを設けても稼働が期待出来るのか?という疑問も湧いてくるだろう。
一方、知り合いのホテル関係者によるとそもそもこうした客室に稼働率という発想はないという(もちろんたくさん売れることをホテルは望んでいるのだろうが)。その存在がホテルの格となり、“日本一といわれるスイートルームがThe Okura Tokyoにはある”というステイタス性を生む。そんなホテルのイメージを高めるような客室は、今回もろもろのニュースで(利用するゲストや予約者への評価は別としても)実際に注目され、少なくともThe Okura Tokyoが“特別なホテル”というブランド価値を高める作用にだけは一役買っていることは間違いないだろう。